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【米国株 週間分析レポート】 不安定な状況下での短期買い

今週の米国株は、2つの観点から短期的な買いによる反発相場を想定したい。しかし、欧米の持続的な利上げスタンスが意識されているタイミングで日銀までが政策の修正に動いてきたことを考えるならば、引き続き下落リスクを警戒する状況が続くだろう。株価指数では、ダウ平均がテクニカルの面で分岐点にある。詳細はIG米国株分析レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

【サマリー】
・11月PCEデフレーターでもアメリカのインフレが鈍化の傾向にあることを示唆
・VIX指数は20ポイント台で落ち着いた動きが続いてる
・個人投資家の行き過ぎたベアセンチメントは米国株の買いシグナルになり得る
・しかし米国株が上昇しても下落リスクを警戒する状況が続くだろう
・目先のダウ平均は3つの移動平均線での攻防を注視する状況にある


鈍化傾向にある米国のインフレ

連邦準備制度理事会(FRB)が注視するインフレ指標が、個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)である。

先週23日に発表された11月のPCEデフレーター(前年比)の伸びは5.5%、同比コアのそれは4.7%と前月(6.0%/コア5.0%)からそれぞれ低下した。一方、前月比コアは0.2%と10月から横ばい推移となり、FRB要人が注視する0.2%増の範囲内で収まった。

他のインフレ関連指標-消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)ではインフレ鈍化の傾向が確認されているが、PCEデフレーターでも同様の状況が確認された。

個人消費支出価格指数の推移

個人消費支出価格指数の推移 データとチャート:米商務省 / Bloomberg / 月次(2020年~)

VIX指数は落ち着いた動き

23日の米国株は主要指数が上昇して引けた。

一時26ポイントを目指す局面が見られたVIX指数(VIX)も20ポイント台で落ち着いた動きが続いている。そして原市場のS&P500(SPX)も下げ止まっている。

FRBの金融引き締めリスクが意識される状況は続いている。しかし、このリスクの根本的な要因であるインフレ鈍化の傾向が確認されたことで、米国株は短期的な買いにサポートされる可能性がある。

VIX指数とS&P500種株価指数のチャート

チャート:Bloomberg / 日足(9月~) チャート:Bloomberg / 日足(9月~)

「逆張り指標」としての投資家センチメント

上で述べたとおり各インフレ関連の指標は、米国内のインフレが鈍化の傾向にあることを示している。

アメリカの個人投資家のセンチメントを確認すると、ブル(強気)センチメントが減少する一方、ベア(弱気)センチメントが上昇している。その比率(ブル/ベア)は、0.38台まで低下してる。

一見すると、今週はリスク回避の相場が続くように思われる。

しかし、このセンチメント指標は「逆張り」の指標として注目されている。この点について下のチャートで確認すると、現在の水準付近までブル/ベア比率が低下した後は、その比率が上昇へ転じていることがわかる。

また、上で述べたVIX指数が20ポイント台でレンジ相場の状況にあることも考えるならば、現在のブル/ベア比率の”低すぎる水準”は、米国株が反発するシグナルになり得る。

アメリカ個人投資家のセンチメント

アメリカ個人投資家のセンチメント データとチャート:アメリカ個人投資家協会(AAII)/ Bloomberg / 週次(2020年~)

今週の米国株の展望

インフレの鈍化、VIX指数(VIX)の落ち着いた動き、そして米個人投資家の行き過ぎたベアセンチメントを総合的に考えるならば、今週の米国株は “短期的な” 買戻しの局面を想定しておきたい。
「短期的な」とした理由は、IG米国株分析レポートで指摘してきたとおりー

1:株式市場は景気の後退とそれに伴う企業業績の悪化リスクを完全に織り込んでいない
2:インフレリスクが完全に後退するまでFRBが完全に利下げに踏み切れない

上のリスク要因がくすぶり続けているからである。

また、米欧の中銀が持続的な利上げ姿勢を維持する中、日銀までが20日の金融政策決定会合で政策修正に踏み切った。

短期金融市場の動向を確認すると日銀は来年、利上げに向けて舵を切ることを織り込み始めている。つまり日銀の政策修正は、「最後の株式市場のサポーターがいなくなった」ことを意味する。

ゆえに今週の米国株が短期的な買いによって反発しても、来年の春頃までは不安定なトレンドが続くことを想定しておきたい。

日銀の金融政策に関する短期金融市場の予測

日銀の金融政策に関する短期金融市場の予測 データとチャート:OIS / Bloomberg / 2022年12月26日 9時時点

ダウ平均のテクニカル分析

前回のレポートで述べたとおり、今年の米国株のキーワードは「バリュー株」「配当」である。

この動きを反映し、ダウ平均(DJI)はハイテク株のトレンドを示すナスダック100(NDX)と比べて、比較的底堅さを維持している。

そして現在は、テクニカルの面で分岐点にある。この点について日足チャートで確認すると、現在はローソク足の実体ベースで50日線(MA/32,950レベル)にサポートされていることがわかる。この移動平均線をブレイクしても、200日線(MA/32,454レベル)およびフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準32,377レベルが下で控えている。

ダウ平均が、上で述べたテクニカルポイントをことごとく下方ブレイクする場合は、株式市場全体のムードが急速にリスク回避へ傾いていることが予想される。ゆえに、ナスダック100指数はダウ平均以上に下落幅の拡大が予想される。

一方、ダウ平均が200日線や38.2%戻しの水準を維持する場合は、サポートからレジスタンスへ転換するムードにある33,500レベルの攻防に注目したい。すぐ上の水準には20日線(MA/33,646レベル)が低下している。ゆえに、33,500-33,600レベルをレジスタンスゾーンと想定し、今週の相場が思惑どおりに反発する場合は、このレジスタンスゾーンを突破できるかどうか?この点に注目したい。

ダウ平均のチャート

ダウ平均のチャート チャート:TradingView / 日足(9月下旬~)

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米国株分析レポート

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