What is the news?
2018/6期4Q(4-6月)は、売上高が前年同期比30.9%増の14.83億USD、純利益が同39.6%増の2.11億USD。2018/6期1Q(2017/7-2017/9)に完了したケイト・スペードの買収の効果が出たほか、主力ブランドのコーチが好調に推移した。売上原価は同26.7%増の4.80億USDと増加したものの、粗利益率は67.6%と前年同期の66.5%から改善した。さらに、税制改革に伴う一時利益やケイト・スペードの買収に関連して計上した評価性引当金の戻入れなども寄与し大幅増益となった。これらの特殊項目を除く調整後EPSは0.60USDと市場予想の0.56USDを上回った。
事業セグメント別の業績は以下の通り。コーチは、売上高が前年同期比5.1%増の10.98億USD、営業利益が同15.3%増の2.83億USD。北米市場の回復や素材と価格帯におけるファッションイノベーションが寄与しオンライン通販も含む既存店売上高は同2%増。また、厳密な費用管理により、粗利益率が69.3%と前年同期の67.4%から改善。ケイト・スペード(※2018/6期1Qから生じたセグメントであるため前年同期比増減率は記載しない)は、売上高が3.11億USD、営業利益が2,390万USD。中国、香港、マカオ、台湾の合弁事業の統合により一部相殺されたものの、オンライン・フラッシュセールと卸売処分からの戦略的撤退の影響により既存店売上高が同3%減となった。スチュアート・ワイツマンは、売上高が同17.1%減の7,290万USD、営業利益が▲2,070万USDと前年同期の▲290万USDから赤字幅拡大。開発と出荷の遅れの影響を受けた。
How do we view this?
2019/6通期の会社計画は、売上高が1桁台中盤の伸び率、EPSが2.70-2.80USD。ケイト・スペードとのシナジーにより1.00-1.15億USDの費用削減効果が生じる見通し。2019/6通期市場予想は、売上高が前期比4.8%増の61.60億USD、当期利益が同2.0倍の8.03億USD。同社は、シンガポール、マレーシア、豪州のケイト・スペードの経営権および中国南部におけるスチュアート・ワイツマンの事業の買収契約を締結。中国人消費者へのアプローチの最適化を目指し海外販売網の直轄化を進める。
配当予想(USD) 1.37 (予想はBloomberg)
終値(USD) 52.03 2018/8/21
会社概要
1941年に「コーチ」として創業。NY市に本拠を置き、モダンラグジュアリーアクセサリーやライフスタイルブランドを展開し、バッグやレザー小物、シューズ、RTW、アウター、ウォッチ、トラベルアクセサリー、スカーフ、サングラス、フレグランス、ジュエリー、その他小物類などを提供する。同社を構成する「コーチ」、「ケイト・スペード」、「スチュアート・ワイツマン」は、25年以上にわたり米国のファッション業界を象徴するブランドである。
2015年にスチュアート・ワイツマンを買収。2018/6期1Q(2017/7-2017/9)にケイト・スペードの買収が完了し、2017/10に社名変更。2000/10以降、世界戦略を強化し、合弁企業の設立やディストリビューターとの提携を進めている。また、ブランド認知度や市場シェア拡大、ブランド管理の強化を目的に合弁企業の子会社化やディストリビューターの販売権の買取も進めており、日本、中国、シンガポール、台湾、マレーシア、韓国、ヨーロッパなどのオペレーションは同社直轄である。同社事業は「コーチ」、「ケイト・スペード」、「スチュアート・ワイツマン」の3つの事業セグメントのもと管理される。
企業データ(2018/8/22)
ベータ値 0.70
時価総額(百万USD) 14,987
企業価値=EV(百万USD) 15,337
3ヵ月平均売買代金(百万USD) 145.8
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本レポートの作成者:公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員 庵原浩樹
公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員補 増渕透吾
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