銅価格見通し: 短期的には上値の重さ意識か 中国が商品価格抑制へ
銅価格の上値がこのところ重い。最大消費国の中国がインフレを抑制するために商品価格を抑制する方針を示しており、目先は上値の重さを意識した展開が続きそうだ。
銅価格の上値がこのところ重い。国際価格の指標であるロンドン金属取引所(LME)の3カ月先物は2月25日に1トン=9412.50ドルの9年半ぶりの高値を付けた。しかし、その後はドル相場の上昇などを背景に上値を抑制されている。4月14日は9074.50ドル。
最大消費国の中国がインフレを抑制するためにコモディティ(商品)価格を抑える方針を示しており、銅は目先、上値の重さを意識した展開が続きそうだ。2020年12月から21年1月に相場の上伸を阻んだ8000ドル水準が下値のめどになる。銅の重しになる可能性のある諸要因を以下に挙げた。
中国のコモディティ価格抑制
中国の李克強首相は、コモディティ価格の上昇に伴う企業へのコスト圧力を緩和するために、原材料市場の規制を強化する必要性を唱えた。新華社が12日伝えた。
これに先立ち中国国家統計局が9日発表した3月の卸売物価指数(PPI)は前年同月比4.4%上昇。3カ月連続のプラスで、18年7月以来の高い伸びとなった。2月は1.7%上昇だった。
劉鶴副首相が主宰した8日の金融安定発展委員会の会議でも、コモディティ価格動向を注視する方針が示されていた。
中国ではコモディティ価格の高騰を背景とする生産原価の急速な上昇で、製品価格への転嫁が避けられなくなっている。製造業の一部はコスト削減のために雇用拡大に慎重になりつつある。
ドルの動向
外国為替市場でのドル高の進行もまた、銅を含むコモディティの国際価格にとってはマイナス材料だ。
ドルの総合的な強さを示すドル指数は年初から上げ基調にある。しかし、速いペースで上昇していた米長期金利が4月に入り頭打ちになると、ドル高にもストップがかかった。
米国ではコロナワクチンの普及に伴い、力強い経済成長が見込まれている。長期金利が上昇を再開すればドル買いが再び始まり、銅相場を抑制する可能性がある。
銅生産は増加へ
調査会社グローバルデータは2月に発表した世界銅生産見通しで、21年の生産が前年比5.6%増の2130万トンになると予想した。24年にかけて生産は2460万トンまで膨らむ見通しという。
コロナ禍に見舞われた20年は2.6%減の2010万トンだった。
グローバルデータは各国別の生産動向も分析している、3月に発表したペルーの銅生産見通しによると、21年の同国の生産は前年比10.4%増の240万トンになる。24年には310万トンに拡大する見通しという。
また、4月に発表したチリの銅生産見通しによると、21年の同国の生産は前年比3.7%増の595万7100トンになる。今後も増加を続け、24年には670万2800トンになる見通しという。チリは世界最大の銅生産国。
中長期的見通し
当面の上値抑制要因をみてきたが、中長期的には銅の見通しは明るい。新型コロナの収束を経て景気回復期に入る国が増えるにつれ、銅は力強さを取り戻すだろう。需要の伸びはマイナス材料の相殺につながる。
社会の脱炭素化に向けた動きも銅需要を増加させるだろう。電気自動車(EV)やグリーンインフラにとって銅は欠かせない素材だ。
22年には1万ドルを超える水準での推移が見込まれ、目先の動きはそれに向けた水準固めになる可能性が高い。
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