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【トルコリラ円の展望】8月CPIは鈍化の見通し、注目材料は米経済指標とドル円の動向

今日はトルコの8月消費者物価指数(CPI)が発表される。さらなるインフレの鈍化はトルコリラの売りと買い、両方の要因を持つ。しかし、トルコリラ円のトレンドを考えるうえで注視すべきは、今日以降の米経済指標とドル円の動きとなろう。トルコリラ円の見通しと注目のチャート水準は?

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記事のポイント

・8月の消費者物価指数でトルコのインフレ鈍化が示される見通しにある
・インフレの鈍化はトルコリラの売りと買い、両方の要因となろう
・トルコリラ円は現在、テクニカルの面で分岐点に差し掛かっている
・目先注目しておきたいチャート水準について


鈍化へ転じるトルコのインフレ

今日の日本時間16時に、トルコの8月消費者物価指数(CPI)が発表される。前年同月比の市場予想は51.86%と、前月の61.78%からインフレがさらに鈍化する見通しにある。

一方、同比のコア指数も50.10%と、7月の60.23%から鈍化すると予想されている。市場の予想どおり、またはそれ以上に鈍化する場合、CPIコアは政策金利とほぼ同じ水準まで低下することになる。

トルコのインフレ率:2023年以降

トルコのインフレ率:2023年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

トルコリラ、CPI後の展望

展望1:実質金利の上昇とリラ買い

トルコの実質金利(政策金利-インフレ率)は現在、マイナス圏にある。しかし、8月消費者物価指数(CPI)で予想以上にインフレが鈍化する場合は、同国の実質金利の押し上げ要因になる。

異常な物価高のさらなる抑制とそれに伴う実質金利の上昇は、トルコリラにとってポジティブな要因である。

トルコの実質金利:2020年以降

トルコの実質金利:2020年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

展望2:利下げ観測によるリラ売り

一方、さらなるインフレの鈍化は、外為市場にトルコ中銀の利下げを意識させる要因でもある。

トルコ中銀は8月20日の会合で、インフレの上振れリスクを引き続き警戒する姿勢を維持するとし、利下げ政策へ転換する時期についての手がかりを示さなかった。一方、ロイターが実施したエコノミストの調査によれば、早ければ今年の10月にトルコ中銀が利下げに踏み切る可能性があるという。

しかし、サービス部門のインフレ率は高止まりしている。また、6月の中銀調査でトルコの家計が予想する1年後のインフレ率は72%と中銀の予想(24 年末のCPI上昇率の予想中央値が前年比38%、25年末が14%)とかなりの乖離が見られる。不穏な中東情勢がエネルギーの上昇要因となるリスクがくすぶっていることも考えるならば、利下げのタイミングは後ずれする可能性があろう。ゆえに8月CPIがリラ売りの要因となっても、それは一過性の要因と捉えたい。

米経済指標とドル円の動向

トルコのCPIはリラ相場を動かす可能性がある。しかし、トルコリラ円(TRY/JPY)に限るならば、今日以降の米経済指標とドル円(USD/JPY)の反応がより重要となろう。

この点については、2日のIG為替レポート「ドル円の週間見通し、経済指標次第では米ドル安の再燃も、今週はISM指数と雇用統計に注目」で詳細に述べた。

今日は8月の米ISM製造業景気指数が発表される。今日のIGコモディティレポート「調整ムードのNY金、米経済指標にらみの1週間、今日の注目指標と見通し」で述べたとおり、強い内容ならば「米金利の反発→米ドル買い」が予想される。米ドル買いはドル円の上昇要因となろう。ドル円の上昇はトルコリラ円をサポートしよう。

一方、さえない内容となれば、「米金利の低下→米ドル売り→ドル円の下落」を受け、トルコリラ円は下値をトライする展開が予想される。

トルコリラ円の見通しとチャート分析

トルコリラ円(TRY/JPY)は現在、テクニカルの面で分岐点にある。その分岐点とは、短期の上値抵抗線の攻防である。昨日は21日線の上方ブレイクに成功したが、上値抵抗線で上昇が止められた。今日はこのラインを意識した動きとなっている。

今日のトルコリラ円はまず、8月CPI後の動きに注目したい。上で述べたとおりトルコ中銀が抱くインフレリスクへの警戒感は根強く、9月19日の会合では政策金利を現在の50%に据え置く公算が大きい。この状況で8月CPIが予想どおりかそれ以上に鈍化すれば、実質金利はさらに上昇しよう。実質金利の上昇はトルコリラのサポート要因になり得る。

8月CPIがトルコリラ買いの要因となれば、トルコリラ円はフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準4.407レベルを視野に上昇幅が拡大する可能性が高まろう(下のチャート、赤矢印を参照)。このテクニカルラインは8月上旬から中旬にかけて相場の上昇を止めた重要なレジスタンスの水準である。

一方、8月CPIの鈍化で利下げ期待に注目が集まる場合、トルコリラは下落しよう。トルコリラ円は21日線を再び下方ブレイクすることが予想される。このケースでは、サポートラインへ転換するムードにある10日線の攻防を想定しておきたい。21日線は今日現在4.29レベル、10日線は4.25レベルでそれぞれ推移している。

本日、トルコリラ円が10日線を目指す要因として注目したいのが、上で取り上げた今晩の米ISM製造業景気指数である。市場予想の47.5を下回る場合は、「米ドル安→ドル円の下落→トルコリラ円の下落→10日線のトライ」を想定しておきたい。

トルコリラ円:日足 24年7月以降

トルコリラ円:日足 24年7月以降

出所:TradingView


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