米国イベント後のドル円の展望と注目のチャートポイントについて
今週のドル円は、5月の米消費者物価指数(CPI)と連邦公開市場委員会(FOMC)の結果次第で上下に振れる展開が予想される。焦点は138.00-141.00のレンジブレイクとなろう。注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
※5月米CPIとFOMC後の外為市場の展望についてはこちらのレポートをご覧ください
サマリー
・今週のドル円のトレンドは、5月米CPIとFOMCイベントの結果に左右されよう
・焦点は138.00-141.00のレンジのブレイクアウトにある
・レンジのブレイクアウト後に注目しておきたいチャートポイントについて
焦点はレンジのブレイクアウト
今週のドル円(USDJPY)は下限を138.00レベル、上限を141.00レベルと想定したレンジのブレイクアウトが焦点となろう。
通貨オプション市場のリスクリバーサル(1ヶ月/3ヶ月)の動向を確認すると、ドル・プットの傾きが後退する状況にある。5月の米CPIでインフレ圧力の根強さが確認され、かつFOMCが “タカ派的” と市場で捉えられる場合、ドル円はレンジの上限141.00レベルをブレイクアウトする展開が予想される。
ドル円とリスクリバーサルのチャート
上昇局面での焦点
今週、ドル円(USDJPY)が上値トライとなる場合、まずは10日MA(今日現在139.48レベル)の突破が焦点となろう。この移動平均線は、先週9日の反発局面で相場の上昇を止めた経緯がある。
10日MAすら突破できない状況が続けば、レンジの下限138.00レベルを視野に入れる下落相場を警戒しておきたい。
一方、ドル円が10日MAを上方ブレイクする場合は、140.50レベルの攻防が焦点となろう。
先週の7日と8日の市場では140.25前後で相場の戻りが止められた。ゆえに140.25レベルの突破は、ドル円が140.50をトライするシグナルと想定しておきたい。
ドル円が140.50レベルの突破にも成功すれば、想定レンジの上限である141.00レベルのトライを意識したい。
下落局面での焦点
一方、今週のドル円(USDJPY)が下値トライの相場となる場合、目先は139.00レベルまで上昇している21日MAの維持が焦点となろう。
ドル円がこの移動平均線(21日MA)をあっさりと下方ブレイクする場合は、138.00レベルを視野に下落幅の拡大を警戒したい。IG為替レポートで何度か取り上げてきた138.20レベルのブレイクアウトは、ドル円が138.00をトライするシグナルと想定しておきたい。
日足のMACDではデッドクロスが示現し、強気相場の地合いが後退していることを示唆する状況にある。5月の米CPIとFOMCがともに米ドル売りのイベントになれば、138.00レベルの下方ブレイクを警戒したい。
ドル円のチャート
レンジブレイク後のチャートポイントは?
141.00をブレイクした後のチャートポイント
ドル円(USDJPY)が141.00レベルを完全にブレイクアウトする場合は、2つの点に注目したい。
ひとつは、141.00レベルの “サポート転換” である。これが確認される場合、ドル円はさらに上値を目指す展開が予想される。
もうひとつの注目ポイントは、22年の最高値151.94レベルと23年1月の安値127.22レベルのフィボナッチ・リトレースメント61.8%戻しの水準142.50レベルのトライである(下の週足チャートを参照)。
今週15-16日に日銀金融政策決定会合が開催される。植田日銀は、現行の金融緩和政策を維持する公算が大きい。ゆえに6月のFOMCでFRBによる利上げ政策の長期化が意識される場合は、日米の金融政策スタンスの差に対する市場参加者の思惑が、引き続きドル円のサポート要因となろう。
日銀イベント後にこの差が意識され、ドル円が142円台へ難なく上昇する場合は、142.50のトライを想定しておきたい。
ドル円のチャート
138.00を下方ブレイクした後のチャートポイント
一方、ドル円(USDJPY)が想定レンジの下限138.00レベルを下方ブレイクする場合は、今年高安のフィボナッチ・リトレースメント23.6%戻しの水準137.70レベルがレジスタンスからサポートへ転換するかどうか?この点を確認したい。
ドル円がこのレベル(137.70レベル)をも下方ブレイクする場合は、下落幅がさらに拡大するシグナルと捉えたい。このケースでは、3月24日の安値129.64レベルを起点とした短期サポートラインおよび50日MA(今日現在136.15レベル)の維持が次の焦点として浮上しよう。
ドル円のチャート
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