オーストラリア、物価上昇減速予想 7月CPI 上振れで豪ドル高も
オーストラリアの7月のCPIの伸び率は5.2%の予想。物価上昇減速が示される見込みだが、上振れれば豪ドル高も。
オーストラリア統計局が30日に発表する7月の消費者物価指数(CPI)は伸び率が6月から低下する見込みだ。予想通りであれば物価上昇の鈍化を示す数字といえ、オーストラリアの中央銀行にあたるオーストラリア準備銀行(RBA)が利上げペースを落とすとの観測を裏付けそうだ。一方、CPIが予想よりも強かった場合は、RBAが物価上昇に対する警戒感を高める可能性もある。この場合は8月に入って1豪ドル=94円を挟んだ値動きとなっている豪ドル円相場が、円安豪ドル高へと動く展開も考えられる。
オーストラリアの7月のCPIは5.2%上昇の予想
7月のCPIは日本時間30日午前10時30分に発表される。ロイター通信のエコノミスト調査によると、7月のCPIの総合指数の伸び率は前年同月比5.2%になる見込み。6月の5.4%から減速し、2022年12月につけた8.4%からの低下が進んでいるといえる。また、2023年4-6月期の総合指数の伸び率(6.0%)も下回ることはRBAに歓迎されそうだ。RBAは四半期ベースのCPIを重視しており、物価上昇率の目標を2-3%としている。
物価上昇の落ち着きを受けて、RBAは2022年5月に開始した利上げのペースを鈍化させてきた。7月と8月の理事会では、2会合連続で利上げを見送り、政策金利を4.10%で維持している。このため、7月のCPIで物価上昇の減速が改めて確認されれば、RBAが9月5日に予定されている次回の理事会でも利上げを見送るとの見方が裏付けられる。金融情報会社リフィニティブのデータによると、9月の理事会での利上げ見送りについて、投資家の動向から算出される確率は日本時間28日正午時点で約97%に達している。
豪ドル円相場は6月以降、緩やかな円高豪ドル安
こうした中、豪ドル円相場(AUD/JPY)では6月以降、緩やかな円高豪ドル安が進んでいる。RBAが8月1日に利上げ見送りを決めた後は、1豪ドル=93-94円台程度での取引が続く。日本銀行がイールド・カーブ・コントロール(YCC)の修正を決め、日本の金利が高まるとの観測が出た7月28日には91円台をつける場面もあった。
ただし、7月のCPIが予想よりも強く、RBAの利上げ再開が連想されれば、豪ドルが買われる展開も考えられそうだ。8月の理事会の議事要旨によると、参加者の間では0.25%利上げの必要性も議論され、オーストラリアの物価上昇率は他国よりも高めであるにも関わらず、政策金利の水準は低いことへの言及があった。またRBAは2024年末には物価上昇率は3.25%となり、2025年の終わりに2-3%の目標を達成できるとみているが、この予想には追加利上げの実施が織り込まれているという。
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