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【米国株 ウィークリーレポート】 今週の注目材料は1月米CPIとナスダック100指数の反応

今週の注目イベントは、14日の1月消費者物価指数(CPI)となろう。1月の“強すぎた”米雇用統計を受け労働市場の引き締まりが意識されている。このタイミングで1月米CPIがインフレ懸念を高めることになれば、米国株の下落が予想される。特に期待先行で上昇幅が拡大したハイテク株への下落圧力が高まることが予想される。注目の株価指数は?詳細はIG米国株レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

今週の注目材料は1月の消費者物価指数(CPI)


サマリー】
・1月米雇用統計の影響を引きずる米債市場
・米国の2年債利回りが昨年11月以来となる4.5%台へ上昇
・10年債利回りと2年債利回りの "逆イールド" は1980年初期以来の水準へ拡大
・14日の1月消費者物価指数(CPI)でインフレ懸念が高まれば米株安を警戒
・ナスダック100指数のチャートポイントについて


“雇用統計ショック”を引きずる米債市場

1月の“強すぎた”雇用統計の影響を引きずり、米国の債券市場では利回りの反発基調が続いている。

将来の金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りは、昨年11月以来となる4.5%台へ再び上昇している。一方、景気の動向を反映して動く10年債利回り(長期金利)は、3.7%台まで上昇してきた。

アメリカ金利のチャート

アメリカ金利のチャート チャート:Bloomberg / 15分足(2月3日~10日)

逆イールドの進行

2年債利回りの上昇幅が拡大している状況を受け、長短金利差の「逆イールド」がさらに進行している。10年債利回りと2年債利回りの金利差は、昨年12月上旬の-85ベーシスポイントを突破し、9日に-87ベーシスポイントまで拡大する局面が見られた。これは、1980年代初期以来のことである。

一方、10年債利回りと3ヶ月物利回り(Tビル)との逆イールドには底打ち感が見られる。これは、3ヶ月物利回りの上昇幅が抑制されているためだ。しかし、3ヶ月物利回りの低下幅は限定的であり、現在は4.6%の水準で反発する状況が続いている。

アメリカの長短金利差のチャート

アメリカの長短金利差のチャート チャート:Bloomberg / 日足(22年3月~)

急速に修正される市場の思惑

米国の2年債利回りに再び上昇の圧力が高まっている理由は、米利上げ政策の長期化観測にある。この点は短期金融市場の動向が示唆している。

下のチャートを見ると、1月の“強すぎた”米雇用統計後に政策金利の予想推移が急速に上方へ修正されていることがわかる。具体的に見ていくと、2月の連邦公開市場委員会(FOMC)終了後の予想ターミナルレートは4.9%前後だった。そして早ければ今年の9月もしくは11月のFOMCで利下げに転じる可能性を織り込む動きが見られた。

しかし、1月の“強すぎた”米雇用統計後の予想推移を確認すると、予想ターミナルレートはFOMCメンバーが予想する23年末の中央値「5.1%」を超える水準まで一気に上方へ修正されている(2月10日時点)。

今年後半の利下げ予想に変化は見られないが、その回数は12月の会合で1回あるかどうか?へ変化している。そして、そこ(利下げ)に至るまでにFRBが高水準(5.0%以上)で政策金利を維持することも織り込まれ始めている。

アメリカFF金利の予想推移

アメリカFF金利の予想推移 データとチャート:BIS, Bloomberg / 赤ライン:2023年2月10日時点

目先の焦点は1月消費者物価指数(CPI)

1月の雇用統計では、アメリカの労働市場の引き締まり状態があらためて確認された。

このタイミングで14日の1月消費者物価指数(CPI)がインフレ懸念、言い換えれば “インフレが低下しない” リスクに対する懸念を市場参加者に想起させる内容となれば、金融政策の方向性を織り込んで動く米2年債利回りはさらに上昇する展開が予想される。4.6%の水準でサポートされている3ヶ月物利回り(Tビル)の上昇幅も拡大することが予想される。

10年債利回り(長期金利)にも上昇の圧力が高まるだろう。だが、将来の景気リスクが意識されることで、2年債利回りや3ヶ月物利回り(Tビル)と比べてその幅は限定的となることが予想される。

今週以降、上で述べた状況が実際に米債市場で見られるならば、長短金利差の逆イールド状態はさらに進行するだろう。そして逆イールドのさらなる進行は、株式の投資家に将来の景気後退(リセッション)のリスクを強く意識させるだろう。

なお、米労働省は先週10日、12月CPI(前月比)を0.1%へ修正した(修正前:-0.1%)。コア指数(同比)も0.4%へ修正した(修正前:0.3%)。

アメリカ消費者物価指数の推移

アメリカ消費者物価指数の推移 データとチャート:米商務省、Bloomberg / 月次(2021年~)

ナスダック100指数の展望と注目のテクニカルポイント

上昇相場の勢いに陰りが見え始めている

現在の米国株は、金利の動きに影響を受けている。特に年初来から期待先行で上昇幅が拡大したハイテク株は現在、米金利の上昇の影響を受けやすい局面にある。2月上旬の決算で最終減益となったGAFAにはもはや、ハイテク株高をけん引するだけの力がないからだ。

ゆえに株価指数で注目したいのが、ハイテク株のトレンドに左右されやすいナスダック100指数(NDX)である。

トレンドの強さを示すADライン(Advance/Declineライン)の動きを確認すると、ナスダック100指数のそれは2月以降、低下基調へ転じている。この動きは、同指数の上昇相場の勢いが後退していることを示唆している。このタイミングで1月米CPIがインフレ懸念を高める内容となれば、米利上げ政策の長期化に対する懸念がさらに高まろう。このケースでは、ナスダック100指数の下落幅が拡大する展開を予想する。

ナスダック100指数のチャート

ナスダック100指数のチャート チャート:Bloomberg / 日足(年初来)

短期サポートラインをブレイク 次の注目ポイントは?

先週10日、ナスダック100指数(NDX)は今年1月6日の安値10,696レベルを基点とした短期サポートラインをローソク足の実体ベースで下方ブレイクした(上のチャートを参照)。

1月の上昇トレンドを象徴するこのラインの下方ブレイクは、さらなる下値トライのシグナルとなり得る。上で述べたADラインと同じく、モメンタム(10日)でも上昇相場の勢いが衰えていることを示唆する動きが見られる(下のチャートを参照)。

ここまで述べてきた状況を総合的に考えるならば、今週のナスダック100指数は20日線(MA/12,065レベル)および38.2%戻しの水準12,046レベルのトライとブレイクを想定しておきたい。これらサポートポイントの攻防は、12,000ポイント台を維持できるかどうか?を見極める攻防の意味合いを持つ。

ナスダック100指数が上のテクニカルポイントをも下方ブレイクする場合は、50日線(MA/11,614レベル)を視野に下落幅の拡大を警戒しておきたい。

ナスダック100指数のチャート

ナスダック100指数のチャート チャート:TradingView/ 日足(年初来)

まとめ

・米国の債券市場では1月の“強すぎた”米雇用統計の影響を引きずり、利回りの反発基調が続いている。特に、金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りに上昇の圧力が高まっている。

・米2年債利回りの上昇幅が拡大していることで、10年債利回りとの ”逆イールド” が進行している。先週9日には一時-87ベーシスポイントと、1980年初期以来の水準まで逆イールドが進行した。

・労働市場の引き締まりが意識されているタイミングで、今週14日の1月消費者物価指数(CPI)がインフレ懸念を高める内容となれば、米金利の上昇と逆イールドがさらに進行することが予想される。

・逆イールドの進行は、将来の景気後退(リセッション)のリスクを株式市場の参加者に意識させよう。

・ナスダック100指数(NDX)はテクニカルの面で分岐点に差し掛かっている。節目の12,000ポイントの維持が焦点に。



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