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ドル円とポンド円の展望について

米ドル相場と円相場は米金利と米国株、両にらみの状況にある。今日以降は米経済指標が材料視される可能性あり。ドル円とポンド円の展望は?注目のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

ドル円とポンド円の展望について


【サマリー】
・米ドル相場と円相場は米国の金利と株式、両にらみの状況に
・今日以降の注目材料は米経済指標
・ドル円の展望とテクニカル分析
・ポンド円の展望とテクニカル分析


両にらみの状況

19日の欧州債市場では、欧州中央銀行(ECB)のタカ派スタンス(利上げ継続)や国債の発行増が意識され主要国の金利が上昇した。ドイツの10年債利回りは、11月9日以来となる2.223%まで上昇する局面が見られた。

欧州金利の動きに連動し、米債市場でも利回りが反発した。米金利の上昇はドル円(USDJPY)のサポート要因となった。しかし、米ドル相場全体を押し上げるほどのインパクトはなかった。

米ドル相場の動向:19日

米ドル相場の動向:19日 為替データ:Bloomberg L.P. / 基準日:12月16日


一方、欧米金利の上昇は米国株の下落要因となり、主要な株価指数は続落した。S&P500種株価指数(SPX)やナスダック100指数(NDX)に続き、ダウ平均(DJI)も50日線(MA / 32,652レベル)をブレイクする局面が見られた。

他の指数と比較し堅調地合いにあるダウ平均の下落は、市場参加者に米株の先安観を意識させる。実際に米株安が続く場合は、外為市場でリスク回避の米ドル買いと円買いの圧力を高める要因となり得る。ゆえに現在の米ドル相場と円相場は米国の金利と株式、両にらみの状況にある。

米金利、ドル円、ダウ平均の推移

米金利、ドル円、ダウ平均の推移 チャート:Bloomberg L.P. / 5分足(19日~)

ドル円の展望とチャートポイント

今日以降は、経済指標が米金利の変動要因となり得る。米金利と高い相関関係にあるドル円(USDJPY)も米経済指標の内容で上下に振れる展開が予想される。

今日は、11月の米住宅関連指標が発表される。住宅市場の動向は個人消費に影響する。先週15日の11月小売売上(前月比)は0.6%減(コアは0.2%減)と、予想外に個人消費の減少が示された。

米国市場では景気リスクがテーマとして浮上している。この状況を考えるならば、さえない住宅関連指標は米株安の要因となり得る。米債市場では利回りに低下の圧力が高まるだろう。

株安と金利の低下が同時に発生する場合、ドル円の下落幅が最も拡大しやす。このケースでは、昨日の安値135.75レベルのトライが焦点となろう。

一方、良好な米住宅関連指標の内容が確認される場合は、上述とは逆の展開を想定しておきたい。

このケースでのドル円は、昨日の高値137.16レベルの突破が焦点となろう。モメンタム(12日)はゼロラインを突破しており、ひとまず地合いの弱さが後退している。昨日の高値を突破する場合は、21日線(MA / 137.37レベル)をトライする展開を想定しておきたい。

ドル円がこの移動平均線をも突破する場合は、重要レジスタンスポイントの138.00レベルを視野に上昇幅の拡大を予想する。

ドル円のチャート

ドル円のチャート チャート:TradingView / 日足(今年10月~)

ポンド円の展望とチャートポイント

英イングランド銀行(中央銀行/BoE)は15日、0.5%の利上げを決定した。しかし今回の決定に際しては、利上げ停止にも複数の支持が集まりBoE内での分裂が明らかとなった。

短期金融市場ではターミナルレートを4.6%台と見込んでおり、来年の半ばにもBoEの利上げサイクルが一旦停止する見方が浮上している。

一方、経済の面ではインフレ率が約40年ぶりの高水準(10.7%)にある。10月の賞与込み平均賃金(3カ月移動平均)は前年同月比で6.1%上昇と、賃金インフレが根強い。このためインフレ動向には不透明感が漂う。長期化する高インフレと急速な金融引き締めの影響により、英国経済は長期の景気後退局面に陥るとの見方がある。

BoEの分裂、利上げの停止観測、そして景気の先行きリスクも考えるならば、ポンドを積極的に買う材料は見当たらない。それでもポンド円(GBPJPY)が堅調地合いを維持しているのは、米ドル安がサポート要因となりポンドドル(GBPUSD)が上昇してきたからだ。ポンド円もこの影響を受けて高値圏で売り買いが交錯する展開となっている。

だが、169.00レベルが強固なレジスタンスポイントとして意識されていること、景気悪化の懸念で米金利が緩やかな低下トレンドを形成する可能性があること(ドル円が下値を模索する局面へ転じていること)を考えるならば、ポンド円は下落リスクを意識したい。

ポンド円が下値トライとなる場合、目先の焦点は89日線(MA/165.04レベル)のトライおよびブレイクとなろう。ポンド円がこの移動平均線をブレイクする場合は、164円台の維持が次の焦点となろう。だがテクニカルの面では、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準163.31レベルの攻防に注目したい。

一方、米ドル安やドル円の反発などでポンド円が89日線を維持する場合は、サポートからレジスタンスのラインへ転換している10日線(MA/167.27レベル)のトライが焦点となろう。

ポンド円がこの移動平均線の突破に成功する場合は、16日の高値168.01レベルのトライおよびブレイクが次の焦点として浮上しよう。

ポンド円のチャート

ポンド円のチャート チャート:TradingView / 日足(今年9月~)

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