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【新興国通貨】トルコ中銀は政策金利を維持か リラ売りを警戒 トルコリラ円 (TRYJPY) の見通し

23日にトルコ中銀が政策会合を開く。政策金利が据え置かれる一方、インフレ注視の姿勢を維持する公算が大きい。中銀イベントでトルコリラの買いが見られても、その動きは一時的な動きで終わることが予想される。トルコリラ円の見通しは?注目のチャート水準は?

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記事のポイント

・トルコ中銀が政策会合を開く、インフレ注視も政策金利は維持か
・トルコリラ円とドル円の関係について
・トルコリラ円が上昇しても、目先は50日線までが限界か
・中銀イベントでリラ安が進行すれば、4.60を視野に下落幅の拡大を警戒したい


トルコ中銀は政策姿勢とリラの展望

トルコ中央銀行は23日、金融政策決定会合を開く。主要政策金利である1週間物レポ金利を年50%で据え置く見通しである。

しかし、同国のインフレ率(消費者物価指数)は前年同月比で71%台と高止まりしている。ゆえに、トルコ中銀は前回の会合で指摘したとおり、インフレ率の基調的かつ持続的な鈍化と見通しのレンジにインフレ期待が収束するまで、金融引き締めの姿勢を維持する公算が大きい。

また、市場の不安定化に対応するため、政策金利のコリドー(上限金利と下限金利の差)の拡大措置を取る可能性もある。

トルコ中銀がインフレ注視のタカ派姿勢を維持する場合は、リラの買い要因になり得る。しかし、インフレ率が政策金利をはるかに上回る状況で政策金利の据え置きを決定すれば、トルコリラ買いが見られても、その動きは短期で終息すると思われる。リラ売りを警戒したい。

トルコのインフレ率と政策金利:2018年以降

トルコのインフレ率と政策金利:2018年以降 ブルームバーグのデータで筆者が作成 / インフレ率:消費者物価指数(CPI)前年同月比

トルコリラ円のチャートポイント

レジスタンスの水準

・4.822:50日線
・4.800:レジスタンスの水準
・4.770:直近のレジタンス水準

サポートの水準

・4.680:サポート水準
・4.650:フィボナッチ・リトレースメント61.8%
・4.600:レンジの下限


トルコリラ円、目先の見通し

下落相場からレンジ相場へ

23年までトルコリラ円(TRY/JPY)は下落一辺倒の相場にあった。しかし、24年以降は50日線を挟んで売り買いが交錯し、上限を4.90、下限を4.60としたレンジ相場へシフトしている(下の日足チャートを参照)。

トルコリラ円の下落トレンドは一服している。しかし、直近のMACDはデッドクロスを形成した後、ゼロラインを下回る状況にある。RSIの低下は一服しているが、ゴールデンクロスは確認されていない(いずれも日足チャート、赤矢印を参照)。

政治的な圧力に直面しているトルコ中銀の状況と下で述べるドル円(USD/JPY)との関係も考えるならば、トルコリラ円はレンジの下限をトライする展開を意識しておきたい。

トルコリラ円のチャート:日足 23年6月以降

トルコリラ円のチャート:日足 23年6月以降

出所:TradingView


トルコリラ円とドル円の関係

トルコリラ円(TRY/JPY)、ドル円(USD/JPY)、そして(USD/TRY)の関係を対数差分の相関係数で確認すると、ドル円と高い相関関係(順相関の関係)にあることが分かる(下のチャート、赤枠を参照)。

そのドル円は現在、50日線(今日現在158.00レベル)で相場の戻りが止められ、調整の反落相場が続いている。今日は安値156.20レベルまで下落する局面が見られた(レポート掲載時点での安値)。

来週の日銀金融政策決定会合で国債購入の減額と追加の利上げが同時に決定される場合は、短期的に調整の円買いが進行することが予想される。

7月の会合で植田日銀は追加の利上げを見送るとの見方が優勢である。しかし、利上げ見送りを完全に否定できない状況でドル円が調整の反落局面にあることを考えるならば、トルコ中銀が今日の政策会合で政策金利を据え置く場合、トルコリラ円には下押しの圧力が強まることが予想される。

トルコリラ円と各通貨ペアの相関関係

トルコリラ円と各通貨ペアの相関関係 ブルームバーグの為替データで作成 / 対数差分の相関係数 年初来 データ数148


反発しても上昇幅は限定的

現在、トルコリラ円(TRY/JPY)は50日線の下で推移している。相場と50日線の乖離率はじわり拡大の傾向にある。ストキャスティクスは売られ過ぎの水準で推移している(いずれも下の日足チャート、赤矢印を参照)。これらの状況は、短期的な反発相場の可能性を示唆している。

しかし、上で述べたMACDとRSIの動向は、トルコリラ円の地合いの弱さを示唆している。また、調整相場にあるドル円(USD/JPY)との関係も考えるならば、トルコリラ円が上昇しても、その幅は限定的となることが予想される。

50日線(4.822レベル)を目先の上限と想定し、19日以降相場の反発を止めている4.770レベル、そして「レジスタンス転換」の可能性がある4.800レベルで反落する展開を想定しておきたい。

3つのサポート水準

トルコ中銀イベント後にトルコリラ円(TRY/JPY)が下値をトライする場合は、今日以降、3つのサポート水準の攻防に注目したい。

最初の水準は、4.680レベルである。今年の4月以降、この水準はサポートポイントとして意識されている(下の日足チャート、黒矢印を参照)。

トルコリラ円が4.680を完全に下方ブレイクする場合は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準4.650のトライを想定したい。

トルコリラ円が4.650レベルをも下方ブレイクすれば、上で述べたレンジの下限4.600のトライが現実味を帯びてこよう。

トルコリラ円のチャート:日足 年初来

出所:TradingView


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