ドイツ株価指数（DAX）とは？ 算出方法や歴史、構成銘柄を解説
ヨーロッパの中でも強い工業国であるドイツ。ドイツの主要な株価指数「ドイツ株価指数（DAX指数）」は、2021年9月に構成銘柄数をこれまでの30から40に増やし、採用条件も見直しました。ドイツ株価指数の歴史や特徴、構成銘柄、取引方法について見ていきましょう。
ドイツ株価指数（DAX）とは
ドイツ株価指数（DAX指数）とは、フランクフルト証券取引所（FSE）上場銘柄のうち、優良企業40銘柄から算出した指数です。「Deutsche Aktien Index」の頭文字を取って、「DAX」「DAX40」と呼ばれています。
フランクフルト証券取引所はドイツ内で最大、世界では第12位の規模を誇る証券取引所です（国内市場時価総額、2022年1月1 ）。時価総額加重平均型の株価指数であり、1987年12月30日を基準値（1000）としています。
世界有数の工業先進国であり、貿易大国であるドイツのGDPは欧州内で第一位の規模です。ドイツを代表する株価指数DAXは、ユーロ圏はもちろん、世界の投資家からも注目されています。
ドイツ株価指数のレート
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。レートは少なくとも15分遅れとなっております。
DAX構成銘柄の変更、新ルールの適用
2021年9月20日に、DAXは構成銘柄数を30から40へ変更しました2。構成銘柄が10増えたことで、DAXがカバーする業種の幅も広がりました。
これに伴い、DAXの採用基準も厳格化。変更に至った要因は、DAXの構成銘柄の一つであったワイヤーカード社の粉飾事件が発覚したことにあります。同社は破産を申請し、経営破綻しました。新規定では、採用や除外の基準を厳しくして、指標の質の向上、ガバナンスの強化をめざします。
DAXの銘柄数が変わるのは今回が初めてのことで、1988年に算出が開始されてから最大の見直しとなりました。
新しくDAXに追加された10銘柄
2021年9月20日より、10の銘柄がDAXへ追加採用されました。ポルシェやプーマ、エアバス、シーメンスなど世界的に知られる企業のほか、最近日本市場へも進出した、宅配調理キットのハローフレッシュなどが含まれています。これによりDAXの構成銘柄数は30から40に。これらの銘柄はドイツの中型株により構成される株価指数MDAXに採用されていたもので、MDAXの構成銘柄数は60から50に変更になりました。
新しくDAXに採用となった銘柄は次の10銘柄です。
- エアバス（航空機）
- Zaland（ファッションEC）
- シーメンスヘルシニアーズ（医療・ヘルスケア）
- シムライズ（化学メーカー）
- ハローフレッシュ（ミールキット宅配）
- ザルトリウス（バイオ医薬品・医療機器）
- ポルシェ（自動車）
- ブレンターク（化学商社）
- プーマ（スポーツ用品）
- キアゲン（バイオテクノロジー）
ドイツ株価指数（DAX）の採用条件
DAX採用銘柄の対象となる企業は、次の条件を満たしている必要があります。3
- DAXの新規候補となる銘柄は、直近2年分の通期決算でEBITDA（利払い前・税引き前・減価償却前利益）が黒字であること
- 監査済みの年次財務報告書と四半期報告書の発行を義務付け。期限までに提出できず、30日間の警告期間のあと、これらの要件に違反した場合、ただちに除外される
- すべての構成銘柄は、ドイツのスーパーバイザリー・ボードでの監査委員会の設置に関して、ドイツ・コーポレートガバナンス・コードの勧告（Recommendations）への準拠が必須
- 取引の売買高は、ランキングプロセスで考慮されなくなり、時価総額によってのみ採用が決定される。構成銘柄は最低の売買高基準を満たす必要がある
新規定の適用に伴い、これまでDAX採用の条件であった「プライムスタンダード」を満たす必要はなくなりました。
ドイツ株価指数（DAX）の歴史
DAXは、1987年12月30日の基準価額を1000として1988年7月1日にFSEに登場しました。ただし、これはドイツの主要な金融新聞が1959年に始めたBörsen-Zeitungという以前からある指数を引き継いだものです。
DAX以外のドイツの株価指数
1988年以来、次のような指数がDAXの運営者であるドイツボース（Deutsche Börse）によって追加されました。
- MDAX : 1996年に追加。DAX銘柄に続くテクノロジー分野以外の上位50社が対象→DAXが30社から40社に変更となったのに伴い、MDAXは60社から50社に変更
- TecDAX : 2003年に追加。DAX銘柄に続くテクノロジー分野の上位30社が対象
- HDAX : 2003年にDAX 100の後継として追加。DAX、MDAX、Tec DAXを統合したもの
DAX指数の変遷
DAXは最初の数年間で急成長し、1993年には2000ポイントを超え、1998年には5000ポイントを超えました。西暦2000年の幕開けとともにDAXは急騰し、同年の初めには一時期7500ポイント超えを記録します。
しかし、2000年代初期のドットコムバブルのブームが崩壊したことでDAXも大きな打撃を受け、その後3年間は弱気相場が続きます。2003年初めに同指数は再度2500を下回りました。
2008年の世界金融危機直前にDAXは7500超えまで回復していましたが、この危機によりまた暴落し、4000を割り込みます。しかしながら、2度目も復活を果たしたのです。この暴落後の10年間は最高記録が何回も書き換えられます。2015年3月16日の12000の大台乗せもその一つです。
それ以降DAXは、英国や米国の指数に比べ値動きがかなり大きい傾向にあり、多くのトレーダーにとって魅力的な市場になりました。一方、それに伴うリスクも大きくなりました。
ドイツ株価指数（DAX）の構成銘柄
2021年9月から構成銘柄数が30から40に増えたDAX。2022年4月現在の構成銘柄は次の通りです。
| E.ON SE |
| Mercedes-Benz Group AG |
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。レートは少なくとも15分遅れとなっております。
ドイツ株価指数（DAX）に影響を与える要因は
DAXは他の主要指数に比べて変動が大きい傾向があり、トレーダーの間で人気のある指数です。ここでは、DAXの値動きを左右する主な要因をご紹介します。
出所：IG証券
- 経済指標
ドイツの企業は、経済全体が好転しているときには業績が良くなり、不況時には苦戦する傾向があります。そのため、経済指標はDAXに大きな影響を与える可能性があります。
- 欧州連合に関するニュース
ドイツは欧州連合（EU）最大の経済大国であり、DAXの構成銘柄の多くは欧州を中心に販売されています。そのため、EUを取り巻くネガティブなニュースは、その価格に影響を与える可能性があります。
- 為替レート
ドイツで力のある企業のほとんどが輸出産業です。例えば、BMW、フォルクスワーゲン、バイエルは、世界各国への輸出に依存しています。そのため、為替レート、特にユーロの変動がこれらの企業の業績、株価に影響を与える可能性が高いといえます。
- 決算報告
DAXは、構成銘柄の業績報告がプラスであれば上昇し、マイナスであれば下落します。DAX指数は時価総額加重型であるため、大企業であればあるほど指数への影響が大きくなります。
ドイツ株価指数（DAX）の取引時間
フランクフルト証券取引所の取引時間
DAXの主な取引時間は、フランクフルト証券取引所の取引時間である9:00～17:30（ドイツ現地時間）、日本時間では17:00～翌1:30です。このほか、取引時間の前（日本時間16:00～17:00）と後（日本時間 1:30am～6am）にもデータの算出が行われています。
※夏時間の場合は取引時間が異なります。
※2021年11月29日から、フランクフルト証券取引所での株式取引は、現地時間午後10時（日本時間翌日の午前６時）まで可能になりました。
ドイツ株価指数（DAX）の取引方法
S＆P500 やダウ、日経平均など他の株価指数と同じように、DAXも株式投資のような現物取引はできません。先物取引やCFDなどの金融派生商品を利用した取引をすることになります。
IG証券ではDAXを株価指数CFDで取引いただくことができます。CFD取引（差金決済取引）は、資産を所有することなく、資産の価格が上昇または下降するかを予測して行うものです。例えば、DAXが上昇すると予測すれば「買い取引」、反対に下落すると予測する場合は「売り取引」を選択して取引を開始します。
IG証券でDAXに投資したい場合は、銘柄名「ドイツ40（ドイツ40種株価指数）」を選んでください。
株価指数CFDのほか、バイナリーオプション、ノックアウト・オプションでもDAXを取引することが可能です。
ドイツ株価指数（DAX）のまとめ
DAXは、ドイツを代表する証券取引所であるフランクフルト証券取引所に上場する銘柄の中から算出された、40の銘柄を対象にした株価指数です。
2021年９月に、それまでの30から40へと採用銘柄数が変更になり、採用基準も厳格化されました。これによりDAXがカバーする銘柄の多様性向上、ガバナンスの強化が期待されています。
ドイツを代表する企業の銘柄から構成されたDAXは、IG証券では株価指数CFDを使って取引を行うことができます。24時間オンラインで取引いただくことが可能です。
IG証券では、無料でお使いいただけるデモ口座をご用意しています。デモ口座では、6000万円の仮想資金を自由に使ってトレード体験をいただくことが可能です。また、無料の学習コンテンツIGアカデミーでは投資・金融に関する基礎知識から上級者向けの内容まで豊富なコンテンツをご用意しています。こちらもぜひご活用ください。
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