ドル円の週間展望とチャート分析、156.00の上方ブレイクか21日線の下方ブレイクか?
外為市場ではじわりと米ドル高の圧力が後退している。しかし根強い円安にサポートされ、ドル円(USD/JPY)は上値をトライする状況が続いている。目先の焦点は156.00の突破となろう。この水準を上方ブレイクする場合、次に注目したいレジタンスの水準は?一方、反落の局面で注目しておきたいテクニカルラインは?
サマリー
・米ドル高の圧力が後退しても、ドル円は155円台で底堅さを維持している
・今週も上値をトライする場合、156.00レベルの突破が最初の焦点となろう
・156.00を完全に突破する場合は、「1円レンジ」の攻防を意識したい
・一方、ドル円の反落局面では21日線のサポート転換を確認したい
156円の突破は、さらなる上値トライのシグナルに
ドル円(USD/JPY)は現在、156.00レベルを意識する状況にある。この水準は、直近高安の半値戻しの水準にあたる。また、5月2日の早朝に円相場が急伸した後の反発相場を止めた経緯もある。ゆえに今週も156.00レベルを目先のレジスタンスポイントと想定しておきたい。
ドル円が今週、156.00レベルを突破する場合は、さらなる上値トライのシグナルとなろう。
ドル円のチャート:1時間足 4月下旬以降
上昇局面では「1円レンジ」の攻防を意識したい
ドル円(USD/JPY)が156円台へしっかりと上昇する場合は、先週のIG為替レポートで指摘したとおり「1円レンジ」で新たな上値の水準を見極めることになろう。
最初の焦点は157.00レベルのトライである。この水準は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる(下のチャートを参照)。4月30日の東京時間から欧州時間の序盤に、61.8%戻しの水準で相場の反発が止められる局面が見られた。再びレジスタンスの水準として意識される可能性があろう。
ドル円が157円台へしっかりと上昇する場合は、158.00レベルのトライに注目したい。4月29日に円相場が突如急伸した。その後の反発を相場を止めたのが158.00レベルである。そして5月2日の早朝に再び円相場が急伸した時の高値水準でもある。
これら2回の円高は、約8兆円規模の為替介入(円買い介入)が要因との観測がある。ゆえに、158円を目指す過程では、為替介入に対する警戒感による「不意打ちの円高」が発生する展開を警戒しておきたい。
時間足のストキャスティクスとRSIを軸に相場の過熱感を確認し、これらが短期的な「買われ過ぎ」を示唆する状況でドル円が上で取り上げたレジスタンスの水準をトライする局面では、反落相場を想定しておきたい。
特にオシレーター指標が買われ過ぎの水準でデッドクロスの状況にある場合は、反落の可能性を示唆するシグナルと捉えたい。
ドル円のチャート:1時間足 4月下旬以降
反落の局面での焦点は155円の維持、21日線のサポート転換を確認
通貨オプション市場のリスクリバーサルに大きな変動は見られない。だが、直近は再びドルプットへ傾くムードにある。しかし予想変動率は現在、10%を割り込み低い水準で安定的に推移している。
また、日足のモメンタムも再びゼロラインを視野に反発のムードにある(一番下の日足チャート、赤矢印を参照)。
植田日銀がタカ派の姿勢へ転じる可能性を示唆しても根強い円安が続いている状況も考えるならば、ドル円(USD/JPY)の下落幅は限定的となることが予想される。
ドル円のリスクリバーサルと予想変動率のチャート:日足23年5月以降
今週、ドル円(USD/JPY)のトレンドを左右するのが、こちらのIG為替レポートで取り上げた米国の経済指標となろう。これらが米ドル安の要因となる場合、ドル円は調整の反落相場を想定しておきたい。
ドル円が下値をトライする局面で最初に注目したいのが、155円の維持である。テクニカルの面でこの水準は、直近高安のフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準にあたる。
また、21日線が今日現在、155.10付近まで上昇している(下のチャート、青ラインを参照)。ゆえに155.00レベルは、テクニカルの面でサポートの水準として意識されやすい状況にある。
ドル円が155円の維持に失敗する場合は、フィボナッチ・リトレースメント38.2%戻し以下の攻防に注目したい。
ドル円が76.4%戻しの水準152.81レベルを下方ブレイクする場合は、50日線(今日現在152.44レベル)をトライするシグナルとなろう。
この移動平均線は5月上旬の円高を止めた経緯がある。ゆえに、目先の下限(サポートライン)と想定しておきたい。
ドル円のチャート:日足24年4月以降
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