アマゾン、成長加速できるか 31日決算 株価の見通しに不透明感
アマゾンの7-9月期決算は総収入の伸びが焦点。小売り関連の回復が難しい場合は、クラウド事業の成長に期待がかかりそうだ。
アマゾン・コムが31日の取引時間終了後に発表する2024年7-9月期決算は成長が加速するかどうかが焦点だ。アマゾンは3か月前の4-6月期決算発表で総収入が市場予想に届かず、投資家の失望を買っており、復活が求められている。ただ、7-9月期に関する金融市場の予想では、小売り関連収入の減速が見込まれており、投資家の期待に応えるにはクラウド事業の成長加速が不可欠ともいえる。一方、クラウド事業成長に向けた設備投資が利益を圧迫していれば投資家の不満が高まる可能性もあり、アマゾンの株価の今後の見通しは不透明感が強そうだ。
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アマゾンの2024年7-9月期決算は総収入が10%増の見通し
アマゾンはアメリカ東部時間31日午後5時(日本時間11月1日午前6時)に決算会見を開く。ブルームバーグによると、アマゾンの7-9月期決算に関する市場予想は、総収入が前年同期比10.0%増の1573.39億ドルの見通し。また1株当たり利益(EPS)は23.4%増の1.16ドルになるとみられている。アマゾンは過去18回の四半期決算のうち6回で総収入が市場予想を下回った。1株当たり利益では5回で市場予想をクリアできなかった。
アマゾンの株価は前回決算から横ばい 最高値更新後に失速
アマゾンの株価(AMZN)の23日の終値は184.71ドル。2023年末比での上昇率は21.57%だ。しかし前回(4-6月期)の決算発表があった8月1日を起点とすれば0.35%高で、この3か月は横ばいの値動きが続いている。7月2日と5日には上場来高値の200.00ドルをつけたが、勢いが戻っていない状態だ。
ブルームバーグによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は27.65倍。前回決算発表直前の27倍程度から横ばいだ。2020年以降の平均は44倍程度で、株価は比較的割安な水準にあるといえる。アナリストが提示する目標株価の平均は220.02ドルで、現状よりも19%ほど高い。10月中旬に入ってからは265ドルに引き上げる動きも出ている。82人のアナリストのうち77人は買いを推奨し、残る5人は維持を勧めている。
アマゾンの7-9月期は小売り関連事業の減速が続く予想
アマゾンの株価は、前回の4-6月期決算発表で総収入の伸びが市場予想に届かなかったことが嫌気され、翌8月2日の株価は8.78%安となった。4-6月期は総収入の3分の2程度を稼ぎ出すインターネット通販などの小売り関連事業の収入が前年同期比7.2%増の967.99億ドルに留まり、市場予想を下回った。このため今回の7-9月期決算では小売り関連事業の成長が加速するかが焦点となりそうだ。
ただ、アマゾンの小売り関連事業は消費者の節約志向の悪影響を受けているとみられ、これまで積み重なってきた物価上昇が消費意欲を削いでいるとすれば、回復は容易でない可能性がある。ブルームバーグによると、7-9月期の小売り関連事業の収入は6.7%増にあたる1030.38億ドルになる見通し。伸び率は4-6月期からさらに減速することが見込まれている。
アマゾンのクラウド事業の成長は続くか 設備投資増なら重荷に
この場合、アマゾンが成長ペースを維持するには、総収入の17%を占めるクラウド事業の収入の重要性が増す。クラウド事業は人工知能(AI)開発やサービス展開の基盤になっており、4-6月期は前年同期比18.7%の成長を達成した。ブルームバーグのまとめでは、7-9月期のクラウド事業の収入は19.1%増の274.73億ドルになる見通しで、31日の決算発表で、この数字を越えられるかも注目されそうだ。
一方、巨額の設備投資を必要とするクラウド事業の拡充は、投資家の間では利益圧迫要因として受け止められることも多い。アマゾンは2024年下半期の設備投資額は上半期の305億ドルよりも多くなるとの方向性を示しているが、2025年以降のさらなる上積みが示されるなどした場合には株価に下落圧力がかかることも考えられる。
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