【向こう2年の成長は高水準維持だが~2020年以降は減速との見通し!】
伸び加速も貿易摩擦が懸念!
WTOによれば、2017年の世界のモノの貿易金額は輸出入ともに前年比11%程度の伸び。旺盛な個人消費や投資が成長エンジンとなり、モノの貿易量が同4.7%増と3年ぶりに世界経済の成長率を上回った。原油など資源価格上昇も追風となり、アジアや新興国などで高い伸びを記録。国別貿易額では中国が米国を上回り2年ぶりの首位。
米国の減税などが消費を拡大させ、原油など資源高が新興国市場に恩恵をもたらし、貿易の伸びは足元で加速している。しかし、米国を中心とした保護主義の強まりが世界の自由な貿易体制を崩しかねない状況だ。2018年も好調の見通しだが、貿易動向と相関する世界の株価は、貿易摩擦の動向などが左右する展開となりそうだ。(庵原)
【世界の貿易の伸びは加速~8ヵ月連続2桁増だが・・・先行きは?】
景気の先行きに不透明感!
3月のISM製造業景況感指数は、約14年ぶりの高水準だった前月から1.5ポイント低下し59.3。市場予想の59.7を下回った。米国の景気拡大期間はすでに105ヵ月に達しており、循環的な減速トレンドに入る可能性も指摘される。
一方、仕入れ価格指数は78.1と4ヵ月連続で上昇し、7年ぶりの高水準。貿易摩擦への懸念が背景にあり、鉄鋼・アルミ製品に対する関税導入がパニック買いを引き起こし、短期的な価格上昇につながったとの報告もあった。通商問題が企業マインドを冷やした構図が伺えるが、足元では貿易摩擦への懸念は後退している。割高感の解消された銘柄は狙い目だろう。(増渕)
【景気指標は減速を示す~景気のピーク感と貿易摩擦への懸念】
原油は68ドル/バレルまで上昇
WTI原油先物は68.64ドル/バレルと約3年ぶりの水準まで上昇。OPECとロシアなど非加盟産油国の協調減産は、順守率が100%を超える。4/20の主要産油国の会合では、市場の監視や情報交換、共同での生産調整を迅速にできる体制の構築を検討した模様。
エネルギー情報局(EIA)の発表によると、4/13終了週の米国原油在庫は、市場予想の前週比100万バレル増に対し、107万バレル減。在庫量は10.93億バレルと、約3年ぶりの水準に落ち着いている。ただ、投機筋の買いポジションが積み上がっている。2014年後半には投機筋が買い建玉を整理したことで、原油価格が急落。投機筋の動向には注意したい。(増渕)
【原油価格が約3年ぶりの水準まで上昇~投機筋のポジションに注意!】
景気、政治と安定の中国に期待
4/17に発表された中国の2018/1Q(1-3月)のGDP成長率は、前年同期比6.8%増と景気拡大ペースを維持した。また、1-3月の固定資産投資は同7.5%増となり、3月の小売売上高は前年同月比10.1%増と市場予想を上回った。
王岐山国家副主席、劉鶴副首相の起用など習近平国家主席は確固な権力体制を築き、金融安定強化など、着実な経済基盤構築を推進している。習主席は、4/10の国際会議で自動車を含む一部製品の輸入関税引き下げを表明。自動車のほか造船、航空機部門における外資出資限度を可能な限り早期に引き上げるとし、発表済みの金融セクターの開放とともに確実に進めていく意向。政府主導型の長期的発展を見据えた改革・開放策の進展もあり、中国関連銘柄に注目したい。(庵原)
【景気拡大ペース維持、改革・開放進める中国~関連銘柄に注目!】
全セクターで業績見通しは上振れ
大型減税を背景に2018/1Q以降のS&P500構成企業の増益率予想は大幅に上振れている。2018/12通期増益率見通しは、1月時点の前期比14.8%増に対して同20.9%増。11業種別では、全セクターの増益率予想が上方修正。
特に通信サービスは、年初からの修正幅が大きい。好決算を発表したベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)など、株価に注目したい。ハイテクは同30.1%の増益率予想だが、2019/12期、2020/12期も二桁の増益を見込む。サブセクターでは、半導体が2018/12期に同43.1%増のほか、ソフトウェア・サービスは2019/12期、2020/12期と15%を超える増益率が続く見通し。マイクロソフト(MSFT)、アドビシステムズ(ADBE)など、ピックアップしたい。(増渕)
【全11セクターで2018/12期の増益率予想が上方修正~業績動向に注目】
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本レポートの作成者:公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員 庵原浩樹
公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員補 増渕透吾
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