【米国株】マイクロソフト下落 メタ、アマゾン、アップルの決算に注目、半導体株の失速をカバーできるか?
マイクロソフトの株価は、4Q決算でクラウド収益が振るわず時間外で下落した。エヌビディアなど主力の半導体株も軟調地合いが続いている。31日以降、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドットコムそしてアップルが次々と決算を発表する。マイクロソフトや半導体株の失速をカバーできるのか?それぞれの決算の注目ポイントについて。
記事のポイント
・クラウド収益が振るわず、マイクロソフトが時間外で下落
・エヌビディアなど主力の半導体株が軟調地合いにある
・31日以降メタ、アマゾンそしてアップルが決算を発表する
・それぞれの決算の注目ポイントとチャート分析について
マイクロソフト下落、半導体株も軟調
マイクロソフト(MSFT)が30日の引け後に第4四半期決算(以下Q4決算)を発表した。売上高が前年同期比15.2%増の647億2700万ドル、純利益が約10%増の220億3600万ドルと、6四半期連続で増収増益となった。
しかし、インテリジェントクラウド部門の収益が285億ドルと、コンセンサス予想の287億ドルに届かったなかった。クラウドサービス「Azure(アジュール)」の売上高は前年同期比29%増と、前期の31%成長から鈍化した。同社の株価は時間外で下落した。
30日の市場では、主力の半導体も総崩れとなった。エヌビディア(NVDA)は7%、SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)は約3.9%安と主要な株価指数の下落率を上回った。
アメリカ半導体株と主要指数の動向:7月30日
今日以降、メタ・プラットフォームズ(META)、アマゾン・ドットコム(AMZN)そしてアップル(AAPL)が決算を発表する。
マイクロソフトや半導体株の失速をカバーする好決算となるのか?それぞれの決算の注目ポイントを以下にまとめた。
メタのQ2決算、注目ポイントは広告収入
増収増益の予想、焦点は広告収入
メタ・プラットフォームズ(META))が31日の引け後に、第2四半期の決算(以下Q2決算)を発表する。ブルームバーグがまとめたコンセンサス予想によれば、売上高は383億3665万ドルと、前年同期比で約19.8%増の見通しである。一方、一株利益(EPS)は4.74と、同比で約59.2%の伸びとなることが予想されている。
焦点は、同社の重要な収益源である広告収入の伸びである。Q2はInstagramのリール広告の収益増などで375億6790万ドルの収益が見込まれている。第3四半期収益のコンセンサス予想は382億5675万ドルである。
リスク要因は、欧州のデジタル市場法(DMA)による規制強化だろう。この規制が広告収入の伸びを圧迫する可能性がある。また、広告なしのサブスクリプションサービスの普及を妨げる可能性もある。
Q2決算とガイダンスで投資家の期待を上回る成長性を示すことができれば、株価の押し上げ要因となろう。逆にそれができなければ、マイクロソフト(MSFT)のように時間外で株価の下落が予想される。
また、新たな収益の柱として期待されるメタバース事業の「リアリティ・ラボ」にも注目が集まるだろう。Q2は減収の見通しである。営業赤字は約45億ドルと、前期の38.4億ドルから減益幅が拡大する見通しである。予想以上の減収減益となる場合は、同社の成長性に対する懸念が高まる可能性がある。この点は株安要因として注視したい。
メタの決算データ:24年Q1の結果~25年Q1の予想
メタのチャート分析
好決算ならば50日線のトライ&ブレイクを予想
アメリカ株は、昨年10月の下旬を底に株高トレンドへ転じた。メタ・プラットフォームズ(META)も昨年10月26日に安値279ドルを付けた後、今年7月8日に高値542ドル付近まで上昇した。
しかし、トランプ・トレード(グロース株の売り / バリュー株&中小型株の買い)、テスラ(TSLA)やアルファベット(GOOGL)の下落を受け、同社の株価は7月以降下落トレンドへ転じている。
10日線(30日470.00)と50日線(491.47)はデッドクロスを形成した。29日と30日の市場では10日線で反発が止められた。日足のMACDはデッドクロスを形成した後、ゼロラインを下回る状況にある。RSIの低下トレンドは一服しているが、ゴールデンクロスは確認されていない。いずれの動きも、地合いの弱さを示唆している。
一方で、先週25日の下落局面では、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準442ドルがサポート水準として意識された。その時の日足ローソク足は長い下ヒゲによる「下影陰線」だった。相場の反転を暗示するかたちである。
このタイミングでQ2決算とガイダンスが投資家の期待を上回る場合、メタの株価は10日線を上方ブレイクするだろう。FOMCで今年3回の利下げ期待が高まる可能性があることも考えるならば、50日線のトライ&ブレイクも想定しておきたい。
決算が株安要因となれば400ドル台の維持が焦点に
一方、Q2決算が投資家の期待を裏切る内容となれば、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準442ドルを下方ブレイクする展開を予想する。
このケースでは400ドルの維持に注目したい。414.50ドルは、4月25日の「窓開け下落相場」を止めた重要なサポート水準である(下のチャート、赤矢印を参照)。すぐ下の411ドルは半値戻しの水準にあたる。410ドル台は、サポート転換を意識する水準でもある。
メタのQ2決算が投資家の期待に応えられず、他のハイテク決算も同じ内容となれば、400ドルを下方ブレイクする可能性が高まろう。このケースでは、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準380ドルを視野に下落幅が拡大する展開を想定しておきたい。
メタ・プラットフォームズ:日足 23年10月以降
出所:TradingView
アマゾン、AWS好調で好決算の期待
増収増益の予想、AWSが成長をけん引
アマゾン・ドットコム(AMZN、以下ではアマゾン)が、8月1日の引け後に第2四半期の決算(以下Q2決算)を発表する。ブルームバーグがまとめたコンセンサス予想によれば、売上高は1,487億7,648万ドルと、前年同期比で約10.7%増の見通しである。一方、一株利益(EPS)は1.04ドルと、同比約61.3%増の見込みである。
北米小売り事業の良好な収益もあり、オンラインストアの収益は堅調な伸びを示す見通しにある。同社の決算でより注目すべきが、アマゾン ウェブサービス(AWS)の成長性である。Q2収益のコンセンサス予想は、前年同期比で約17 %増の約259.7 億ドルである。第3四半期の収益予想は約271.6億ドルと、AWSの堅調な成長が続くと投資家は予想している。
アマゾンは今年の初めに、アメリカのミシシッピ州にあるデータセンターに100億ドルを投資する計画を表明した。またアメリカ以外では、AWSのインフラセンター建設でサウジアラビアに53億ドル、メキシコに50億ドルをそれぞれ投資する計画もある。
これら巨額の投資が土台となり、AWSを軸としたクラウドコンピューティング事業の優位性と将来性に対する投資家の期待がガイダンスで高まれば、アマゾンの株価は時間外で上昇することが予想される。
アマゾンの決算データ:24年Q3の結果~25年Q3の予想
アマゾンのチャート分析
上昇の局面では50日線のブレイクが焦点に
アマゾン(AMZN)は年初来で約19.6%上昇している(7月30日時点)。しかし7月に入りその勢いも後退し、メタ・プラットフォームズ(META)と同じく、今は下落トレンドにある。
10日線(30日時点183.19)と50日線(30日時点187.04)ではデッドクロスが確認され、その10日線が反発相場を止めている。日足のMACDはデッドクロスを形成後にゼロラインを下回る状況にある。いずれも地合いの弱さを示唆する動きである。
しかし、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準179ドル付近が相場をサポートしている。ゼロラインを下回るモメンタムが反発のムードにあることも考えるならば、Q2決算が投資家の期待を上回る場合、10日線の上方ブレイクと50日線のトライを予想する。
アマゾンの株価が50日線をも一気に上方ブレイクすれば、190ドル台の攻防を予想する。このケースでは、レジスタンスのラインへ転換する可能性がある192ドルのトライに注目したい(下のチャート、赤ラインを参照)。
下落の局面ではメタと同じくリトレースメントの攻防に注目
一方、Q2決算がアマゾン(AMZN)の売り要因となる場合は、フィボナッチ・リトレースメントでの攻防に注目したい。今年の2月以降、同社の株価はフィボナッチ・リトレースメントの各水準で下落が止められている。
直近の下落を止めているのが、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準179ドルである。半値戻しの水準172.60ドル前後の水準は2月下旬以降、相場の下落を何度か止めた経緯がある。
最も重要な水準が、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の165.88ドル前後となろう。今年の2月と4月25日の下落相場を見事に止めた経緯がある(下のチャート、黒矢印を参照)。
マイクロソフト(MSFT)に続き、アマゾンの決算も株安要因となる場合は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準を視野に株価が下落する展開を警戒しておきたい。
アマゾン・ドットコム:日足 年初来
出所:TradingView
アップルの決算、焦点はiPhoneの収益
増収減益の予想、焦点はiPhone収益とAI分野への期待
アップル(AAPL)が、8月1日の引け後に第3四半期の決算(以下Q3決算)を発表する。ブルームバーグがまとめたコンセンサス予想によれば、売上高の予想は844億6222万ドルと、前年同期比で約3.3%増の見込みである。一株利益(EPS)は1.35ドルと、同比で約7.4%増の予想となっている。減収減益となった第2四半期の決算(Q2)から一転して、Q3決算は前年同期比で増収増益の予想となっている。
焦点はiPhoneの収益である。Huaweiなどの競合他社に対抗するために中国で値引きをしたことが影響し、 Q3のiPhone収益は約389.5億ドルになると予想されているが、予想よりも落ち込みが小幅におさまるとの見方がある。中国のiPhone収益で堅調さが確認される場合は、同国ビジネスの回復期待が高まろう。
また投資家は、今秋に発売される生成AIシステム「Apple Intelligence」を搭載したiPhone 16シリーズの話題にも注目するだろう。AI分野で出遅れ感のあるアップルだが、iOS18に搭載されるApple Intelligenceは、iPhone 16シリーズの販売を促進する要因として注目されている。新型iPhoneによる巻き返しの期待感も、株価の動向に影響を与える可能性があろう。
アップルの決算データ:24年Q1の結果~25年Q1の予想
アップルのチャート分析
上昇の局面では10日線のブレイクが焦点に
メタ・プラットフォームズ(META)とアマゾン(AMZN)は、上昇局面で50日線のトライ&ブレイク、下落の局面ではフィボナッチ・リトレースメントの攻防を注視する状況にある。
一方、アップル(AAPL)はメタやアマゾンとは違い、上昇の局面では10日線(30日時点で221.74)のトライと上方ブレイク、下落の局面では50日線(30日時点で210.86)のトライと維持が焦点にある。
同社のiPhone収益が底打ちすることでQ3決算の売上高とEPS、そしてガイダンスもコンセンサス予想を上回れば、アップルの株価は10日線を上方ブレイクする展開が予想される。
このケースでは、7月17~18日にかけて相場の戻りを止めた230ドルのトライが次の焦点として浮上しよう(下のチャート、赤矢印を参照)。
下落の局面では50日線と207ドルの攻防に注目
日足のMACDはデッドクロスを形成後、ゼロラインへ向かって低下トレンドにある。モメンタムはゼロラインを下回り弱気相場に勢いがあることを示唆している。この状況でQ3決算が株安の要因となる場合、最初の焦点は上で述べた50日線の維持となろう。
株価が50日線を難なく下方ブレイクする場合は、サポートラインへの転換が確認された「207」ドルの維持が次の焦点として浮上しよう(下のチャート、緑矢印を参照)。207ドルが再びサポートラインとして意識される場合は、10日線ブレイクの可能性が残るだろう。
一方、株価が207ドルをも完全に下抜ける場合は、節目の200ドルの維持が焦点として浮上しよう。この水準は4月の安値と7月の高値の半値戻しにあたる。ゆえに、テクニカルの観点でも重要なサポート水準である。
アップルのQ3決算のみならず、メタ・プラットフォームズ(META)やアマゾン(AMZN)の決算もコンセンサス予想を下回る場合は、200ドル割れを警戒したい。このケースでは、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準192ドル付近まで下落する展開を警戒しておきたい。
アップル:日足 今年4月以降
出所:TradingView
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。