米国株 下落一服も景気不安消えず ナスダック100の見通しと注目のチャート水準
米国株の下落が一服している。ナスダック100はトレンドを意識した短期の買いを意識したい。しかし景気不安が意識されやすい状況が続いている。レジスタンスラインでは反落を警戒したい。

記事の概要
今週に入り米国株の下落が一服している。特にナスダック指数は他の株価指数の上昇率を上回る状況にある。しかし、景気不安が引き続き米国株の上値を抑制する要因となろう。ナスダック100はトレンドフォローの短期買いを意識しながらも、過去の高安水準やレジスタンスラインでは反落相場を意識したい。ナスダック100、目先の見通しと注目のチャート水準について。
米国株 下げ一服も反発の勢いが失速、景気不安が重石
25日のアメリカ株式市場では、ラッセル2000以外の主要指数が続伸した。しかし24日と比べて上昇幅は限られ、早くも反発ムードが失速気味となった。
その要因となったのが、3月の消費者信頼感指数(コンファレンスボード)だった。総合では92.9と前月の100.1から低下し、2021年1月以来(87.1)の低水準となった。一方、期待指数は65.2と、2013年3月以来(63.7)12年ぶりの低水準へ落ち込み、コンファレンスボードが指摘する景気判断の分かれ目「80」を2か月連続で下回った。また1年先の期待インフレは6.2%と、前月の5.8%からさらに上昇した。
注目すべきは、昨年11月のアメリカ大統領選挙以降、上記のトレンドが鮮明となっていることである。ミシガン大学調査の消費者態度指数と期待インフレ率も同じ状況にあることを考えるならば、アメリカの消費者はトランプ関税によるインフレの再燃を警戒し、支出を抑制する傾向にある。
米国株の下げは一服している。ゆえに今週はトレンドフォローの短期買いを意識したい。しかし経済指標が示す個人消費の先行き懸念は、市場参加者に景気不安を想起させる。株価反発の局面では、レジスタンスラインでの反落を警戒したい。
米国 消費者信頼感指数と1年先の期待インフレ:直近1年間の動向

ブルームバーグのデータで筆者が作成

ブルームバーグインテリジェンスのデータで筆者が作成
ボラティリティ指数も低下基調にある。25日時点でナスダック100を対象とするオプション取引のボラティリティを元に算出されるVXNは20ポイント台まで低下している。一方、S&P500が対象のVIXは20ポイントを下回る状況にある。
株価指数の上昇率、ナスダック100に連動したEFT(QQQ)への資金流入、そしてボラティリティ指数の低下を総合的に考えるならば、主要指数のなかでもナスダック100は短期的なトレンドフォローの短期買いを意識する状況にある。
VXNとVIXの動向:日足 2024年7月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成
ナスダック100の見通しと注目のチャート水準
200日線の攻防と半値戻し(基準線)のトライ
今日以降もナスダック100の反発が続く場合は、2月19日の高値と3月13日安値の半値戻しの水準20,687ポイントを目先の上限と想定したい。現在、このテクニカルラインと重なるかたちで、日足の一目基準線が推移している。重要ラインが重なる20,700手前は、強烈なレジスタンスラインとなる可能性がある。
ナスダック100が半値戻し(基準線)を目指すサインとして、まずは200日線(25日時点で20,306ポイント)の突破とサポート転換を確認したい。この移動平均線のサポート転換が確認される場合は、短期的な地合いの強さを市場参加者に印象付けよう。
ナスダック100が200日線以上の攻防へシフトすれば、次の焦点は3月6日の高値20,473ポイントのトライを想定したい。この推移をも突破する場合は、1月13日の安値20,538ポイントの攻防に注目したい。前者の水準(20,473ポイン)は長い上ヒゲで相場の上昇を止めた経緯がある。後者の水準(20,538ポイント)は、レジスタンスラインへ転換する可能性がある。
20,538ポイントの突破は、20,600ポイント台への上昇と半値戻し(基準線)をトライするサインと考えたい。
レジスタンスライン
・20,687:半値戻し、基準線(日足)
・20,538:1/13安値(日足)
・20,473:3/6高値
・20,306:200日線(日足)
まずは20,000ポイントの維持が焦点に
30分足のストキャスティクスとRSIはともに買われ過ぎの水準にある。3月消費者信頼感指数の低下にもかかわらず今週に入りナスダック100はすでに2.74%上昇している。すぐ上に200日線が控えている状況も考えるならば、ナスダック100の反落を警戒する局面でもある。
目先は20,000ポイントの維持が焦点となろう。この推移を維持する場合はトレンドフォローの買いを意識したい。直近高安のフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準20,083ポイントの下方ブレイクは、20,000ポイントをトライするサインと捉えたい。
上述したナスダック100の状況、そしてトランプ関税に対する懸念がひとまず後退している状況も考えるならば、今日以降ナスダック100が20,000ポイントを下方ブレイクしても、サポート転換の可能性がある19,930ポイント、または2つのフィボナッチ・リトレースメントが重なる19,850ポイントで反発する展開を想定したい。テクニカルの面では後者の水準をより重視し、このラインを目先の下限と想定したい。
なお、現在のナスダック100は反発基調にある。高値更新の局面では、その都度最新のフィボナッチ・リトレースメントの水準を確認したい。
サポートライン
・20,083:23.6%戻し(30分足)
・20,000:サポートライン(30分足)
・19,930:サポート転換の可能性あり(30分足)
・19,850:半値戻し、38.2%戻し(30分足)
ナスダック100のチャート
日足:年初来

出所:TradingView
30分足:3月13日以降

出所:TradingView
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