ポンドドルとドル円 目先の焦点とチャートポイントについて
英債市場では中銀(BoE)の国債購入を受け落ち着いた動きとなっている。ポンド相場は買戻し基調が続いている。しかし財政悪化の懸念が意識され英金利が反発する場合、ポンド売りが再燃するだろう。ドル円は144.90の突破と145円台の攻防が焦点に。ポンドドルとドル円で注目しておきたいチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
ポンドドルの展望とチャートポイント
【サマリー】
・英金利が下げ止まる一方、ポンド相場は反発基調を維持
・ポンドドルの上昇局面で注目しておきたいチャートポイントは?
・景気の後退と財政悪化の懸念がメインテーマである以上ポンドドルは下落を警戒
・ドル円の焦点は144.90のブレイクと145円台の攻防
・英金利にらみのポンド相場
英中銀(BoE)による国債購入の発表を受け急低下の局面が見られた英金利だが、昨日の英債市場で10年債、20年債そして30年債の各利回りはレンジ相場となった。一見すると、英債市場は落ち着きを取り戻しているように見える。だが、金利の反発が見られたことも考えるならば、英債市場では中銀の対策と財政悪化の懸念が交錯する不安定な状況が続くことが予想される。
本日もポンド相場は英金利にらみの展開となろう。英金利が落ち着いた動きを維持する場合は、ポンド相場のサポート要因となろう。一方、英金利が反発へ転じれば、外為市場ではポンド売りの再燃が予想される。
英金利のチャート
・ポンドドルは21日MAと短期レジスタンスラインの攻防が焦点に
英債市場の落ち着いた動きに呼応し、外為市場では対米ドル、ユーロそして日本円でポンドを買い戻す動きが見られる。
注目の通貨ペアは、過去最安値を更新する局面が見られたポンドドル(GBPUSD)である。本日もオセアニア時間から対米ドルでポンド買い優勢の展開が見られる。トレンドフォローの基本に従うならば、目先はサポートとしてもレジスタンスとしても意識される局面が見られた21日移動平均線(MA)のトライおよびブレイクが焦点となろう。このMAは今日現在、1.1313前後で推移している。また、すぐ上の水準1.1318は、8月10日高値と9月22日安値の半値戻しの水準にあたる。
ポンドドルが、これらテクニカルポイント(21日MA / 半値戻し)を上方ブレイクする場合は、レジスタンスポイント1.2280レベルを基点とした短期レジスタンスラインのトライおよびブレイクが次の焦点として浮上しよう。このラインは今日現在、1.1460前後で推移している。
ポンドドルのチャート
・ポンド売りの再燃を警戒
英中銀の対策によりポンド相場は落ち着きを取り戻している。しかし、ポンド相場のメインテーマが高インフレの悪影響による景気の後退と財政悪化の懸念にあることを考えるならば、ポンド売りの再燃を常に警戒しておきたい。
そのきっかけとなり得るのが、冒頭で述べた英金利の動きである。英中銀の国債購入により金利が急騰する可能性は後退している。しかし、根強いインフレリスクとそれに対処するためトラス政権が打ち出した財政政策は英中銀の対策効果を相殺する要因である。
また、今日は9月のユーロ圏消費者物価指数速報値が発表される。域内のインフレ進行が確認される場合、英金利には上昇の圧力が高まる可能性がある。
ポンドドル(GBPUSD)のリスクリバーサルの動きを確認すると、1週間(1W)ではポンドプットの動きが後退している。しかし、1ヶ月(1M)と3ヶ月(3M)に大きな変動は見られない(下チャートの赤ゾーン)。これら一連の動き(プットオーバーの状況)は、短期スパンでポンドの買戻しが見られても、中期スパンではポンドドルの下落トレンドが続く可能性を通貨オプション市場の参加者が意識していることを示唆している。
ポンドドルのリスクリバーサル
ドル円の焦点とチャートポイント
・反発する米金利 ドル円は上144.90の突破と145円台の攻防が焦点に
英中銀(BoE)の国債購入により、米債市場では利回りが急低下する局面が見られた。しかし、早くもその動きは終息ムードにあり長期金利(10年債利回り)は昨日、3.86%台まで反発する局面が見られた。この動きは、米債市場のメインテーマがインフレリスクと金融引き締めの長期化にあることを示唆している。
今日は8月のPCEデフレーターが発表される。インフレの進行が確認される場合、米長期金利の上昇要因となり得る。
また、9月のユーロ圏消費者物価指数速報値が予想以上となる場合も、米長期金利の押し上げ要因となる可能性があろう。
米金利と高い相関関係にあるドル円(USDJPY)は、144円台で底堅さが増している。トレンドフォローの基本に従うならば、今日も144.90レベルのトライおよびブレイクが焦点となろう。ドル円の144.90突破は、145円台へ上昇するシグナルとなろう。
・145円台では反落を警戒しておきたい
ドル円(USDJPY)の「145円台の攻防戦」は、日本政府および日銀との攻防戦でもある。
先週の円買い介入は、「145円台を超える円安は許容できない」という政府と日銀からのメッセージである。市場介入の効果が限定的でも円安を放置する方が政治的にも経済的にもリスクが高いと判断するならば、ドル円が再び145円台へ上昇する場合、政府と日銀は円買い介入で円安をけん制してくるだろう。
市場参加者は円買い介入の限界を見抜いている。しかし、短期的にはポジション調整や利益を確定する材料として介入を利用することが予想される。ゆえにドル円が145円台へ上昇する場合は、常に反落リスクを警戒しておきたい。ドル円の反落局面では、144円台の維持が焦点となろう。
ドル円のチャート
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