米国のインフレ指標と米金利の反応 / ドル円とユーロドルのチャートポイント
今週の米ドル相場のトレンドは、インフレ指標の内容と米国債利回りの反応に左右されると予想する。ユーロドルはパリティのトライ&ブレイクが焦点に。一方、ドル円の焦点とチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
米国のインフレ指標と米金利の反応
【サマリー】
・今週の米国市場はインフレ指標で上下に動く可能性あり
・インフレリスクが意識される場合の米国債利回りの反応に注目
・ドル円の焦点とチャートポイントについて
・ユーロドル パリティ割れ後の下値ポイントについて
・米国のインフレ動向と米債利回りの反応
6月の米雇用統計で労働市場の堅調さがあらためて確認された。
8日の米国市場は、主要株価指数の上値が抑制された一方、米国の債券市場では利回りが上昇した。これらの反応は、強い経済指標が米連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利上げの土台になり得ることを市場参加者が意識したことを示唆している。
今週の米国市場も経済指標にらみの展開が続くと予想する。注目は13日の6月消費者物価指数(CPI)と15日の7月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)である。
6月CPIでは、インフレの高止まり(インフレリスク)があらためて確認される場合の長期金利(10年債利回り)の反応に注目したい。
現在の米債市場は、インフレ(=金融引き締め政策)と景気の先行きリスクの “綱引き状態” となっている。そして直近の動きを確認すると、前者の方が再び優勢となりつつある。CPIでこのトレンド(米国債利回りの反発基調)がさらに加速する場合、外為市場では米ドル買いの圧力が高まることが予想される。
逆にインフレリスクが、「9月の大幅利上げの可能性上昇→景気後退」の方を市場参加者に意識させる場合は、長期金利に再び低下の圧力が高まることが予想される。このケースでの米ドル相場は、通貨ペアによってトレンドが左右されよう。
注目の通貨ペアは、ドル円(USDJPY)である。8日は米国債利回りが上昇した。しかし、ドル円の上昇幅は限定的だった。ドル円の上昇が136円台で抑制されているタイミングで、米国市場がリスク回避相場(米債利回りの低下 / 米国株の下落)となれば、ドル円の下落幅が拡大する可能性があろう。
なお、6月のCPI予想は前月比1.1%(前回1.0%)、前年同月比8.8%(前回8.6%)と、インフレが加速する見通しとなっている。
米国のインフレ率(CPI)推移
また、15日の7月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)も材料視される可能性がある。
消費者のマインドが改善傾向にあることが確認されるならば、米国市場はリスク選好相場(利回り上昇/株高)で反応する可能性がある。このケースでは、ドル円の上昇幅が最も拡大する可能性がある。
さらに同指数のインフレ期待にも注目したい。1年のそれにはピークアウトの兆しが見える。一方、中長期(5年以上先)の期待インフレ率は、3%前後で横ばい推移が続いている。
これら期待インフレ率が低下するか、もしくは上昇が抑制される場合は、米国債利回りの低下要因となり得る。同時にこのケースでは、米国株が上昇する可能性がある(消費者マインドの改善が前提)。米国債利回りの低下と米株高は、外為市場で米ドル安の圧力を高める要因となり得る(利回りの低下による米ドル売りと株高によるリスク性の高い通貨買いによる米ドル安)。
一方、期待インフレ率が再び上昇する場合の焦点はCPIと同じである。米国債利回りが上昇で反応する場合は、米ドル相場のサポート要因となろう。
問題は米国株の反応だが、インフレリスクが意識され株安(リスク回避)で反応する場合、米ドル相場の上昇幅が拡大する展開が予想される(利回りの上昇による米ドル買いとリスク回避の米ドルが合わさっての米ドル高)。
ミシガン大学消費者信頼感指数・期待インフレ率の推移
ドル円の焦点とチャートポイント
・136.70の突破と137.00のトライが焦点に
今週のドル円(USDJPY)のトレンドは、引き続き米国債利回りの動きに左右されるだろう。特に注目されるのが、先週6日以降反発基調にある長期金利(10年債の利回り)の動向である。
上で述べたインフレ指標で反発の圧力がさらに高まる場合は、136.70台の突破に注目したい。7月8日の高値136.56の突破は、136.70台をトライするシグナルと想定したい。
米国債利回りと米国株が同時に上昇する局面では、ドル円の上昇幅が最も拡大しやすい。このケースでは、136.70台の突破を予想する。実際にそのような展開となれば、次の焦点は、現時点での今年最高値137.00レベルの再トライとなろう。
・21日線と短期サポートラインの維持
一方、米国債利回りが低下する場合、もしくはリスク回避の局面ではドル円(USDJPY)の下落を予想する。
このケースでの焦点は、サポートラインとして意識されている21日移動平均線(MA)である。8日の反落局面ではこのMAで相場が反転した。
また、6月23日の安値134.26レベルを基点に直近の下ヒゲをつなぎ合わせると、短期サポートラインが形成されていることがわかる。このラインは今週、135.20→50レベルで推移する。ドル円が反落しても上2つのテクニカルラインを維持する展開となれば、136.70台および137.00トライのトレンドが続くだろう。
一方、これらテクニカルラインを完全に下方ブレイクする場合は135.00割れ、およびフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準134.50レベルまでの反落を警戒したい。
ドル円のチャート
ユーロドルの焦点とチャートポイント
・焦点はパリティ(1ユーロ=1ドルの等価)のトライ&ブレイク
ユーロドル(EURUSD)は現在、パリティ(1ユーロ=1ドルの等価)を視野に下落トレンドを維持している。
8日の安値は1.0071レベル。日足ローソク足は、長い下ヒゲが示現しての陽線引け。かたちは反発の可能性を示す陽のカラカサとなった。この動きは、1ユーロ=1ドルレベルでのユーロ買いの強さを示唆している。
だが、ユーロドルのリスクリバーサル(1ヶ月)の動きを確認すると、ユーロ・プットへ振れる動き(プットオーバー)が続いている(今日現在-1.90)。上で述べたとおり、今週は米国のインフレ関連指標で米債市場と米ドル相場が上下に振れる可能性がある。インフレ指標が米欧の利上げペースの格差を意識させる場合、ユーロドルはパリティのトライそして下方ブレイクを意識する展開になると予想する。
ユーロドルがパリティ割れの展開となる場合、フィボナッチ・プロジェクションで次のサポートポイントを探ると、161.8%の水準0.9922レベルが浮上する。
だが、真に注目すべきは、パリティがレジタンスポイントとして意識されるかどうか?にある。これが確認される場合は、0.99台などあっさりと下方ブレイクし、261.8%の水準0.95前後(0.9494レベル)を視野にユーロドルの下落幅が拡大する展開を警戒したい。
・10日線と短期レジスタンスライン
一方、今週の米インフレ指標がドル売りの要因となる場合、ユーロドル(EURUSD)は10日移動平均線(EMA /今日現在1.0295レベル)のトライ&ブレイクとなるか注目したい。8日のレポートで指摘した5日移動平均線(MA /今日現在1.0190台)と1.0265のブレイクは、10日線トライのシグナルとなり得る。
ユーロドルが10日線をも突破する場合は、6月27日の高値1.0615レベルを基点とした短期レジスタンスラインのトライ&ブレイクが次の焦点として浮上しよう。このラインは今週、1.0340→1.0220レベルで推移する。
ユーロドルのチャート
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