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米国株はトランプ関税に冷静 ダウとS&P500が最高値更新 追随するナスダック、今日の見通し

米国株の強気相場に水を差す可能性がある「トランプ関税」。しかし、26日の米国株は冷静だった。ダウ平均とS&P500は最高値を更新した。両指数に追随し強気相場を維持するナスダック100。PCE価格指数を無難に通過できるか?

Source: Bloomberg Source: Bloomberg

米国株は「トランプ関税」に冷静な反応

米国株が強気相場を維持している。ダウ平均は連日で最高値を更新した。S&P500も終値で今月11日の最高値を更新した。「トランプ関税」に冷静な米国株。要因の一つに、上昇が抑制されている長期金利が挙げられる。

・トランプ次期アメリカ大統領は25日、来年1月20日の就任初日に中国製品に対して10%の追加関税を課すと自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。また、メキシコとカナダからの全ての輸入品に対して25%の関税を課す文書にも署名するとした

・26日の米株価指数は強弱まちまちながらもダウ平均は5日続伸し、前日比123ドル74セント(0.28%)高の4万4860ドル31セントと連日で最高値を更新した。一方、S&P500は7日続伸。前日比34.26ポイント(0.57%)高の6021.63と、11日以来の最高値更新となった

・投資家の心理を測る指標の一つVIX(S&P500のオプション取引の変動率を元に算出される指数)は14ポイント台へ低下している。また、VXV(3ヶ月の予想変動率)との比は0.85台まで低下している。これらの動きは、現在の米国株が今夏のリスク回避(米株安)相場の時のような、短期リスクへの警戒感が高まる状況には陥っていないことを示している

VIXとVIX/VXV比の動向:日足 24年6月以降

VIXとVIX/VXV比の動向:日足 24年6月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

関門のPCE価格指数、インフレの粘着性が示される場合は調整売りの要因に

スコット・ベッセント氏が新たな財務長官に指名されて以降、米債市場では長期金利(10年債利回り)の上昇が抑制されている。しかし今後の経済指標次第では、再び米金利に上昇の圧力が高まる可能性がある。目先は、今晩の10月個人消費支出価格指数(PCEデフレーター、以下ではPCE価格指数)に注目が集まろう。ポイントを以下にまとめた。

・トランプ氏から財務長官に指名されたのがヘッジファンド経営者のスコット・ベッセント氏である。同氏が財政規律を重視していることが米債市場で材料視され、長期金利が4.4%から4.2%台へ急低下した。26日は4.3%へ反発したが上昇幅は限定的だった。長期金利の上昇が抑制されている状況は、米国株の押し上げになり得る

・26日に米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が公表された。金融政策の見通しに関する議論では、インフレ率が2%に向けて持続的に低下し続け、経済が完全雇用に近い状態を維持するなどデータがほぼ予想どおりとなれば、「時間をかけてより中立的な政策スタンスへ緩やかに移行していくことが適切」とした

・米FRBが予想通りにインフレが低下し続けるのかどうか?を注視していることが議事要旨で明らかになった。今日は、米FRBが物価指数として重要視している10月のPCE価格指数が発表される。ブルームバーグがまとめた市場予想では、トレンドを示す前年同月比が、前月から上昇する見込みである(下のグラフを参照)

・28日は感謝祭でアメリカの株式市場が休場となる。翌29日は短縮取引となる。連休を取得する市場参加者も多いだろう。感謝祭前にPCE価格指数がインフレの粘着性を示唆する場合は、米株高の調整売り要因となる展開を想定しておきたい

米国 個人消費支出(PCE)価格指数:23年10月以降

米国 個人消費支出(PCE)価格指数:23年10月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成


ダウとS&P500に追随するナスダック100、今日の見通し

ダウ平均とS&P500は26日、ともに最高値を更新した。対照的に出遅れ感の漂うナスダック100。しかし、右肩上がりのトレンドチャネルを維持し強気相場にある。今晩のPCE価格指数でインフレの鈍化傾向が示される場合は、米長期金利の低下要因となろう。米金利の低下は、ハイテク株比率の高いナスダック100の押し上げ要因となろう。注目のレジスタンスラインを以下にまとめた。

レジスタンスライン

・20,998:11月25日高値(15分足)
25日の陰線引けの高値水準を突破する場合は、21,000ポイントの攻防を意識したい

・21,182:今月11日の最高値(日足)
21,000ポイントの攻防で最も注目されるのが、今月11日に付けた最高値の21,182.02ポイントの攻防である。この水準を完全に突破する場合は来月以降、新たな高値水準の攻防へシフトするサインとなろう。21,182.02ポイントを上方ブレイクした後にサポートラインへ転換するかどうか?この点も確認したい

・22,033:フィボナッチ・エクステンション61.8%(日足)
今日以降、ナスダック100が最高値を更新する場合は、22,000ポイント台への上昇を想定しておきたい。22,000ポイントは、フィボナッチ・エクステンション61.8%(22,033ポイント)にあたる。まずは、このテクニカルラインの突破を確認したい


エヌビディア(NVDA)などの半導体株が軟調地合いのなかで、PCE価格指数がインフレの粘着性を示唆する場合は、ナスダック100の下落を警戒したい。注目のサポートラインを以下にまとめた。

サポートライン

・20,837:フィボナッチ・リトレースメント23.6%(15分足)
ナスダック100の下落局面では、フィボナッチ・リトレースメントの攻防に注目したい。23.6%戻しは昨日の売り局面をサポートした。今日も同じ局面が見られる場合、二度相場を下支えすれば最高値更新を意識する状況が続こう

・20,737:フィボナッチ・リトレースメント38.2%(15分足)
22日から相場をサポートする局面が何度か見られた。しかし、23.6%戻しや半値戻しの水準と比べるとサポート水準としては弱い。20,700ポイントとのサポートゾーンを想定しておきたい

・20,656:半値戻しの水準(15分足)
フィボナッチ・リトレースメント23.6%水準と同じく、売りの局面で相場をサポートした経緯がある(22日)。PCE価格指数が予想外に上昇し、ナスダック100が20,700ポイント(サポートゾーン)をも下方ブレイクする場合は、半値戻しまでの反落を警戒したい


ナスダック100のチャート

日足:24年7月以降

日足:24年7月以降

出所:TradingView

15分足:11月15日以降

出所:TradingView


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