ディズニー株、収益改善期待で上昇 3%高 動画配信黒字化に自信
ディズニー株が8日の時間外取引で3%上昇。7-9月期の動画配信事業の前進や収益改善の取り組みが期待をつないだ。
米メディア大手のウォルト・ディズニーが8日の取引時間後に発表した2023年7-9月期決算は収益性改善に期待をつなぐ内容だった。1株当たり利益(EPS)が市場予想を上回ったほか、課題となっている動画配信事業の赤字幅も縮小。ロバート・アイガーCEOは2024年9月までの黒字化に自信を示した。また、規模の縮小が続いているテレビ事業からは、成長が見込めるスポーツ専門チャンネルのESPNなどを切り離し、構造改革に乗り出している。8日の時間外取引でディズニーの株価(DIS)は約3%上昇した。
ディズニーの2023年7-9月期決算は利益が2.7倍に
ディズニーの7-9月期決算は総収入が前年同期比5.4%増の212.41億ドル、調整ベースの1株当たり利益は約2.7倍の0.82ドルだった。金融情報会社リフィニティブのデータによると、決算発表直前の予想では、総収入は213.27億ドル、1株当たり利益は0.70ドルが見込まれていた。発表された決算は、総収入では市場予想を下回ったものの、1株当たり利益では予想を超える内容だった。
課題となっていた動画配信事業の営業赤字は3.87億ドルで、4-6月期から1.25億ドル縮小した。主力サービスのディズニープラスの会員数はインド事業のホットスターを除けば、4-6月期から690万人増加し、堅調な結果だった。拡大を図っている広告付きの低料金プランの会員数は520万人まで増えており、7-9月期のアメリカでの新規会員のうち半分以上が広告プランを選んだという。アイガー氏は決算会見で「動画配信事業の将来性に強気だ」と述べ、2024年9月までの黒字化目標を維持した。
テレビ事業からESPNを切り離して育成へ
ただ、消費者の関心がインターネットによる動画配信に向かう中、テレビ放送のABCなどを含むテレビ事業は縮小が続いてきた。このためディズニーは今回の決算発表から事業分野を見直し。ESPNを中心とするスポーツ事業分野をテレビ事業から切り離し、収益部門として育てていく方針だ。4-6月期に約67億ドルだったテレビ事業の収入は7-9月期に約26億ドルまで縮小。一方、スポーツ事業は約39億ドルの事業規模で立ち上がった。
スポーツ事業の中核となるESPNは動画配信サービスのESPNプラスの会員増や、米国内の大学アメリカン・フットボールリーグに関連したコストの減少などの結果、7-9月期の営業利益は前年同期比15%増の9.53億ドルと好調だ。アイガー氏は決算会見で「スポーツの価値とESPNブランドの力が示されている」として将来性に期待を示した。
これに対してABCなどのテレビ事業の7-9月期の収入は、ESPNを除いたベースでの比較でも、前年同期比9%減となり、成長性が損なわれている。視聴率低下に伴う広告収入減少などが要因で、アイガー氏は「ディズニーと株主にとって最善の戦略的な道筋を探る」としている。ただしテレビ事業の営業利益は約8億ドルを維持しており、アイガー氏は、高品質な番組を作りながらコスト削減によって収益を伸ばすチャンスがあることにも言及した。
ディズニーの株価は8日の時間外取引を87.28ドルで終えた。8日終値(84.50ドル)からの上昇率は3.29%で、投資家の期待をつなぎとめたようだ。
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