米国で半導体株急騰 S&P500最高値更新 雇用統計は安定見通し
エヌビディアの時価総額は3兆ドルを突破。長期金利低下がS&P500も押し上げたが、5月雇用統計でサプライズがあればムードが一変する可能性も。
アメリカの株式市場が人工知能(AI)ブームへの期待で急騰した。半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の5日の終値は前日比5%超上昇し、時価総額は3兆ドルに到達。その他の半導体株も大きく値を上げた。また5日は長期金利(10年物米国債利回り)も下がっており、S&P500種株価指数は最高値を更新している。ただ、S&P500の今後の見通しをめぐっては、7日発表の5月雇用統計が分水嶺となる可能性がある。非農業部門の就業者数などは労働市場の安定を示すとみられているが、サプライズがあればS&P500に下押し圧力がかかるリスクもありそうだ。
半導体大手エヌビディアの時価総額は3兆ドル超え
エヌビディア(NVDA)の5日の終値は前日比5.16%高の1224.40ドル。上場来高値を更新し、時価総額はアップル(AAPL)を上回る3.01兆ドルに達した。時価総額が3兆ドルを超えるのは、アップル、マイクロソフト(MSFT)に次いで3社目だ。エヌビディアは人工知能(AI)開発に不可欠な半導体の供給元として高成長が続くとの期待が強く、時価総額は10月下旬の1兆ドル程度から約7か月で3倍に膨れ上がった。ジェンスン・ファンCEOは5月22日の決算会見で半導体需要の強さを強調していた。
S&P500は最高値更新 長期金利低下が追い風に
5日の株式市場の追い風となったのは長期金利の低下だ。ニューヨーク債券市場での長期金利の終値は4.289%。3月28日(4.194%)以来の低水準で、株式の投資先としての魅力を想定的に高めた。民間調査会社ADPが発表した5月の全米雇用リポートで就業者数の伸びが予想を下回ったことが材料視されたようだ。こうした中、S&P500(SPX)の終値は前日比1.18%高の5354.03。5月21日以来11営業日ぶりに最高値を更新している。
株式相場の明るい見通しは米労働省が7日午前8時30分(日本時間7日午後9時30分)に発表する5月雇用統計に関する、楽観的な見方にも裏付けられていそうだ。ロイターがまとめた事前予想では、非農業部門の就業者数は前月比18.5万人増になる見通しで、労働市場の過熱感も冷え込みも感じさせない結果が見込まれている。また失業率と平均時給の前年同月比伸び率は、いずれも4月と同じ3.9%になると予想されている。前回4月の雇用統計発表時は就業者数の伸びが落ち着き、長期金利低下とS&P500の上昇につながった。
雇用統計で労働市場の見通しが揺らげばS&P500を下押しも
ただ、5月雇用統計で就業者数の伸びが大きくなり、労働市場の過熱感が意識されれば、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げが遠のくとの不安が株式相場を冷やすリスクは拭えない。また失業率の上昇などで雇用悪化の見通しが強まった場合は、景気後退が企業業績と株価を下押しするシナリオが意識されることも考えられる。
一方、雇用統計の結果が予想に沿った安定的な内容であれば、投資家心理がさらに上向く可能性もある。物価上昇の減速と雇用の維持の両立が実現する見通しになれば、S&P500にとっては好条件が続くことになりそうだ。
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