【イエレンFRB議長は労働市場がかなり引き締まっているとの認識!】
高めのPERも正当化される?
2016/12期4Q(10-12月)決算はほぼ出揃い、2/27現在でEPSの増益率が前年同期比5.3%増、通期では前期比1.2%減の予想。2017/12期は増益率が高まり、通期で同12.0%増と2桁増益の見通しだ。
業種別にはエネルギーが同4.4倍と大幅に改善し、ソフトウェアや半導体が好調のハイテクが同17.1%増、素材が同11.2%増、金融は保険の大幅増益などから同11.0%増の見通しである。トランプ政権の政策次第では企業業績見通しが一段と上方修正される可能性もあろう。このため、世界の主要指数の中で高めに推移する米国株のPER水準は正当化されることになろう。(庵原)
【トランプ政権の政策次第で2017/12通期のEPSは一段の上方修正も!】
拡大ペース加速の小売市場
米国小売売上高の拡大ペースが加速している。前年同月比で2016年は9月まで3%前後の成長であったが、10月以降は4%前後、2017年は1月に5.6%に高まった。
業績拡大などから企業マインドは改善し、雇用環境は良好で賃金上昇が続いている。消費者マインドは2000年代前半の水準まで回復。住宅価格上昇や株高など資産効果もあり、個人消費が拡大していると思われる。特に高成長の一方、構成比が未だ8%程度のEコマース市場の拡大余地は大きいと見られる。(庵原)
【消費者マインド良好で拡大する小売市場~Eコマース市場は拡大余地大】
移民政策が住宅市場に影響へ
1月の新築住宅販売件数は前月の改定値から3.7%増となった。買い手の購入意欲が高まる中、中古住宅在庫は同7.1%減となり、1月の中古住宅販売件数と販売価格が堅調。また、住宅を取り巻く消費環境も良好で関連株の上昇基調が続いている。
トランプ大統領の政策期待に加え、景気の拡大が住宅市場をさらに押し上げる可能性がある。一方、同氏が不法移民を一斉に取り締まる計画を明らかにし、大量の移民が国外に強制退去させられそうだ。移民の多いニューヨーク、ロサンゼルスなど主要住宅市場にリスクを抱え、今後の政策動向に留意したい。(袁)
米原油増産で上値抑制を警戒?
国際エネルギー機関(IEA)によれば、OPECの原油減産合意について1月の加盟国の順守率が90%と過去最高。OPECトータルの生産量が2016/12比84万バレル減の3,230万バレル、サウジアラビアやイラクなど主要産油国の減産が寄与した。
また、IEAは世界石油の需要が堅調に維持しており、2017年も需要拡大を見込んでいる。足元のWTI原油先物価格の上昇基調が続き、54ドル台に乗せた。原油高や米経済回復の拡大から米稼動掘削リグ数が増加し、原油の増産傾向が強まりそうだ。また、原油価格上昇を待つシェールオイル企業が本格増産となれば、原油の上値を抑えそうだ。(袁)
【OPECの減産が順調、原油価格とリグ数がゆっくり上昇】
リスクと景気期待で商品相場上昇
「トランプリスク」や欧州政治不安などを背景に金の買いが拡大。2/14から2/21の期間にNY金の大口投機筋は前週比14,011枚増の123,763枚と買い越しが大幅に拡大。2/27時点のNY金先物価格は1,250ドル/トロイオンスの高水準。株式相場の過熱感、トランプ大統領の移民制限やフランス大統領選挙を巡る欧州政治リスクなどは引き続き金利低下・ドル安を招き、金の上昇を促しそうだ。
銅価格の回復も鮮明。米景気拡大や減税などに加え、最大消費国の中国の経済安定も銅需要を喚起している模様。バリック・ゴールド(ABX)、ニューモント・マイニング(NEM)など鉱業関連企業に注目したい。(袁)
【米長期金利低下や世界景気回復期待などから金と銅は上昇】
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本レポートの作成者:公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員庵原浩樹
フィリップ証券リサーチ部アナリスト袁鳴
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