米国で半導体株急騰 アームは「エヌビディア超え」 いずれは優劣?
エヌビディアなど半導体各社の株価が急伸。アーム・ホールディングスの株価は10月以降で2.5倍になっている。
アメリカの株式市場で半導体関連株が急騰している。人工知能(AI)ブームを牽引するNVIDIA(エヌビディア)の株価の勢いは他の半導体企業の株価に波及。2023年9月に米国上昇を果たした英アーム・ホールディングスの株価は、10月以降の5か月で2.5倍となり、エヌビディアをはるかにしのぐ実績だ。一方、半導体各社はライバル同士ともいえる関係で、各社首脳からは競合を意識した発言も出てきた。いずれは各社の業績に格差が生じ、株価の勢いに優劣が出てくる可能性もありそうだ。
半導体による計算の高速処理はAIに不可欠
半導体はAIの開発やサービス展開に不可欠な要素だ。AIが人間からの言葉による指示に正しく反応したり、高精度な画像や動画を生成したりするには大量のデータに基づいた学習が必要。この際に求められる無数の計算を高速で処理するにあたり、高性能な半導体を大量に用いなければならない。エヌビディアはゲーム向けの画像処理半導体(GPU)で培った技術力をAI向け半導体にも生かし、マイクロソフト(MSFT)やアマゾン・コム(AMZN)などのAIサービス企業に製品を供給している。
このエヌビディアの株価(NVDA)は2022年秋まではゲーム部門の不振を受けて値下がり傾向だった。しかしこの年の11月末にOpenAI(オープンAI)が対話型AIサービス「ChatGPT」を発表し、性能の高さで世界を驚かせると、株価は急上昇を開始。株価は2023年の1年間で3.4倍となり、2024年に入っても2月28日終値までに56.83%値上がりしている。
アーム・ホールディングスの株価は5か月で2.5倍に
こうしたエヌビディア株の勢いは他の半導体企業にも及ぶ。9月14日にアメリカのナスダック市場に上場したばかりのアームの株価(ARM)は2月28日終値で133.86ドル。9月末の水準との比較では2.5倍になり、エヌビディアの株価が同じ期間で1.8倍になった力強さを上回っている。
アームの株価を急伸させたのはイギリス時間7日の2023年10-12月期決算発表で、2024年1-3月期の見通しが引き上げられたことだ。レネ・ハースCEOは決算会見で、アームの技術は省電力性で非常に優れていると指摘。AI開発やAIサービスの基盤となるデータセンター向け半導体が大量に必要とされる状況は、「アームにとって強い追い風になっている」と述べた。またアームが圧倒的なシェアを持つスマートフォン向け半導体市場でも、スマートフォンのAI対応が新たな需要を生み出しているという。
このほか、アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)の株価は9月末の1.7倍に到達。
オランダのASMLホールディング(ASML)や、ブロードコム(AVGO)の株価は1.6倍になっている。
半導体各社首脳が自社の優位性をアピール
一方、半導体各社はライバル関係であり、各社は自社の強みもアピールしている。エヌビディアのジェンスン・ファンCEOは2023年11月-2024年1月期決算会見で、半導体による計算速度を高めるためには用途に応じて異なるソフトウェアが必要だと強調。そのうえで「エヌビディアはソフトウエアの面で非常に成功している」と誇った。また、アームの親会社である日本のソフトバンクグループ(9984)の後藤芳光CFOは8日の10-12月期決算会見で、省電力性に加え、半導体を活用するために必要な関係企業のネットワークの大きさを優位性として挙げている。
半導体市場で競合する各社の株価急騰は、経済活動の大変革につながる可能性があるAIへの期待に裏付けられている。ただ、いずれは各社の業績に格差が出ることも想定され、株価の勢いに差が出てくることも考えられそうだ。
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