植田新総裁の発言により円安が進行 任天堂の株価は上昇
堅調な推移を続ける米国の労働市場や、日銀新総裁の発言を受け、円安は10日にも続いた。これにより投資家の間では外需への期待が高まり、任天堂のような主要輸出企業の株価が上昇した。
日銀の植田和男新総裁が、今後の金融政策について予想通りハト的な姿勢を示したことを受け、10日は円安ドル高となった。
ゲームの輸出大手である任天堂(7974)にとって円安は追い風となるが、株価の上昇に直接繋がったのは7日に発表された好決算であると見られる。
植田新総裁の発言で円安進行
10日の日経平均株価は、0.42%の小幅高で引けたが、日銀の植田和男新総裁の発言が投資家と外国為替市場の注目を集めた。2月に発表されたハト派新総裁の指名は円安に繋がり、投資家は敏感に反応した。10日に植田新総裁が講演すると、ハト派への期待は更に高まった。講演で植田新総裁は、インフレ率が2%に達していない以上、日銀の金融緩和策は当面維持するべきであると述べた。
同日の米ドル/円相場は、主に植田新総裁の発言を受けて一時1.5%以上上昇し、6日から続いている円安を更に押し進めるものとなった。
対ドルで進む円安は米国の状況を反映したものでもある。3月の米国国内の雇用者数は23万6000人増加し、失業率も3.5%と低い水準を維持した。この労働市場の過熱がインフレ圧力を高める可能性があるとして、米国が厳しい利上げを継続するとの見方が強まっている。これにより、米国債の需要が高まることで、利回りの上昇、米ドルの需要増が予想されている。植田新総裁による市場の流動性を維持する趣旨のコメントは、米ドル/円相場の調整にも加味された。
円安が任天堂などの輸出企業を後押し
円安は日本の主な輸出企業にとっては好材料となり、実際にいくつかの銘柄は4月第3週に既に上昇している。円安は海外の顧客が支払う金額を押し下げるため、日本企業の製品やサービスへの需要を押し上げることになる。特に、海外の顧客が多い企業にとっては、円安が進めば進むほど利益も増えることになる。
例えば、大手輸出企業である任天堂にとって10日の円安はプラス要因となり、円安が進む中、同社の株価は4%高の5,406円で取引を終えた。ポータブルゲームコンソールの「Nintendo Switch」や「スーパーマリオ」、「ゼルダの伝説」など大人気シリーズのフランチャイズを展開する同社の昨年の海外売上比率は75%以上にものぼり、業績は為替変動に大きく左右される。2023年3月期の第1〜3四半期において、同社は円安ドル高により、289億円の追加利益を上げた。
同社の株価上昇は、堅調に推移する米国の労働市場が底堅い消費を表しているという投資家の期待を反映したものでもある。これはつまり、テック株の不透明性が高い中、投資家にとって任天堂は他の銘柄より安全な投資対象と見られている可能性も示している。
同社は製品の大半を米大陸で販売しているため、米国のマクロ経済動向を把握する上で重要な指標となる。5月に発表される任天堂の通期決算は、投資家にとっては世界経済における消費者心理を反映する判断材料ともなる。円安が今後も継続する場合、投資家の興味は自動車メーカーや、電機メーカー、観光業など、他の輸出企業に向け始められるかもしれない。
10日の日経平均は0.42%高の27,633円66銭で取引を終えた。
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