【米国株 ウィークリーレポート】 企業決算と経済指標にらみの展開が続く
今週の米国株は、企業決算と経済指標にらみの展開が続くだろう。前者で特に投資家の注目度が高いのがマイクロソフトとテスラの決算である。株価指数では、短期レジスタンスラインの攻防が焦点となっているナスダック100指数(NDX)に注目したい。一方、経済指標では12月の個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)の内容が米国株のトレンドに影響を与える可能性がある。詳細は米国株ウィークリーレポートをご覧ください。
企業決算と経済指標にらみの展開が続く
【サマリー】
・今週の米国株は企業決算と経済指標にらみの展開が続くだろう
・マイクロソフトとテスラの決算は米国株のトレンドに影響を与えることが予想される
・株価指数ではレジスタンスラインの攻防が続くナスダック100指数に注目したい
・経済指標では12月の個人消費支出価格指数が材料視される可能性あり
決算で明暗分かれる
決算で明暗が分かれたモルガンスタンレーとゴールドマン
今週の米株式市場は、引き続き四半期決算と経済指標の内容をにらんだ展開が続くだろう。
先週は大手銀行が相次いで決算を発表し、いずれも減益決算となった。しかし週間の騰落率を確認すると、決算で明暗が分かれたことがわかる。
モルガンスタンレー(MS)の第4四半期では1株利益が1.31ドル、経常収益が127.5億ドルと、アナリストの予想(1.23ドル/125.4億ドル)を上回った。好決算を受け、先週のMS株は5%昇した。
一方、ゴールドマンサックス(GS)の第4四半期決算は、純利益が前の期比48%減の112億ドル(約1兆4000億円)となり、1株利益は3.32ドルとアナリスト予想の5.48ドルを下回った。さえない決算が嫌気され、先週のGS株は8.6%下落した。
米大手銀行の週間騰落率
マイクロソフトの決算
今週以降、いよいよビッグテック企業の決算が順次発表される。今週はマイクロソフト(MSFT)の第2四半期決算に注目が集まろう(24日発表予定)。
先週、マイクロソフトが全従業員の約5%にあたる1万人の解雇を計画していると報じられた。整理解雇は株高要因となり得る。しかし、決算が総じて予想を下回る場合は、同社株の下落を警戒したい。一方、好決算となる場合は、同社株の上昇が予想される。
マイクロソフト:第4四半期のアナリスト予想
・売上高:$52.95B
・EPS(1株利益):$2.3
出所:Bloomberg
※ソースにより異なる予想となる場合あり
なお、現在の同社株は反発基調にある。テクニカルの面では50日線(MA/241.26レベル)と半値戻し(22年8月15日高値294.18と11月4日安値213.431)の水準241.63レベルの攻防となっている。
好決算で株価が上昇すれば、次の焦点は短期レジスタンスラインの攻防となろう。なお、このラインと並行して200日線(MA/256.27レベル)が推移している。
マイクロソフトの株価チャート
テスラの決算
大手電機自動車メーカーのテスラ(TSLA)の決算も、米国株全体のトレンドに影響を与える可能性がある。今月2日、同社は10-12月(第4四半期)の世界納車台数が40万5278台と発表した。四半期ベースとしては過去最高を記録したが、アナリスト予想の平均(42万760台)に届かなかった(ブルームバーグ集計予想)。
世界的なインフレと主要国中銀の利上げ政策の影響に加え、競合他社との競争激化も意識され、テスラの需要に対するネガティブな見方が出ている。テスラは今月6日、競合他社との価格競争に打ち勝つため中国でモデル3とモデルYの価格を6.0-13.5%引き下げた。22年10月に続く値下げであり、価格競争の激化は、同社の収益に対する市場のネガティブな見方につながっている。
テスラは今週25日、第4四半期決算を発表する。過去1年間で約60%も下落している同社株の動向を考えるならば、好決算は買戻しの要因となり得る。
テクニカルの面では、50日線(MA/154.79レベル)のトライおよび突破が焦点となろう。
一方、同社の需要に対して不透明感が意識されているタイミングで決算がアナリスト予想を下回れば、反発基調にある株価トレンドに水を差す要因となろう。このケースでは、20日線(MA/121.33レベル)の下方ブレイクと今月6日の安値101.81のトライが焦点となろう。
なお、同社の第2四半期決算のアナリスト予想は以下のとおりである。
テスラ:第2四半期のアナリスト予想
・売上高:$24.15B / ・EPS(1株利益):$1.13
出所:Bloomberg
※ソースにより異なる予想となる場合あり
テスラの株価チャート
テクニカルの面で分岐点に差し掛かっているナスダック100指数
マイクロソフトとテスラの株価動向は、株価指数のトレンドに大きな影響を与えることが予想される。特に注目したいのが、ナスダック100指数(NDX)である。
日足チャートでトレンドを確認すると、現在は短期レジスタンスラインの攻防となっている。50日線(MA)がレジタンスラインになるかと思われたが、先週20日の大陽線でその可能性が低下した。このタイミングでマイクロソフトとテスラの決算が株高要因となれば、ハイテク株全体が買われることでナスダック100指数は短期レジスタンスラインを突破することが予想される。
ナスダック100指数が短期レジスタンスラインを突破する場合は下値の水準が切り上がることになる。ゆえに、「昨年10月13日の安値10,440レベルが底値だった」との思惑が米国の株式市場で高まるだろう。
逆にマイクロソフトとテスラの決算が株安要因となれば、短期レジスタンスラインを意識する展開が続くだろう。
ナスダック100指数のチャート
経済指標では12月個人消費支出価格指数が焦点に
現在、米国の株式市場では景気の先行きリスクが焦点となっている。この点を示唆したのが、先週18日の株安である。前日に発表された1月ニューヨーク連銀製造業景気指数は-32.9と2020年5月来の低水準にまで落ち込んだ。そして18日の12月小売売上高もインフレの影響で年末商戦の消費が振るわず、前月比1.1%減の6771億ドル(約87兆円)と2カ月連続で減少した。景気動向に関連する経済指標でさえない内容が続いたことで、18日の主要な米株価指数は軒並み下落した。
先週のウィークリーレポートで指摘したとおり、今年の米経済指標に対する市場の反応を予測する上で心掛けるべきことが2つある。
ひとつが、上で述べた景気動向に関連する経済指標は素直に「良い」「悪い」で判断されるということである。そう考える理由は、今年から市場のテーマが、「インフレ」から「景気」へシフトしているためだ。
もうひとつのポイントは、インフレ関連の経済指標の内容である。こちらはインフレ鈍化のトレンドを示す内容が続けば、米国株のサポート要因となろう。
今週の27日に12月個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)が発表される。連邦準備制度理事会(FRB)が重視するこの指標でインフレの鈍化傾向が確認される場合は、米国株のサポート要因になり得る。
逆に12月PCEデフレーターで「インフレがなかなか低下しない」リスクを市場に意識させる場合は、次回の連邦公開市場委員会(FOMC、1月31日~2月1日)に対する警戒心が高まろう。ゆえに、このケースでは米国株の下落を警戒したい。
アメリカ個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)の動向
まとめ
今週の米国株は引き続き四半期決算と経済指標にらみの展開となろう。前者では、マイクロソフト(MSFT)とテスラ(TSLA)の決算に注目が集まろう。これら企業の決算内容は米国株のトレンドに大きな影響を与えることが予想される。
株価指数で注目したいのが、テクニカルの面で分岐点に差し掛かっているナスダック100指数(NDX)である。短期レジスタンスの突破に成功する場合は、「昨年10月13日の安値10,440レベルが底値だった」との思惑が市場参加者の間で高まる可能が出てくる。
一方、経済指標では12月の個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)に注目が集まろう。インフレの鈍化傾向が確認される場合は株高要因となろう。逆に、「インフレがなかなか低下しない」リスクを意識させる内容となれば、米株安要因となろう。
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