豪ドル、7~9月期に0.83米ドルまで上昇へ 商品高でファンダメンタルズ強い—調査
豪ドルの対米ドル相場は過去数週間のレンジを上抜き、21年7~9月期に0.83米ドルまで上昇すると豪コモンウェルス銀行は見込んでいる。商品相場の上昇でファンダメンタルズは強いという。
オーストラリアドルの対米ドル相場は過去数週間のレンジを上抜き、2021年7~9月期に0.83米ドルまで上昇すると豪最大手行コモンウェルス銀行(CBA)は見込んでいる。商品(コモディティー)相場の上昇でファンダメンタルズは強いという。
2日午前の外国為替市場で豪ドルは0.77米ドル台後半で推移している。豪ドルの対円相場は85円台前半で取引されている。
豪紙フィナンシャル・レビューが今週、豪ドル相場の上昇を見込むCBAの分析を伝えた。
それによると、豪ドルが最近、0.775米ドルを中心とするレンジにとどまっていることについて、豪州の新型コロナワクチン接種が米英など他の先進国に出遅れたためとCBAはみている。
豪州はまだコロナ禍の最中にある。同国第2の都市メルボルンで5月下旬に新型コロナの新たなクラスター(集団感染)が見つかり、同市のあるビクトリア州は27日夜から1週間のロックダウン(都市封鎖)に踏み切った。ロックダウンは延長される可能性がある。
CBAは、商品相場の上昇が豪ドルのファンダメンタルズを強めているとし、豪ドルは7~9月期に0.83米ドルまで上昇すると予想した。
ただ、その後は商品相場が軟化する可能性があるため、年末にかけて0.81米ドルまで下げるとみている。
中国の商品市場への介入
CBAは豪ドルの今後の上昇を妨げ得る要因の1つに中国による鉄鋼生産抑制の動きを挙げた。商品相場に影響が及ぶ可能性があるという。
中国政府は5月10日に大連と上海の鉄鉱石先物相場の証拠金の引き上げを発表。同月12日と19日には同国国務院が高騰する商品相場を問題視した。
これを受けて中国鋼鉄工業協会は先週、会員の鉄鋼企業に対し、生産量や在庫量の調整を促した。
CBAはまた、欧州連合(EU)や米国が導入を検討している炭素国境調整メカニズムも、豪ドルにダウンサイド・リスクをもたらし得るとの見方を示した。
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