アマゾン、好決算でも株価は上昇後急落 クラウド成長減速 コストは削減
アマゾンの1-3月期決算は総収入と利益が市場予想を超えた。しかし会見で4月のクラウド事業の不調が明かされ、株価は急落した。
アマゾン・コムが27日の取引時間後に発表した2023年1-3月期決算は総収入と1株当たり利益がともに事前の市場予想を上回った。北米事業が黒字に転換したほか、国際事業の赤字も縮小しており、コスト削減策の効果が出始めた形だ。ただし急成長が続いてきたクラウド事業は成長率が鈍化。決算発表会見ではクラウド事業の4月の成長率が落ち込んだことも明かされた。アマゾンの株価(チャート)は27日の時間外取引で決算発表後に大きく上昇したが、会見時間中に急落しており、クラウド事業の揺らぎが投資家心理を冷やす結果となった。
アマゾンの2023年1-3月期決算は市場予想超える
アマゾンの1-3月期の総収入は1273億ドルで前年同期比9.4%増。直前の市場予想の1246億ドルを上回った。またアマゾンが2月に示していた見通し(1210億-1260億ドル)も超えた。1株当たり利益は0.31ドルで、前年同期の0.38ドルの赤字から黒字に転換した。直前の市場予想の0.21ドルも上回っている。
黒字転換を実現したのは北米事業の改善だ。北米事業の収入は11.0%だったが、営業費用は7.3%の増加に抑え、営業黒字に転換した。北米事業の営業黒字は6四半期ぶり。アマゾンは新型コロナウイルス禍の最中に急拡大させた物流網の効率化を進めており、一定の成果を上げたとみられる。また、国際事業の赤字幅は前年同期と同程度だったが、前期との比較では半分程度になっている。
クラウド事業の4月の成長率は5ポイント減
ただしアマゾンの成長の原動力となってきたクラウド事業には悪い兆しが出ている。1-3月期のクラウド事業の収入の伸び率は16%に留まった。新型コロナの感染拡大が始まった2020年以降、クラウド事業の成長率は20%台後半から40%の間で推移してきた。前期は20%まで落ち込んでおり、1-3月の数字はさらなる減速が示された形だ。
また、決算会見ではブライアン・オルサブスキーCFOが4月のクラウド事業の収入の伸び率について「1-3月期よりも5%ポイント低い」ことを明かした。経済の先行き不透明感が強まる中、企業がクラウドサービスに対する支出を絞り込む傾向があることが背景にあるという。クラウド事業の成長鈍化は、アマゾンのライバルにあたるマイクロソフト(チャート)の1-3月期決算でも表面化している。
アマゾンの株価は時間外取引で決算発表後に122.5ドル程度まで急上昇した。27日の終値(109.82ドル)と比べると11%超の値上がりだ。しかし日本時間の28日午前6時半から決算会見が始まり、オルサブスキー氏のクラウド事業に関する発言が伝わると株価は急落し、107.5ドル程度で取引された。
アマゾンはコスト削減の取り組みが成果を上げながらも、今度はクラウド事業の需要減少に見舞わている状況で、新型コロナ禍の反動への対応にてこずることも考えられる。
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