【米国株 ウィークリーレポート】 今週はビッグテック企業の決算にらみの展開に
主要な米国の株価指数は高値圏で売り買いが交錯している。今週はビックテック企業の決算次第で上下どちらにも振れる展開が予想される。経済指標では第1四半期のGDPデータと3月のPCEデフレーターが材料視される可能性がある。各々のビッグテック企業決算の焦点は?注目しておきたい上下のチャートポイントは?詳細はウィークリーレポートをご覧ください。
サマリー
・今週の米国株はビックテック企業の決算で上下に振れる展開が予想される
・経済指標ではGDPデータとPCEデフレーターが焦点に
・各々の企業決算についてのコンセンサス予想と概要について
・それぞれの株価動向と短期的に注目しておきたいチャートポイントについて
今週の注目材料
多くの機関投資家が運用のベンチマークとするS&P500(SPX)のトレンドを日足チャートで確認すると、高値圏で売り買いが交錯している。
VIX指数(VIX)は16ポイント台で推移し、年初来からの騰落株線(Advance Decline Line)は株高局面にあった今年1月下旬から2月上旬の水準まで上昇している。これらの動向を考えるならば、投資家心理は強気に傾いている。
S&P500指数は今週、下で述べるビックテック企業の決算次第で2月高値の4,195レベルをトライおよびブレイクすることも、20日MA(4,092レベル)を下方ブレイクすることもあり得る状況にある。
また、経済指標では27日の1-3月期実質国内総生産(GDP)速報値と28日の3月個人消費支出(PCE)価格指数(PCEデフレーター)が、米国株の変動要因となることが予想される。この点の詳細についは、こちらのレポートをご参照いただきたい。
S&P500種株価指数のチャート
注目はビッグテック企業の決算 焦点と展望について
アルファベット(GOOGL)
25日に検索エンジン大手グーグルの親会社であるアルファベットが第1四半期(1Q)の決算を発表する。一株利益(EPS)のコンセンサス予想は$1.08(GAAP)、売上高のそれは$56.93B※1 となっている。
金融システム不安による経済環境の悪化を受け、企業の広告費は抑制傾向にある。また、ChatGPTの出現でグーグルの検索ボリュームが減少しているとの見方もある。これら負の要因により、同社の成長は緩やかになることが予想されている。
現在の株価は109.00レベルで2度上昇が止められ、20日MA(104.75)の水準で決算待ちムードの状況にある。1Q決算で成長鈍化の懸念が引き続き意識される場合は、200日MA(100.88)視野に下落幅が拡大する可能性がある。
また、今週の経済指標で景気の先行き懸念が高まる場合は、中期的に200日MAを下方ブレイクし50日MA(98.89)を目指す展開も想定しておきたい。
一方、1Q決算が株高の要因となっても、成長性に対する投資家の疑心が晴れない限り、他のビッグテック企業と比べて株価の上昇率は限定的となることが予想される。目先はレジスタンスとして意識されている109ドルの突破が焦点となろう。
※1:B=10億ドル
コンセンサス予想はブルームバーグのデータより
アルファベットのチャート
マイクロソフト(MSFT)
同じく25日にマイクロソフトが第3四半期(3Q)の決算を発表する。一株利益(EPS)のコンセンサス予想は$2.24(GAAP)、売上高のそれは$51.13B※1 となっている。
景気の減速によりPC市場の低迷が続いている。また、成長の柱として期待されているクラウドサービス「Azure」の売上高成長率は第2四半期(2Q)に続き厳しい状況が予想され、4Qはさらに減速するとの見方もある。
その一方で、同社はAI機能を軸としたマーケティングを積極的に行っている。これが短期的な利益に貢献するわけではないが、先行投資によりこの分野の競争で優位に立てば、中長期的に同社の利益に貢献することが期待されている。
同社の株価は昨年11月に底打ちし、今年入り上昇幅が拡大している。しかし直近は、292ドル付近で上昇が止められている。また、20日MA(285ドル)を下抜けつつある。
このタイミングで短期的な利益成長の鈍化が3Q決算で意識される場合は、調整の反落相場を想定しておきたい。だが、同社の株価が下落しても50日MA(270ドル)と短期サポートラインを維持する限り、上値を目指すトレンドを維持することが予想される。
※1:10億ドル
コンセンサス予想はブルームバーグのデータより
マイクロソフトのチャート
メタ・プラットフォームズ(META)
26日にメタ・プラットフォームズが第1四半期(1Q)の決算を発表する。一株利益(EPS)のコンセンサス予想は$2.00(GAAP)、売上高のそれは$27.65B※1 となっている。
過去4四半期にわたって厳しい状況が続いている同社の広告収入を取り巻く環境に大きな変化は見られず、1Qは14%減のコンセンサスを下回る可能性があるとの見方がある。
しかしその一方で、従業員の約25%にあたる人員削減によって営業利益率は改善の傾向にある。また、同社が推し進めている人工知能(AI)技術向上の取り組みが成果を上げ始めているとの報道も見られる。
コスト削減(レイオフ)による経営の効率化が評価され、同社の株価は上昇トレンドにある。この点を週足チャートでトレンドを確認すると、テクニカルの面では20週MA(168ドル)と52週MA(160ドル)でゴールデンクロスが示現し、2021年からの下落相場を象徴するトレンドライン(レジタンスライン)をトライする重要局面に差し掛かっている。1Q決算で売上高、一株利益そして月間アクティブユーザーの伸びがそれぞれ予想以上となり、かつガイダンスで収益の改善傾向が示される場合はレジタンスラインを突破し、新たな上昇局面にシフトする展開が予想される。
一方、コストの増加を吸収できずに1Q決算が総じてコンセンサス予想以下となる場合は、年初来で株価が約77%も上昇していることもあり、調整の売り圧力が高まる展開が予想される。このケースでは、20週MAを下限に新たなサポートの水準を見極めることが焦点となろう。
※1:10億ドル
コンセンサス予想はブルームバーグのデータより
メタ・プラットフォームズのチャート
アマゾン(AMZN)
27日にアマゾンが第1四半期(1Q)の決算を発表する。一株利益(EPS)のコンセンサス予想は$0.20(GAAP)、売上高のそれは$124.69B※1 となっている。
1Qの売上高は、新たな収益の柱として期待されているクラドサービスのアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の低迷などにより7%増にとどまる可能性がある。AWSの売上高の伸びについては、マイクロソフト(MSFT)など他の企業との競争が激しくなっていることや企業向け需要の減少により10%台前半に鈍化する見通しとなっている※。さらにオンライン売上高は1桁台前半になると見られている。
今年に入りアマゾンの株価は底打ちし反発基調にある。現在は、200日MA(107ドル)の攻防という重要な分岐点に差し掛かっている。1Q決算がコンセンサス予想を上回り、かつ強気のガイダンスが示される場合、同社の株価は200日MAをブレイクすることが予想される。このケースでは、2月2日の高値114.00ドルのトライが次の焦点となろう。
一方、1Q決算がコンセンサス予想を上回っても、景気の先行きリスクやクラウドサービスの競争激化で厳しい成長見通しが示される場合は、200日MAを上抜けても短期の上昇相場で終わる可能性がある。
※1:10億ドル
※2:Constant Currencyベース
コンセンサス予想はブルームバーグのデータより
アマゾンのチャート
年初来のパフォーマンス
最後に、上で取り上げたビッグテック企業の年初来パフォーマンスを確認すると、メタ・プラットフォームズ(META)が76.9%の上昇と断トツの1位となっている。
他の3社の株価はほぼ横並びのパフォーマンスにあるが、アマゾン(AMZN)はアルファベット(GOOGL)やマイクロソフト(MSFT)と比べて比較的良好なパフォーマンスを維持している。上で述べたとおりアマゾンの株価が200日MAを突破する場合は、114ドルを視野に上昇幅が拡大する可能性が高まる。また、同社の株価動向は、他の景気敏感株の動向にも影響を与えることが予想される。
ビッグテック4社の株価パフォーマンス
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