マイクロソフト株価下落、アップルの決算次第では米国株の重しに、ナスダック100の見通し
今日は時価総額で世界1位のアップルが4Q決算を発表する。マイクロソフトの株価は1Q決算発表後に上昇した。しかし買いは続かず時間外で下落した。一方、メタ・プラットフォームズの株価は3Q決算発表後に下落した。アップルの決算次第では、米株高のムードに水を差す可能性がある。
記事のポイント
・マイクロソフトの1Q決算は予想を上回るも、時間外で株価は下落した
・今日はアップルが4Q決算を発表する、中国市場の収益改善が焦点に
・Apple Intelligenceが業績に与える影響も材料視される可能性がある
・ナスダック100の見通しとチャート分析
マイクロソフト、1Q決算は予想を上回るも株価はさえない反応
30日にマイクロソフト(MSFT)が2024年7〜9月期決算(第1四半期、1Q)の決算を発表した。
売上高は前年同期比16.0%増の655億8,500万ドル、1株利益は3.30(前年同期2.99ドル)、営業利益は前年同期比13.0%増の305億5,000万ドルだった。また、主力のクラウド基盤「Azure(アジュール)」などの売上高は前年同期比33%増だった。いずれも市場予想を上回る伸びを見せた。
決算発表後、マイクロソフトの株価は上昇で反応した。しかし買いは続かず時間外で下落した。また同日、2024年7〜9月期決算(第3四半期、3Q)の決算を発表したメタ・プラットフォームズ(META)の株価も時間外で下落した。
マイクロソフトとメタ・プラットフォームズの決算サマリー
ブルームバーグのデータで作成 / カッコはブルームバーグのコンセンサス予想
アップルが4Q決算を発表、焦点は中国市場の収益改善
31日にアップル(AAPL)が第4四半期(4Q)決算を発表する。ブルームバーグがまとめたコンセンサス予想によれば、1株利益(EPS)は同比9.6%増の1.60ドル(前年同期1.46ドル)、売上高は前年同期比で5.4%増の943億5,700万ドルが見込まれている。
アップル 売上高と1株利益(EPS)の予想
ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 24年4Qから25年3Qまで、赤棒グラフ:4Q予想
前回の決算では2四半期ぶりの増収増益となった。しかし、華為技術(ファーウェイ)など中国メーカーとの間でスマートフォンのシェア争いが激化し、中国市場での収益が前年同期比で6.5%減となった。中国ビジネスの低迷は、主力のスマートフォン「iPhone」にも及び、2四半期連続のマイナスとなった。
ゆえに今回の決算では、中国市場の収益改善が焦点の一つとなろう。ブルームバーグがまとめたコンセンサスによれば158億ドルと、前年同期比で4.8%増が見込まれている。iPhoneの全体収益は450億3,800万ドルと、同比2.8%増に改善する見通しにある。
一桁台の収益改善率は、同社の成長懸念を投資家に想起させる可能性がある。ネットフリックス(NFLX)、テスラ(TSLA)そしてアルファベット(GOOGL)の決算が株高となった理由が強気の業績見通し(ガイダンス)にあったことを考えるならば、アップルの決算も業績の成長見通しも重要な焦点となろう。
アップル 中国市場とiPhoneの売上高予想
ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 24年4Qから25年3Qまで、赤棒グラフ:4Q予想
Apple Intelligenceが業績に与える影響
業績成長見通し(ガイダンス)では売上高などの収益面だけでなく、「Apple Intelligence(アップルインテリジェンス)」が同社の業績に及ぼす影響度合いも焦点となろう。
6月10日に開かれたアップルの世界開発者会議(WWDC)でApple Intelligenceが発表され以降、同社の株価は一時22%した。9月20日にAIシステムを搭載したiPhone 16が発売された。当初は売上高の伸びに貢献するとの予想が見られたが、初動の売れ行きが芳しくないとの報道もあり、投資家との電話会議ではApple Intelligenceが議論の中心になることが予想される。
主力商品のスマートフォン「iPhone」や同社のサービス部門の収益をApple Intelligenceがどの程度押し上げると経営者が考えているのか?この点もアップルの株価を左右する要因になり得る。
アップル株、最高値を前に不穏なムード
アップル(AAPL)の株価は現在、50日線を上回る水準で底堅さを維持している(下の日足チャート、青ラインを参照)。
しかし不穏なムードが漂い始めている。短期の10日線、中期の50日線そして長期の200日線が上から順に並んでいるが、10日線が低下基調へ転じつつある。また、日足のMACDとRSIはデッドクロスへ転じている(下の日足チャート、各矢印を参照)。
この状況で4Q決算が投資家を失望される内容となれば、アップルの株価は下値をトライすることが予想される。このケースでは、50日線の維持が焦点となろう。この移動平均線は227ドル前後で推移している(30日時点)。
一方、4Q決算が投資家の期待を上回る場合は、10月15日の取引時間中に付けた過去最高値237.49ドルを視野に上昇する展開が予想される。10日線の上方ブレイクとサポートラインへの転換は、最高値を目指すサインと捉えたい。
アップルの株価チャート:年初来
出所:TradingView
ナスダック100の見通しとチャート分析
調整の下落を警戒
ナスダック100は10日線でサポートされ底堅さを維持している。しかし、レジスタンスラインとして意識されている20,500ポイント以上の水準を維持できず、昨日は反落した。日足のMACDとRSIはともにデッドクロスへ転じている(下の日足チャートを参照)。
マイクロソフトとメタ・プラットフォームズの決算はいずれもコンセンサス予想を上回った。しかし、時間外の株価はさえない反応となった。決算内容を精査した今日以降の株価が上昇する可能性はある。しかし、現状ではこれら2銘柄はハイテク株高のムードに水を差す可能性がある点には注意しておきたい。
また、米半導体大手のアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の決算が投資家の高い期待に応えられず、30日の市場で10%急落した。AMDの下落は他の主力半導体株にも及んだ。
「AI需要の拡大→米半導体企業の成長ペースが加速する」という投資家の期待が後退すれば、米半導体セクター全体の重しとなろう。半導体株の下落は、ナスダック100の下落圧力を高めるだろう。
ナスダック100が下値をトライする局面では、サポートラインとして意識されている10日線の攻防が焦点となろう(30日時点20,320)。
ナスダック100は変動幅が拡大する特性がある。ゆえに10日線を完全に下方ブレイクする場合は、21日線を視野に下落幅の拡大を警戒したい(30日時点20,204)。
上値の重いムードが漂うなかでアップルの4Q決算が投資家の失望を誘う場合、明日以降のナスダック100は、21日線を下方ブレイクする状況を想定しておきたい。
しかしナスダック100の下落ムードが高まっても、短期サポートラインを維持する状況が続く限りは、「調整の下落」と想定しておきたい。
ナスダック100のチャート:日足 2024年7月以降
出所:TradingView
上値の焦点は?
一方、ナスダック100が上昇トレンドを維持する場合は、20,500ポイントのサポート転換と10月29日の高値20,600のブレイクアウトが目先の焦点となろう(上の日足チャート、赤矢印を参照)。
これらの状況が確認される場合は、地合いの強さを市場参加者に印象付けるだろう。
ナスダック100が20,600ポイントを完全に突破する場合は、7月10日につけた最高値20,675ポイントをトライするサインと捉えたい。7月10日の取引時間中につけた高値20,691ポイントの突破は、新たな高値水準の攻防へシフトするシグナルとなろう。
今日はアマゾン(AMZN)も第3四半期(3Q)の決算を発表する。アップル(AAPL)とともに投資家の期待に応える内容となれば、明日以降のナスダック100の上昇をけん引する可能性がある。
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