ポンドドルの短期的な展望とチャートポイント
英中銀(BoE)は10日、市場の安定化を目的とした臨時の長期国債の購入額について、1日当たりの上限を50億ポンドから100億ポンドに倍増することを決めた。しかし、英中銀の臨時策には限界が見られる。ポンドドルは下落リスクを警戒する局面へ転じている。目先、注目しておきたいチャートポイントは?
ポンドドルの短期的な展望とチャートポイント
・限界が見えてきた英中銀の臨時策
英中銀(BoE)は10日、今月14日までの臨時的な措置として導入した長期債の購入について、1日当たり最大購入額を50億ポンドから100億ポンドに引き上げることを決定した。
英中銀が臨時策を導入した当初は長期金利の上昇が止まり、外為市場ではポンド相場が買いで反応した(対米ドル)。しかし、昨日のポンドドル(GBPUSD)は先週からの反落トレンドを引き継ぎ、安値1.1019レベルまで下落する局面が見られた。
英債市場で長期金利(20年債および30年債の利回り)が再び上昇基調へ転じている。この状況を考えるならば、英中銀の臨時策には限界が見えている。
市場安定化のために英中銀が新たな政策を導入しても、根本的なリスク要因である高インフレとそれによる景気後退の懸念、そして財政悪化のリスクがくすぶる以上、ポンド相場は上値の重い展開が続くことを想定しておきたい。
英長期金利とポンドドルの動き
・上下のチャートポイント
ポンドドル(GBPUSD)は現在、直近高安の38.2%水準(1.1061レベル)で推移している。
上で述べたとおり、英中銀の臨時的な市場安定化策の限界が見えてきた状況では、ポンドドルの下落リスクを警戒しておきたい。
ポンドドルの続落基調が続く場合は、半値戻しの水準1.0927レベルおよびフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準1.0793レベルの攻防に注目したい。特に後者の水準を完全に下方ブレイクする場合は、9月28日の安値1.0539レベルを視野に下落幅の拡大を想定しておきたい。
一方、米金利の低下などでポンドドルが反発しても、英長期金利に再び上昇の圧力が高まっている状況や根強いインフレリスクとそれに伴う景気後退および財政悪化の懸念を考えるならば、ポンドドルの反発は限定的と予想する。
まずは21日線(MA)のトライおよびブレイクに成功するかどうか?この点に注目したい。
ポンドドルが21日MAの突破に成功しても、短期レジスタンスラインを完全に突破しない限り、下落リスクを意識する状況が続くと予想する。
ポンドドルのチャート
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