【上方修正となった世界経済見通し~2018年は3.9%成長へ】
市場予想を下回る成長率だが…
2017/4Q(10-12月)の実質GDP速報値は前期比年率2.6%増。伸びは3Qの同3.2%増から減速、市場予想の同3%増を下回った。輸出は同6.9%増と伸びが加速したが、輸入が同13.9%増と輸出を上回り、純輸出が減少し、GDPを押し下げた。前期に積み上がった在庫投資が反動で減少した影響もある。
一方、GDPの7割を占める個人消費は同3.8%増と3Qの同2.2%増から伸びが加速。住宅投資や設備投資も伸びが加速している。3Qは在庫や外需によって成長率が押上げられていた側面もあり、むしろ経済の堅調さを示す結果と言えよう。(増渕)
【米国GDP成長率(四半期ベース)~引き続き個人消費が堅調!】
加速したドル安巻き戻しもあろう
ドルインデックスは足元で2014年末以来の90台を割り込んだが、巻き戻しもあると見る。現状は、日欧金融政策の出口観測がユーロ高、円高を強めドル安が進展したが、日米欧の経済動向と金融政策を考慮すれば、やや行き過ぎの感は拭えない。
ドル安が米国株高を加速させた面もあり、動向を注視したい。一方で、緩やかな金融正常化継続が見込まれるFRBのパウエル次期議長の手腕とトランプ政権の政策に期待しつつ、投資機会を見極めたい。(庵原)
【FRB及び日欧の金融政策と為替動向と~ドル安基調は続くのか?】
雇用安定、賃金上昇率高まるか
非農業部門雇用者数の増加幅は、鈍化しているが、安定した伸びが続けば市場のネガティブ要因にはならないと見られる。2017年は年間で前年比約205万人増と2012年以降で最も雇用創出が少ない年となったが、過去7年連続で200万人超と1990年代の連続記録に並んだ。このため、雇用創出減は想定内と言えそうだ。
一方で、上昇率が高まらない賃金であるが、今後高まる可能性があると見られる。ウォルマート・ストアーズ(WMT)は最低賃金の引き上げや一部従業員へのボーナス支給などを発表。トランプ政権の減税策を受け、雇用増や賃上げを決めた企業は100社を超えるとの報道もある。ただ、為替や金利など株価への影響にも目を配りたい。(庵原)
【良好な労働市場も未だ改善の余地~雇用統計と為替動向の行方は?】
年は全業種増益の見通し!
市場では、世界景気改善と税制改革を追い風に、2018年も企業収益拡大が続くとの期待が大きい。S&P500構成企業の2018/12通期EPS市場予想は、全11業種で増益の見通しだ。
2017/4Q(10-12月)では前年同期比19.8%増を見込むハイテクセクターの見通しは、2018/12通期も前期比24.7%増。ハイテクのうち半導体・同製造装置の4Qが同41.8%増、2018/12通期では同46.4%増。2016年以降株価は大幅上昇だが、評価余地がありそうだ。また、税控除が他業界に比べて少なく、減税の恩恵を受けやすい金融のうち銀行セクターは、2018/12通期で同24.4%増の見通しである。(増渕)
【米国企業 業績動向~セクター別2017/4Q及び2018/12通期見通し】
パフォーマンス動向からの選別!
1/29現在、NYダウ構成30銘柄の騰落率は、昨年来で28社が上昇し、年初来で27社がプラス。主軸の電力関連などが低迷し厳しい収益状況にあるゼネラル・エレクトリック(GE)の株価反転は未だ時間がかかりそうだ。
昨年来好パフォーマンスとなったベスト10社の大半はNYダウを上回る上昇。ただ、相場下落局面では売られやすい銘柄であることも頭に入れておきたい。一方、昨年来ワーストパフォーマー10社の中で、年初来好パフォーマンスの企業に注目したい。2017/4Qに23四半期ぶり増収となったインターナショナル・ビジネス・マシーンズ(IBM)やがん治療薬で適応拡大を進めるメルク(MRK)などの業績動向に注目したい。減税効果や投資銀行部門の収益拡大が期待されるゴールドマン・サックス(GS)などの株価動向にも注目したい。(庵原)
【昨年来のベスト・ワーストパフォーマーからの銘柄選択!】
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本レポートの作成者:公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員庵原浩樹
フィリップ証券リサーチ部アナリスト袁鳴
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