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ポンド相場は下落リスクを警戒 ポンド円の焦点とチャートポイントは?

今日の東京時間にドル円は146円台へ上昇。一方、ドル円とクロス円のトレンドにはかい離が見られる。ドル円はレジスタンスポイントを模索する一方、クロス円はサポートポイントの見極めが焦点に。特にポンド円は下落リスクを警戒したい。目先、ポンド円の焦点とチャートポイントは?詳細はIGレポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

クロス円を中心にジワリ高まる円高の圧力


【サマリー】
・英中銀は臨時の国債買い入れを予定どおり停止
・ポンド相場は新たなサポートポイントを見極める状況に
・9月FOMC以降、ジワリと高まる円買いの圧力
・ポンド円 目先の焦点とチャートポイント



・英中銀は臨時の国債買い入れを延長せず

11日の外為市場では、ポンドが米ドルや円に対して下落した。

英中銀(BoE)のベイリー総裁は、市場の安定化を目的とした臨時の長期国債買い入れについて、計画どおり週末までに停止すると述べた。

この日の英債券市場では、20年と30年の各利回りが上昇した。英金利の上昇はポンド売り要因となり、ポンドドル(GBPUSD)は1.10割れの展開に。安値1.0952レベルまで下落する局面が見られた。

一方、ポンド円(GBPJPY)は160円を下抜け、159.73レベルまで下落した。

10月にはいり、英債市場では中銀の臨時介入策の限界を見越した動きが早くも見られた。年金業界団体からは国債買い入れを継続する声が出ているようだが、ベイリー総裁は今回の緊急措置について一時的でなければならないと主張した。

今後、英中銀による新たな市場安定化策が導入される可能性は残る。しかし、下で述べる根本的なリスク要因(3重苦)に直面するポンド相場は、調整の反発を挟みながら下値を模索する展開が予想される。

英金利とポンド相場の動き

英金利とポンド相場の動き ブルームバーグ 4時間足(9月20日以降)

・クロス円と円高

世界的な金融引き締めの潮流に反し日銀の金融緩和政策に変更はないとの思惑から、今年の3月以降、外為市場では円安優勢のトレンドが発生した。

しかしそのトレンドが変わりつつある。9月の米連邦公開市場委員会(FOMC/9月20~21日)以降のパフォーマンスを確認すると、クロス円で円高の圧力が高まっていることがわかる。

特に豪ドルやNZドルなどのオセアニア通貨で円高が進行している。これらの通貨は、リスク資産と高い相関関係にある。そのリスク資産は現在、世界的な金融引き締めとそれによる景気後退の懸念により下落基調にある。

そして、上で述べたポンドに対してもジワリと円高が進行している。

高インフレ状態の長期化とその影響による景気の減速、さらに財政悪化のリスクにまで直面しているポンドに対して円が上昇している状況は、オセアニア通貨と同じくリスク回避を意識した円買いの圧力が高まっていることを示唆している。そしてクロス円を中心に円買いの圧力が高まりつつあることも示唆している。

今日の東京時間序盤にドル円は146円台へ上昇した。この地合いの強さを考えるならば、ドル円は新たなレジスタンスポイントの水準を見極める状況が続いている。

一方、ドル円のトレンドとかい離が広がっているクロス円では、新たなサポートポイントを探ることが今後重要な焦点になるだろう。

円相場のパフォーマンス

円相場のパフォーマンス ブルームバーグのデータより作成 / 基準日:9月20日 / 10月11日時点

ポンド円の焦点とチャートポイント

・目先の焦点と下値のチャートポイント

クロス円の中でも、今後下落幅が拡大する可能性のある通貨ペアがポンド円(GBPJPY)と考えられる。

上で述べたとおり英国経済は現在3重苦(=長期化する高インフレの状況、景気の後退、財政悪化の懸念)に直面している。これらの状況を反映し、今後も英債市場で利回りが上昇する可能性がある。

そして今後は、リスク回避の円高圧力が高まる可能性もある。これらの状況を総合的に考えるならば、ポンド円は新たなサポートポイントを模索する局面にある。

ポンド円の日足チャートを確認すると、直近は21日移動平均線(MA)で戻りが止められ、連日で陰線が示現している。昨日は200日MAを完全に下方ブレイクした。テクニカルの面でも地合いの弱さがうかがえる。

今週はアメリカのインフレ関連指標で米債市場と米ドル相場が大きく動くことが予想される。

今日は9月生産者物価指数(PPI)が発表されるが、市場参加者に根強いインフレリスクを意識させる内容となれば、まずポンドドル(GBPUSD)で下落幅が拡大することが予想される。

そして米国株は下落する可能性が高い。対米ドルでのポンド売りと米株安が同時に発生する場合、ポンド円はフィボナッチ・リトレースメントの各水準での攻防に注目したい(下の日足チャートを参照)。

・反発局面で注目しておいたいチャートポイント

一方、アメリカのインフレ指標が米ドル売り要因となる場合は、対米ドルでのポンド買戻しと米国株の上昇によりポンド円(GBPJPY)も反発することが予想される。

しかし、ポンド相場を取り巻くファンダメンタルズの環境が変わらない限り、上昇幅が限定的となることが予想される。

ポンド円の反発局面では200日MAがレジスタンスとして意識されるかどうか?まずはこの点を確認したい。この点は21日MAも同じである。

これら2つの移動平均線の突破に成功しても、レジスタンスポイントとして意識され始めている162.60台と短期レジスタンスラインの突破が確認できない限り、ポンド円の下落トレンドを意識する状況が続くと予想する。

ポンド円のチャート

ポンド円のチャート Trading View 日足(今年9月以降)

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