アマゾン、株価8%急落 総収入が予想割れ 設備投資は上積み見通し
アマゾン・コムの4-6月期決算は小売関連収入が不振。下半期の設備投資増額の見通しも示され、収益性の悪化不安が高まった。
アマゾン・コムが1日の取引時間終了後に発表した2024年4-6月期決算は総収入が市場予想を下回った。小売関連収入の伸びが減速していることが影響したとみられる。一方、人工知能(AI)サービスの提供基盤であるクラウド事業の成長は好調を維持した。ただしアマゾンは2024年下半期の設備投資額は上半期から上積みされるとしており、利益を圧迫するおそれもぬぐえない。1日の時間外取引ではアマゾンの株価は一時、8%超下落しており、投資家の納得は得られなかったようだ。
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アマゾンの4-6月期決算は総収入が予想割れ 小売り減速
アマゾンの4-6月期決算は総収入が前年同期比10.1%増の1479.77億ドル。1株当たり利益(EPS)は93.8%増の1.26ドルだった。LSEGによると、直前の市場予想は総収入が1485.57億ドル。1株当たり利益が1.03ドルだった。総収入は2022年7-9月期以来7四半期ぶりの市場予想割れ。1株当たり利益は市場の見通しを超えた。
アマゾンの総収入が市場見通しを下回った背景には、小売り関連の収入の減速がある。4-6月期の小売関連収入は967.99億ドルで、前年同期比7.2%増。2023年10-12月期の12.7%増をピークとして、2四半期連続で前四半期の実績を割り込んだ。アンディ・ジャシーCEOは1日の決算会見で「消費者は価格に気を配るようになっている」と述べ、買い手の低価格指向が強まっていることが収入の減少につながっていることを示唆した。
クラウド事業好調 AIサービス拡充へ設備投資上積み
一方、成長性が期待されているクラウド事業は、収入が前年同期比18.7%増の262.81億ドルとなり、伸び率が1-3月期の17.2%から加速。市場予想の258.83億ドルも上回った。ジャシー氏は決算会見でAIサービスへの需要は莫大だと述べ、「現状以上のサービス供給能力を確保したくなるだろう」と述べた。
こうしたAIサービス拡充戦略は巨額の設備投資の裏付けが必要だ。ブライアン・オルサブスキーCFOは決算会見で2024年上半期の設備投資額が305億ドルだったと言及。下半期については「より高くなると予想している」と述べた。またアマゾンは、7-9月期の総収入については1540億-1585億ドルとの見通しを提示。中間値の1562.5億ドルは市場予想の1582億ドルを下回った。
アマゾンの株価は時間外取引で一時、8%下落
小売関連という主力事業からの収入が減速する中で設備投資を上積みするアマゾンのかじ取りは収益性の悪化を予感させる。1日の時間外取引ではアマゾンの株価(AMZN)は一時、169ドル程度まで下落した。1日の終値(184.07ドル)との比較では8%超の下落だ。その後は買い戻しも入ったが、7%安程度で取引を終えている。
アマゾンの小売関連の収入は世界経済の動向に左右される。今後、経済活動の減速が強まれば小売関連収入がさらに不振に陥ることも想定される。また、この場合には、景気悪化にさらされたアマゾンの顧客企業がAIサービスの活用に慎重になる筋書きも考えられ、アマゾンの業績や株価に下押し圧力がかかることもありえる。
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