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【米国株】エヌビディアの決算、低すぎるVIXとVXNは不穏なサイン?ナスダック100のサポート水準は?

米国の主要な株価指数は現在強気相場にある。特にナスダック100は連日で最高値を更新している。しかし、米国株のボラティリティ指数(VIXとVXN)は低水準にある。エヌビディアの決算と米金利の動向次第では、一転して調整の反落ムードが高まる可能性があろう。ナスダック100が再び反落相場へ転じる場合、注目しておきたいサポートの水準は?

Source:Getty Images Source:Getty Images

サマリー

・市場参加者の関心は、エヌビディアの決算に集中している
・エヌビディアの決算が投資家の期待を下回れば、ナスダック100は下落しよう
・FRB高官の言動で米金利の上昇も重なれば、ナスダック100の下落幅が拡大しよう
・下落の局面では、2つの移動平均線と18,000レベルの攻防に注目したい


低すぎるボラティリティは不穏なサイン?

21日のIG米国株レポートでは、エヌビディアの決算(日本時間23日未明)と米連邦準備制度理事会(FRB)高官の言動を受けた米金利の動きが、今週の米国株の変動要因になると指摘した。

特にナスダック100(NDX)は、これら重要イベントの内容で上下に大きく振れる展開が予想される。エヌビディアの決算が投資家の期待を下回り、FRB高官の言動で米金利の上昇幅が拡大する場合、ナスダック100は4月と同じく反落相場を警戒したい。

米国株が下落する可能性を考えるうえで現在筆者が注目しているのが、米国株のボラティリティ指数である。

S&P500種株価指数(SPX)のオプション取引価格から算出されるVIX指数(VIX)は現在、12ポイント前後の水準まで急低下している。そしてナスダック100のオプション取引価格から算出されるVXN指数も15ポイント前後と、こちらも超が付くほどの低水準で推移している。

通常、これらボラティリティ指数の低下は投資家のリスク選好姿勢が高まっていることを示す。しかし、ボラティリティがある程度低下した後は、それが急に拡大する特性がある(下のチャート、赤ゾーンを参照)。

上で述べたとおり、現在のVIX指数は12ポイント前後、VNX指数は15ポイント前後と超低水準にある。過去、ボラティリティが拡大する前の水準よりもはるかに低い水準で推移している今の状況は、何らかのリスクイベントが発生する場合、急速にボラティリティが拡大する可能性を内包した状況と考えることができる。

そしてエヌビディアの決算と米金利の動向は、そのリスクイベントになり得る。

VIX指数とVXN指数のチャート:週足 21年以降

VIX指数とVXN指数のチャート:日足 21年以降 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成

メタに続きエヌビディアが崩れる場合は、株高のけん引役が不在に

23年以降、米株高をけん引してきたのが、エヌビディア(NVDA)やGAFAに代表される「マグニフィセントセブン(壮大な7銘柄)」である。

しかし、24年以降のマグニフィセントセブンのパフォーマンスを確認すると、多くの銘柄で上昇のトレンドに陰りが見え始めている。

本レポート掲載の時点で5銘柄が、ナスダック100(NDX)のパフォーマンスを上回っている。しかし、マイクロソフト(MSFT)はナスダック100とほぼ同じ上昇率である。アルファベット(GOOGL)とアマゾン(AMZN)の上昇も抑制されている(ともに下のチャート、青ラインを参照)。

注目は、メタ・プラットフォームズ(META、以下ではメタ)である。4月以降パフォーマンスが低迷し、直近の決算で低調な業績見通しを示したことで株価の反発も鈍い。

メタはエヌビディアと並んでマグニフィセントセブンの「勝ち組」の銘柄だった。言い換えれば、マグニフィセントセブンのなかでも、エヌビディアとともに米株高をけん引してきた銘柄といえる。

そのメタの上昇に陰りが見えている状況でエヌビディアまでが崩れる場合、米国市場は「株高のけん引役が不在」の事態に陥る。

マグニフィセントセブンとナスダック100の動向:年初来パフォーマンス

マグニフィセントセブンとナスダック100の動向:年初来パフォーマンス ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成

下落局面のチャートポイント

2つの移動平均線の攻防

エヌビディア(NVDA)の決算が米株安の要因となる場合、ナスダック100(NDX)は短期的に下落する展開となろう。

その下落のインパクトを見極めるうえで、まずは18,000ポイント台を維持できるかどうか?この点を確認したい。

ナスダック100が18,000ポイントを目指すシグナルとして、最初に注目したいのが10日線(18,400レベル)の攻防である(下のチャート、緑ラインを参照)。3月21日の高値水準であり、かつ先週17日の反落局面で相場をサポートした18,465レベルの下方ブレイクは、10日線をトライするシグナルと想定しておきたい。

ナスダック100が10日線を下方ブレイクする場合は、下で述べるフィボナッチ・リトレースメントの攻防に注目したい。

ナスダック100のチャート:日足 年初来

ナスダック100のチャート:日足 年初来 TradingView提供のチャートで作成


フィボナッチ・リトレースメントの攻防

ナスダック100(NDX)が10日線を完全に下方ブレイクする場合は、フィボナッチ・リトレースメント(以下リトレースメント)の攻防に注目したい。

4月の下落局面を脱して以降の高安から算出されるリトレースメント23.6%の水準が18,295ポイントにあたる。

ナスダック100が18,295ポイントの水準を完全に下方ブレイクする場合は、18,100ポイントのトライが次の焦点として浮上しよう。この水準を挟んで、年初来の高安で算出されるリトレースメント23.6%の水準(18,137レベル)と4月下旬以降の反発局面の高安で算出されるリトレースメント38.2%の水準(18,043レベル)が展開している。

また、21日線がすぐ下の水準18,013レベルまで上昇している。重要なテクニカルの水準が密集している18,000-18,100レベルは、テクニカルゾーンとして一度相場を下支えする可能性があろう。

18,000を下方ブレイクする場合の焦点は?

ナスダック100が18,000ポイント台の維持に失敗する場合、次のサポート水準として注目したいのが、17,800ポイントである。この水準を挟んで半値戻し(17,838レベル)とリトレースメント38.2%の水準(17,776レベル)が展開している。

特に後者のテクニカル水準(17,776レベル)は、レジスタンスとしてもサポートとしても意識された経緯がある。現在はサポート水準の候補として注目したい。

なお、4時間足のチャートではストキャスティクスとRSIが短期的な相場の過熱感(買われ過ぎ)を示唆している。他の時間軸での動きも確認しながら、これらオシレーター指標でデッドクロスが確認され、かつ急速に低下する局面では、トレンドフォローの売りを意識したい。

ナスダック100のチャート:4時間足 年初来

ナスダック100のチャート:4時間足 年初来 TradingView提供のチャートで作成

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