目先の焦点は日銀ショックの「消化」期間 / ドル円の展望について
意表を突いた日銀の政策修正を受け円高が進行。目先、円相場の焦点は日銀ショックを消化する期間にある。株式動向も円相場のトレンドに影響を与える可能性あり。不透明感が漂うなか、ドル円の注目ポイントは?詳細はIG為替レポートをご参照ください。
目先の焦点は日銀ショックの「消化」期間
【サマリー】
・日銀の政策修正で円高が進行
・円相場の焦点は日銀ショックの「消化」期間と株式市場の動向
・ドル円の焦点は130円台の維持
・ドル円が130円をブレイクする場合は下落幅の拡大を警戒
日銀の政策修正で円高が進行
20日の金融政策決定会合で日銀は、長期金利の上限を0.25%程度から0.5%程度に引き上げた。
2013年以降から導入した大規模な金融緩和政策が転換点を迎えたことで、日本の国債市場では新発10年国債利回り(長期金利)が一時0.460%と、2015年7月以来の高水準を付けた。一方、国内の株式市場は大幅安となった。
12月20日の日本市場の動き
外為市場では、日銀の政策修正と今後の政策転換が意識され、対主要国通貨で円高一色の展開となった。
アジアと欧州の株安を受け、リスク資産と高い相関関係にあるオセアニア通貨でより円高が進行した。今後も株安が続く場合は、豪ドルやNZドルでさらに円高が進行することが予想される。
円相場の動向:12月20日
日銀の政策修正は、市場参加者の意表を突いたかたちとなった。ゆえに目先の焦点は、どの程度の期間を経て外為市場(円相場)が日銀ショックを「消化」するのか?この点が焦点となろう。
通貨オプション市場のリスクリバーサル(1ヶ月)の動きを確認すると、円コールが進行している。これから日本の国債市場では、海外投機筋を中心にさらなる政策の修正を促す国債売りが続く可能性がある。よって、国内の債券市場では、新たな上限「0.5%程度」での攻防が激しさを増すことが予想される。市場参加者の債券売りに日銀は指値オペで対抗するだろう。
しかし、米金利が低下トレンドへ転じているタイミングで国内金利の高止まりが続けば(または0.5%を超える局面が散見されるならば)、日銀ショックの消化期間が思いのほか長くなり、外為市場では調整の反発を挟みながら円高がさらに進行することが予想される。
リスクリバーサルの動き:ドル円、ユーロ円、ポンド円
株式市場の動きも注視する局面に
また、円相場のトレンドを考える際は、株式市場の動きにも注視したい。
11月の中旬以降、米国や世界の株式市場で再び上値が重くなっている。そして12月に入ると下落の圧力が高まっている。
この間の円相場の動きを確認すると、まず「インフレの鈍化→米金利の低下」を受け、対米ドルで円安圧力が急速に後退しドル円が下落している。ドル円の動きにユーロ円やポンド円の主要なクロス円の上昇圧力も後退している。さらに株式市場のトレンドに合わせてクロス円では上値の重い展開が続いている。このタイミングで日銀ショックが発生した。
米欧が利上げスタンスを維持する中、日銀までが政策修正に動いたことで、株式市場の先行き不透明感がさらに高まっている。今年秋以降の株式市場と円相場の動きを重視するならば、持続的な株安はかつて見られた「リスク回避の円高」の圧力を高める要因となり得る。
株式市場と円相場の動き
ドル円のテクニカル分析
130円以下の攻防を意識する局面に
このレポートでは、ドル円(USDJPY)の下落局面で注目しておきたいサポートポイントをいくつか指摘してきた。
その中で筆者が重視していた水準が、「131.50レベル」だった。この水準は、レジスタンスからサポートのポイントへ転換した経緯があるだけに、ドル円の下落局面では調整の反発を促す可能性があると筆者は考えていた。
しかし、日銀ショックの凄まじい影響力でドル円は昨日、あっさりと131.50を下方ブレイクし安値130.56レベルまで急落した。現状、ローソク足の実体ベースでは131.50レベルの維持にかろうじて成功している。しかし上で述べたとおり国内の債券市場の動向次第では、日銀ショックの消化期間に時間がかかる可能性がある。さらに株式市場の不安定化が円高圧力を高める要因になり得ることも考えるならば、131.50の完全ブレイクを想定する局面にある。
トレンドフォローに従うならば、ドル円は昨日の安値130.56レベルや8月2日の安値130.40レベルをも下方ブレイクする展開を想定する局面にある。これらの水準での攻防は、「130円維持の攻防」の意味を持つ。ゆえに、上2つのサポートポイント(130.56 / 130.40)を大陰線で一気に下方ブレイクする展開となれば、ドル円は130円以下の攻防へシフトする展開を予想する。
実際にドル円が130円以下の攻防となる場合は、今年高安のフィボナッチ・リトレースメント61.8%戻しの水準128.17レベルが、調整の反発ポイントとして意識される可能性がある。
だが、過去の推移(調整の円高局面の動き)を重視するならば、126.15レベルまで下落幅が拡大する可能性があることを意識しておきたい。
一方、ドル円の反発局面では、134.00レベルがサポートからレジスタンスへ転換する可能性がある。
ドル円のチャート
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