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ナスダック100の見通し、エヌビディア軟調でむかえる11月CPI、割高感の売りを警戒

最高値圏の攻防にあるナスダック100。しかし今は、割高感が意識されやすい状況にある。エヌビディアが再び軟調地合いへ転じるなかでむかえる11月の消費者物価指数(CPI)。無難に通過できるか?それとも割高感が意識されるのか?ナスダック100、今週の見通しと注目のテクニカルラインについて。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

ナスダック100、エヌビディア軟調でむかえる11月CPI、無難に通過できるか?

週明け9日のアメリカ株式市場では、主要指数が下落した。11日の消費者物価指数(11月分、以下米CPI)を控え、調整売りが相場の重石となった。米CPIとナスダック100の展望について。

・ハイテク株比率の高いナスダック100は9日、前週末比-181.43ポイント(-0.84%)安の21,440.82で終えた。米CPI前の調整売りの他、エヌビディア(NVDA)が再び下落基調にあることも相場の重石となった

・エヌビディアの株価は9日、中国の国家市場監督管理総局による調査の報道で前週末比2.5%安となり、50日線を一時下方ブレイクする局面が見られた。今日以降、株価が50日線を完全に下方ブレイクすれば、サポートラインへ転換する可能性のある132ドル、または75日線までの下落を警戒したい

エヌビディアの株価:24年7月以降

エヌビディアの株価:24年7月以降

出所:TradingView

・ブルームバーグがまとめた市場予想によれば、11月のCPIではインフレ鈍化の一服が示される可能性がある。10月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比で2.3%増、コア指数は同比2.8%増と10月から伸びが加速し、インフレの粘着性が示された。11月の米CPIでもインフレ圧力の根強さが示される場合は、来年の米利下げパスに対する不透明感を強める要因になり得る

米国 消費者物価指数(CPI):23年11月以降

米国 消費者物価指数(CPI):23年11月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

・米債市場では、財政規律を重視する姿勢を見せるスコット・ベッセント氏が財務長官に指名されたことをきっかけに、長期金利が低下の基調にある。だが、これは思惑先行の短期的な動きである。米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げパスの不透明感が高まれば、金利低下の圧力が後退する要因となろう

・米CPIで長期金利が再び上昇基調へ転じる場合は、復調の兆しが見られるハイテク株の重石となろう。ハイテク株売りは、最高値圏にあるナスダック100の調整売りを促そう

・一方、米CPIでインフレの鈍化傾向が確認され無難に通過できれば、米利下げパスに対する不透明感が後退しよう。このケースでは米長期金利の上昇が抑制され、ナスダック100は年末高に向けたクリスマスラリーの期待が高まる可能性あろう

割高感が意識されやすい状況に

ナスダック100は強気相場にある。だが、11月の米CPIでインフレの粘着性が示される場合は割高感が意識され、調整売りの圧力が高まる展開を警戒したい。注目ポイントを以下にまとめた。

・トランプ前政権以降の予想PERの推移をみると、現在は世界的な金融緩和政策で株高が進行した2021年以来の水準まで上昇している。一方、米10年債利回り(長期金利)はナスダック100の株式益回りを逆転し、イールドスプレッドの観点ではナスダック100の割高感が鮮明になっている

ナスダック100と米10年債利回りの動向:日次 21年以降

ナスダック100と米10年債利回りの動向:21年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

・ナスダック100の割高感が意識されやすい状況で、米CPIがインフレの粘着性を示す場合は米金利の高止まり、または上昇が予想される。このケースでは、最高値圏にあるナスダック100の割高感が意識され、調整売りの展開を想定しておきたい

低すぎるボラティリティ指数にも要注意

米国株のボラティリティ指数が低すぎる水準にあることにも注意しておきたい。注目ポイントを以下にまとめた。

・米国株の代表的なボラティリティ指数「VIX」は現在、14ポイント台で推移している。一方、ナスダック版の恐怖指数として知られている「VXN」は現在、16ポイント台で推移している。いずれも低い水準にあり、投資家の心理が落ち着いていることを示唆している

・だが、重要なイベントに反応する特性があるボラティリティ指数が「低すぎる水準」にある時は、むしろ警戒すべきだろう。「低すぎる水準」は、投資家の姿勢が強気に傾き過ぎている可能性も示唆しているからだ

・この状況で株安材料が意識される場合は、「不意打ちの株安」に直面する可能性がある。今週、その材料になり得るのが米CPIである

ボラティリティ指数のチャート:日足 年初来

ボラティリティ指数のチャート:日足 年初来

ブルームバーグのデータで筆者が作成


ナスダック100の見通しと注目のテクニカルライン

目先のレジスタンスライン

11日の米CPIを無難に通過すれば、ナスダック100は新たな上値の水準を見極める状況が続こう。目先の上限を22,000ポイントと想定し、まずは以下で取り上げているレジスタンスラインの攻防に注目したい。

・ナスダック100は現在、フィボナッチ・エクステンション100%の水準21,616ポイントが意識されている(日足チャート参照)。先週6日にこのテクニカルラインを突破する局面が見られたが、日足ローソク足の実体ベースでは上値が止められている

・今日以降、ナスダック100が21,616ポイントを完全に突破する場合は21,700、21,800と100ポイントのレンジで新たな上値の水準を見極めることになろう。21,900ポイント台へしっかり上昇する場合は、22,000ポイントのトライを意識したい

レジスタンスライン

・21,900:レジスタンスライン
・21,800:レジスタンスライン
・21,700:レジスタンスライン
・21,616:フィボナッチ・エクステンション100%(日足)


目先のサポートライン

米CPIでインフレの粘着性が確認される場合は、ナスダック100の下落が予想される。今週、ナスダック100が下値をトライする場合は、2つのサポートラインに注目したい。

・最初に注目したいサポートラインが、21,200ポイントである(日足)。この水準は、フィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準にあたる(1時間足)。また、21,180手前には10日線が上昇している(日足)。サポートラインへ転換する可能性がある21,200前後で相場が反発すれば、ナスダック100の地合いの強さを市場参加者に印象付けよう。今月4日の安値21,340の下方ブレイクは、21,200(10日線)をトライするサインと捉えたい

・米CPIで利下げパスの不透明感が強まる場合は、長期金利の反発を想定しておきたい。金利の上昇幅次第でナスダック100は、21,000ポイントの攻防が予想される。20日線がこのテクニカルラインまで上昇している。すぐ下の20,959はフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準にあたる。この水準もサポートラインへ転換する可能性がある。また、今週12日に短期サポートラインが38.2%戻しの水準を交錯する。3つのテクニカルラインが重なる21,000ポイントは21,200ポイント以上に重要なサポート水準と想定しておきたい

サポートライン

・21,340:12月4日の安値
・21,214:フィボナッチ・リトレースメント23.6%戻し(1時間足)
・21,177:10日線(日足)
・21,000:フィボナッチ・リトレースメント38.2%戻し(1時間足)、20日線(日足)


ナスダック100のチャート

日足:24年9月以降

日足:24年9月以降

出所:TradingView

1時間足:10月31日以降

1時間足:10月31日以降

出所:TradingView


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