S&P500は6日続伸で最高値を更新、エヌビディアの反撃、注目は米CPI
S&P500種株価指数は6日続伸し、連日で最高値を更新する強気相場にある。アメリカの長期金利は低下基調へ転じている。そしてエヌビディアが月初来で6.3%反発し、反撃の態勢に転じている。他のマグニフィセント銘柄に買いが入る状況も考えるならば、S&P500種株価指数は新たな上値の水準を見極める展開が続こう。しかし、米CPI次第では不意打ちのような下落に直面する可能性があるため要注意。
この記事のポイント
・S&P500種株価指数は6日続伸し、連日で最高値を更新した
・反撃ムードのエヌビディア、月初来で6%の反発
・米金利の低下基調も考えるならば、S&P500の焦点は上値水準の見極めにある
・目先のリスク要因として注意したいのが、6月の米CPIとなろう
S&P500、注目のチャート水準
レジスタンスの水準
・5,820:フィボナッチ・エクステンション161.80%
・5,700:レジスタンスの水準
・5,600:レジスタンスの水準
・5,580:フィボナッチ・エクステンション100%
サポートの水準
・5,546:フィボナッチ・リトレースメント23.6%
・5,518:フィボナッチ・リトレースメント38.2%
・5,500:サポートの水準
・5,446:フィボナッチ・リトレースメント76.4%
S&P500指数、目先の見通し
6日続伸、5,580の突破と維持が焦点に
多くの機関投資家が運用のベンチマークとしているS&P500種株価指数(SPX、以下SP500指数)は6日続伸し、連日で最高値を更新する状況にある。
日足チャートで直近のトレンドを確認すると、IG米国株レポートで注目しているフィボナッチ・エクステンション100%の水準「5,580」をトライする状況にある(下のチャート、緑矢印を参照)。昨日は高値5,590.75まで上昇し、このテクニカルポイントを一時上方ブレイクした。ゆえに、目先の焦点は5,580レベルの完全突破となろう。
SP500指数がこの水準(5,580)を突破した後、5,500レベルのようにサポートラインへ転換する場合は、さらなる上値トライのシグナルとなろう。
100ポイントレンジの攻防
SP500指数が5,580以上の攻防となる場合は、フィボナッチ・エクステンション161.80%の水準「5,820」レベルを目先の上限と想定したい。
この水準(5,820)のトライを見極めるために、100ポイントレンジでの攻防に注目したい。直近の動向を確認すると5,200、5,300、5,400そして5,500と各節目のポイントがサポートラインとして意識されていることが分かる(下のチャート、青矢印を参照)。
このトレンドパターンを重視するならば、次の焦点は5,600ポイントの突破と維持となろう。これをも達成すれば、5,700ポイントそして5,800ポイントの攻防を意識する展開を予想する。
5,800ポイントは、上で述べたフィボナッチ・エクステンション161.80%の水準と重なる。ゆえに5,800ポイント前後は、テクニカルの面でも重要な上値の水準と想定しておきたい。
S&P500種株価指数のチャート:日足 今年4月以降
出所:TradingView
反落の局面では5,500の維持が焦点に
SP500指数(SPX)は5月に4.8%、6月に3.47%そして7月に入り、すでに2%超上昇している。短期間で上昇幅が拡大している状況を考えるならば、調整の反落を警戒する必要がある。
SP500指数が下値をトライする局面では、5,500ポイントの維持が目先の焦点となろう。この水準をトライするシグナルとして、フィボナッチ・リトレースメント23.6%と38.2%の各水準の攻防に注目したい(下の1時間足チャートを参照)。
特に後者の38.2%水準「5,518」レベルは「サポート転換」の可能性がある。10日線が5,512レベル(9日時点)まで上昇している状況も考えるならば、5,518前後を重要なサポートポイントと想定しておきたい。
SP500指数が5,518レベル(10日線)を完全に下方ブレイクする場合は、5,400ポイント台へ下落する展開を警戒したい。このケースでは、6月の下旬以降、相場をサポートしているフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準「5,446」レベルのトライが焦点となろう。
1時間足のストキャスティクスとRSIで相場の過熱感を確認しながら、これらオシレーター指標が買われ過ぎ、または売られ過ぎの水準で推移し、かつデッドクロス、ゴールデンクロスの状況にある時に、SP500指数が上で述べた上下のチャート水準をトライする局面では反落、反発の可能性を意識したい。
S&P500種株価指数のチャート:1時間足 6月12日
出所:TradingView
焦点は米CPI、内容次第では株安の要因に
S&P500指数(SPX)が下落する要因として、今週注目したいのが、11日に発表される6月の米消費者物価指数(CPI)である。
注目はコア指数の動向である。現時点での市場予想は、前月比と前年同月比でともに5月から横ばいの見通しにある(下のチャートを参照)。また、FRBが注視する「スーパーコア」のインフレ率(住居費を除いたサービス価格)の動向も重要となろう。
これらの指数でインフレの粘着性が示される場合は、アメリカの長期金利(以下長期金利)に再び上昇の圧力が高まることが予想される。
アメリカ消費者物価指数の動向:23年5月以降
長期金利の低下はグロース株を下支えしてきた。そしてグロース株の上昇が、今の米株高の土台となっている(下のチャートを参照)。
6月CPIが長期金利の上昇要因となれば、グロース株には売りの圧力が高まるだろう。6月CPIでグロース株が崩れる場合、SP500指数は上で述べた下値の水準をトライする展開を想定したい。
S&P500グロース指数とバリュー指数、米長期金利の動向
高まる9月の利下げ期待
しかし、6月の米CPIが株安の要因となっても、S&P500指数(SPX)は上で述べた下値の水準でサポートされる展開が予想される。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は9日、半期に一度の議会証言に出席した。利下げの時期について具体的な言及は避けたが、労働市場の冷え込みについて述べた。実際に6月の雇用統計では労働市場の軟化が示唆された。
インフレの抑制傾向と労働市場の軟化が意識され、短期金融市場では現在、9月利下げを70%前後の確率で織り込んでいる。5月以降、アメリカの長期金利が低下の基調へ転じている状況も考えるならば、6月のCPIでインフレの粘着性が確認されても、単月の経済指標が今のトレンドを大きく変化させる可能性は低い。
ゆえに、6月CPIがSP500指数の下落要因となっても、現時点では上で述べたいずれかのサポート水準で相場が反転する展開を想定しておきたい。
9月FOMCの利下げ確率
エヌビディアの反撃
FRBの利下げと米金利の動向以外で注目したいのが、半導体株のリーダー銘柄であるエヌビディア(NVDA)の動向である。
同社の株価は6月下旬以降、調整ムードが高まった。しかし、7月に入り一転して6.3%反発し、ナスダック100(NDX)やSP500指数(SPX)のパフォーマンスを上回っている(下のチャートを参照)。
6月20日の取引時間に付けた高値140.76の突破を確認しない限り油断はできないが、テスラ(TSLA)、アップル(AAPL)に次ぐ上昇率は、エヌビディアが早くも調整相場から脱し反撃態勢に転じつつあることを示唆している。
エヌビディアの買い戻しに加えて、他のマグニフィセント銘柄にも買いが入る状況は、SP500指数の追い風となっている。この状況でインフレが鈍化の傾向にあることが6月CPIで確認される場合は、これら主力株がさらに上昇することが予想される。
一方、6月CPIが米金利の上昇要因となり、米金利の上昇がこれら主力株の売り要因となっても、決算で事業の成長性に対する懸念が高まらない限り、マグニフィセントセブンの株価が下落しても調整の反落で終わる展開が予想される。
マグニフィセントセブンと主要指数のパフォーマンス:月初来
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