インフレリスクと米利上げペース鈍化が交錯 / ドル円とポンドドルの注目ポイントについて
米利上げペース鈍化の可能性について債券市場と株式市場で捉え方が異なっている。米金利が高止まりする中での株高には要注意。ドル円とポンドドルの焦点は?注目のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
インフレリスクと米利上げペース鈍化が交錯
【サマリー】
・米金利はインフレ期待の上昇を受け反発
・米国株は利上げペース鈍化の期待が先行し反発基調を維持
・株高は円安要因だが、米金利の動向次第ではクロス円を中心とした不意の円高を警戒
・ドル円とポンドドルのチャートポイントについて
・インフレ期待の上昇で米金利が反発
24日の米債市場では、利回りが反発した。10年債利回り(長期金利)は、期待インフレ率(10年BEI)の上昇基調を受け、4.3%手前まで上昇する局面が見られた。一方、金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りは、再び4.5%の水準へ到達した。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの報道(12月の利上げペース減速が焦点)を受け、低下基調にあった米金利だったが、インフレリスクに対する懸念が根強いことを昨日の反発は示唆している。
米金利の反発は米ドル相場のサポート要因となり、ドルインデックス(DXY)は小幅に反発した。個別ではブラジルレアル、南アランド、豪ドル、NZドルなど資源国通貨を中心に米ドル高優勢の展開となった。
米金利と期待インフレ率のチャート
・期待先行で反発基調を維持する米国株だが
一方、米国株は利上げペースの鈍化に対する期待が先行し、反発基調を維持している。ダウ平均(DJI)は50日線(MA)の突破に成功し、次の上値ターゲット32,500レベルのトライが視野に入ってきた。
一方、テック株の買戻しでナスダック100指数(NDX)は20日線(MA)の突破に成功し、10月の上旬に相場の戻りを止めた11,600レベルを目指すムードにある。
株高は円安要因である。米国株が反発へ転じた10月13日以降の円相場の動きを確認すると、主要通貨で円安優勢となっている。
注意すべきは、米金利が高止まりする中で米国株の反発基調が続いていることである。
今年6月下旬から約2か月間続いた株高の局面では、米金利の上昇が抑制されていた。米利上げペースの鈍化期待で利回りの上昇が抑制されるならば、今の株高は続く可能性がある。
しかし、昨日のように米金利が反発する中での株高は、いつでも下落基調へ転じる可能性がくすぶっていると言えよう。
政府・日銀による円安抑制の動きが活発化しているタイミングにあることも考えるならば、株安の局面では、クロス円を中心とした下落(一時的に円高が急速に進行する)リスクを常に警戒しておきたい。
円相場のパフォーマンス
ドル円の焦点とチャートポイント
・上値トライの状況に変化なし
ドル円(USDJPY)は、政府・日銀と投機筋の間で激しい攻防戦となっている。
先週21日の大規模な円買い介入に続き、24日の動き(149.00レベルを挟んで売り買いが交錯した展開)も考えるならば、断続的に介入を実施した可能性がある。
21日からのドル円の動きが示唆していることは、円買い介入により現在の「米ドル高/円安」のトレンドが転換する可能性は低い、ということである。
今のトレンドの土台となっているのは、日米金融政策スタンスの差と日本経済の構造改革の遅れである。後者が長期的な要因であることを考えるならば、短期的にドル円のトレンドが転換する材料として注視すべきは金融政策の動向-具体的には、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペースの減速とそれに伴い米金利が低下のトレンドへ転じることである。
しかし、FRBが利上げペースを減速させるかどうかはインフレの動向次第である。また、昨日の米金利の動きを考えるならば、目先トレンドが転換する可能性も低い。
よって、ドル円は上で述べた攻防戦により、上下に大きく振れる不安定な状況が続くことが予想される。
・上下のチャートポイント
昨日の動きを考えるならば、ドル円(USDJPY)が上昇する局面では、150.00台のトライおよび再上昇が焦点となろう。昨日朝方の高値149.70レベルの突破は、150.00トライのシグナルと想定しておきたい。
一方、ドル円が下落する局面では、引き続き21日線(MA/146.68レベル)および146.00の維持に成功するかどうか?この点が焦点となろう。146.00レベルは、レジスタンスからサポートのポイントへ転換する可能性がある。
ドル円が146円を下方ブレイクする場合、次は142.00レベルと140円台の維持が焦点となろう。後者の水準(140.00レベル)には、8月に相場をサポートした 50日線(MA/139.89)が上昇してきている。ゆえにテクニカルの面では、140.00レベルの攻防が注目される。
しかし上で述べたとおり、円買い介入でドル円が下落しても、今のトレンドを転換させるインパクトはない。投機筋との攻防戦に敗れる場合は、「150円台への再上昇→152.00レベルのトライ」を想定しておきたい。
ドル円のチャート
ポンドドルの焦点とチャートポイント
・くすぶり続けるポンド相場のリスク要因
英与党・保守党の党首選でリシ・スナク元財務相が当選し、次期首相になることが決まった。昨日のポンドドル(GBPUSD)の動きを確認すると、50日線(MA/1.1398)で上昇が止めれらた。1.14レベルがレジスタンスポイントとして意識されている状況にあるとも言える。
現在のポンドドルの動きは、首相が誰であれ、長引く高インフレの状況とそれによる景気後退のリスクがポンド相場のリスク要因としてあり続けることを示唆している。
この点を考えるならば、ポンドドルはサポートポイントとして意識されているリトレースメント38.2%の水準1.1061レベル、または半値戻しの水準1.0927レベルのトライおよびブレイクを意識しておきたい。
半値戻しのブレイクは、9月28日安値1.0539トライのシグナルと想定しておきたい。
・反発局面でのチャートポイントは?
一方、ポンドドル(GBPUSD)が50日線の突破に成功し反発基調を維持する場合は、1.15のトライおよびブレイクに成功するかどうか?この点に注目したい。
これを達成した後に1.15台で底固めとなれば、もう一段の上昇を想定したい。このケースでは、9月13日の高値1.1738レベルのトライおよびブレイクが注目される。
ポンドドルのチャート
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