【米国株】主力ハイテク株に売り エヌビディア最高値から15%下落 ナスダック100の見通し
主力のハイテク株が金利上昇のリスクに直面している。特にエヌビディアは最高値から15%下落し弱気相場のムードが漂う。ハイテク株の影響を受けるナスダック100は、新たなサポートラインを見極める局面にある。
記事の概要
今月の7日以降、米長期ゾーン利回りの上昇幅が拡大し主力のハイテク株売りが続いている。特にエヌビディアは最高値から15%下落し弱気相場のムードが漂う。再び株高のけん引役となっているハイテク株売りはナスダック100の重石となっている。今日の消費者物価指数(CPI、24年12月分)がインフレ懸念を高める内容となれば、ナスダック100はさらに下値をトライする展開が予想される。今週末までの予想レンジは20,000~21,340ポイント。
止まらない長期ゾーン利回りの上昇、主力ハイテク株売りでナスダック下落
米長期ゾーン利回りの上昇が止まらない。金利上昇のリスクが意識され、主力のハイテク株売りが続きナスダック指数の重石となっている。注目ポイントを以下にまとめた。
・13日の市場で10年債利回り(長期金利)は2023年11月以来となる4.8%へ到達した。20年債利回りは5%台へ上昇し、30年債利回りも20年債利回りの動きに追随している。長期ゾーン利回りの上昇は、トランプ政策の影響によるインフレの再燃だけでなく、財政悪化の可能性を先取りした動きであることを示唆している
米長期ゾーン利回り:週足 2023年以降
ブルームバーグのデータで筆者が作成
ブルームバーグのデータで筆者が作成
・再び米株高のけん引役となっている主力ハイテク株が金利上昇のリスクに直面していることで、ナスダック指数は他の株価指数と比べて下落幅が拡大。年初来から1%超下落する状況にある
アメリカ株価指数の動向:年初来
ブルームバーグのデータで筆者が作成
規制強化も重なりエヌビディアは最高値から15%下落
米ハイテク株のなかでもアメリカ株のトレンドに大きな影響を与えるのが、エヌビディア(NVDA)である。しかし、同社の株価は今月7日に付けた最高値153.13ドルから15%下落し、弱気相場のムードが漂う。直近の動向と注目のテクニカルラインを以下にまとめた。
・エヌビディアの株価は10年債利回り(長期金利)の上昇幅が拡大した今月7日に6%超急落した。10日には50日線、13日には90日線そして短期サポートラインをことごとく下方ブレイクした。14日の市場では20日線がレジスタンスラインとなり大陰線となった。50日線は、レジスタンスラインへ転換するムードが出ている。日足のMACDはデッドクロスへ転じた。モメンタムはゼロラインを下回り、弱気相場に勢いが出ていることを示唆している。テクニカルの面では、さらなる下落を警戒する局面にある
・バイデン米政権は13日、人工知能(AI)向け半導体に関する輸出規制の強化策を発表した。米国と緊密な同盟国の一部を除き、多くの国々へのAI向け半導体の輸出を厳しく制限し、敵対国が軍事目的で先端半導体を利用できないようにする。バイデン政権が導入したなかで最も強力と言われている今回の規制が適用されれば、エヌビディアの市場が大幅に制限される可能性がある
・半導体輸出規制の影響が懸念されるなかで米長期ゾーンの利回りがさらに上昇すれば、エヌビディアの株価は130ドルを下方ブレイクし、120ドルの維持が焦点に浮上しよう。半値戻しの水準127.04ドルは昨年12月17日に相場をサポートし、最高値153.13ドルへ上昇する起点となった水準である。フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準120.88ドルは120ドル維持の攻防を見極める重要な水準である
エヌビディア:日足 2024年8月以降
出所:TradingView
立ちはだかるCPIの関門、インフレ懸念が高まれば株安進行を警戒
今日の注目材料は、2024年12月の米消費者物価指数(CPI)となろう。注目ポイントを以下にまとめた。
・昨年12月の生産者物価指数(PPI)は、前日比と前年同月比の伸びがともに市場の予想を下回った。しかし、米10年債利回りは2日連続で4.8%を付ける局面が見られた。20年債と30年債の各利回りも上昇した。インフレ再燃に対する警戒感の強さを示唆した
・今日は昨年12月の米消費者物価指数(CPI)が発表される。ブルームバーグがまとめた前年同月比の市場予想は昨年11月から伸びが加速する見込みである。コア指数は4ヶ月連続で3.3%を維持する見通しにある。前月比の総合指数もインフレの粘着性が示される可能性がある。生産者物価指数(PPI)が鈍化しても米長期ゾーン利回りの上昇が続いている。この状況でCPIがインフレ懸念を高める内容となれば、株安の進行を警戒したい。一方、PPIに続きCPIも市場の予想を下回れば、米株高の要因になり得る。
米国 消費者物価指数(CPI):2023年12月以降
ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 赤の棒グラフとドット:24年12月の市場予想
ナスダック100の見通しと予想レンジ
米金利の上昇リスクに直面しているナスダック100。今週末までの予想レンジは20,000~21,340ポイント。今日のCPIでインフレの粘着性が示される可能性があることを考えるならば、今は新たなサポートラインを見極める局面にある。注目のテクニカルラインを以下にまとめた。
下落の局面では20,000ポイントの維持が焦点に
・今日のCPIが米金利の上昇要因となる場合は、ナスダック100の下落を想定したい。このケースでは、13日に相場を下支えした89日線の攻防が最初の焦点となろう
・89日線を下方ブレイクする場合は、昨年11月の中旬から下旬にかけて相場をサポートした20,400ポイントの攻防を意識したい
・20,400ポイントをも下方ブレイクする場合は、半値戻しの水準20,267ポイントを視野に下落幅の拡大を想定したい。このテクニカルラインの下方ブレイクは、予想レンジの下限20,000ポイントをトライするサインと捉えたい
サポートライン
・20,565:89日線(1/14時点、日足)
・20,400:サポートライン(日足)
・20,267:半値戻しの水準(日足)
・20,000:予想レンジの下限(日足)
20日線までの反発を想定
1時間足チャートをみると強い経済指標を受け下落し、予想を下回ったPPIで下げ止まり、今のナスダック100が経済指標にらみの状況にあることが分かる。PPIに続きCPIも市場の予想を下回る場合は、利回りの投資妙味を意識した米国債の買い戻しが予想される。米金利の上昇一服は、米ハイテク株の買い戻し要因となろう。だが、一度火が付いたインフレ懸念がそう簡単に下火に可能性は低い。ナスダック100の反発局面では、以下で取り上げているレジスタンスラインでの反落を意識したい
・昨年12月CPIそして明日の同月小売売上高が米国株の上昇要因となれば、ナスダック100はレジスタンスラインへ転換するムードが漂う21,000ポイントの突破が最初の焦点となろう
・ナスダック100が21,000ポイント台へ上昇する場合は、50日線の攻防に注目したい。この移動平均線がレジスタンスラインへ転換する場合は、上で述べたサポートラインをトライする状況が続くと予想する。一方、50日線を突破する場合は、1時間足にプロットした半値戻しの水準21,121ポイント、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準21,258ポイントの攻防が焦点となろう
・61.8%戻しの上方ブレイクは、20日線をトライするサインと捉えたい。この移動平均線を今週末までの予想レンジの上限と想定したい
レジスタンスライン
・21,340:20日線(1/14時点、日足)
・21,258:フィボナッチ・リトレースメント61.8%(1時間足)
・21,121:半値戻しの水準(1時間足)
・21,000:レジスタンス転換の可能性あり(1時間足)
ナスダック100のチャート
日足:2024年8月以降
出所:TradingView
1時間足:2024年12月16日以降
出所:TradingView
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