ディズニー、動画事業収益化の進展は? 8日決算 大株主と対立再燃も
ディズニーの7-9月期決算は動画事業収益化の進展が焦点。テレビ事業縮小も続く中、大株主との対立という火種も抱えている。
メディア大手のウォルト・ディズニーが8日の取引時間終了後に発表する2023年7-9月期決算は動画配信事業の収益化に向けた進展がカギだ。目標としている2024年9月までの黒字転換に向けた動きがなければ、投資家の失望が広がるおそれがある。また、ディズニーは収益源であるテレビ事業の縮小という課題も抱えており、株価には上昇の兆しがみえない。大株主の投資ファンドとの対立も再燃する中、今後の進展次第で事業売却も含めた改革に至る筋書きも想定され、株価にも影響が及ぶ可能性がある。
ディズニーの2023年7-9月期決算は増収増益の予想
ディズニーはアメリカ東部時間8日午後4時30分(日本時間9日午前6時30分)に決算会見を開く。金融情報会社リフィニティブのデータによると、7-9月期決算に関する市場予想は、総収入が前年同期比6.0%増の213.55億ドル。ディズニー決算で投資家が注目する調整ベースの1株当たり利益(EPS)は約2.4倍の0.71ドルと見込まれている。ディズニーは過去15回の四半期決算で、総収入と1株当たり利益で、それぞれ5回、市場予想を下回った。
ディズニーの株価(DIS)は2022年に約44%下落。S&P500種株価指数(SPX)の約20%下落よりも悪い結果だった。10月31日の終値は81.59ドルで、2022年末比で6.1%安。やはりS&P500の9.2%高を大きく下回るパフォーマンスとなっている。
リフィニティブによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は16.99倍。動画配信事業で競合するネットフリックス(27.06倍、NFLX)よりも割安となっている。一方、同じメディア企業であるコムキャスト(CMCSA)の9.81倍と比べれば割高だ。アナリストが提示する目標株価の平均は104.62ドルで、現状よりも3割程度高い。34人のうち8人が強い買い、18人が買いを推奨。6人は維持、2人は売りを勧めている。
ディズニーの株価は前回決算発表後は上昇
ディズニーの株価は8月の4-6月期決算発表後は上昇し、翌日の終値は前日比で4.9%高となった。成長性が期待される動画配信事業の営業赤字が5.12億ドルまで縮小したほか、主力サービスのディズニープラスの会員数がインド事業のホットスターを除けば堅調に増加していることが好感された。7-9月期決算では引き続き、動画配信事業の営業赤字縮小がどこまで進んでいるかが焦点となりそうだ。
ただしディズニーでは動画事業の収益性改善と同時に、テレビ放送のABCやスポーツ専門チャンネルのESPNなどを含むテレビ事業の縮小にストップをかけることも課題となっている。テレビ事業の収入は4-6月期まで4四半期連続で前年同期比マイナスだ。一方、収益面では4-6月期に18.9億ドルの営業利益を確保し、赤字続きの動画配信事業とは一線を画しているが、それでも前年同期比では23%減という苦境だ。視聴率低下による広告収入減などが要因だといい、消費者のテレビ離れの影響を受けている。
アクティビスト投資家がディズニー株を買い増し
こうしたディズニーの難しい経営状態を受けて、アクティビスト投資家のネルソン・ペルツ氏が率いるトライアン・パートナーズは25億ドル相当のディズニー株を買い増していると報じられている。ウォールストリート・ジャーナルによると、ペルツ氏は自身が選任する複数の人材を取締役として迎え入れるよう求めているという。ペルツ氏は1月にもディズニーが世界的な経営規模やブランド力を持ち、知的財産を収益化する機会に恵まれているにも関わらず、株価が低迷しているとして経営陣を批判。自らを取締役として選任するよう求めていたが、ロバート・アイガーCEOら経営陣が示した構造改革案を受け入れ、要求を取り下げていた。
今後、ペルツ氏が経営陣に加われば、動画配信事業の収益化やテレビ事業の業績改善に向けて、事業売却を含めた大規模な改革へと進むことも想定される。また2023年末までの再開が予定されている配当などの株主還元策も強化される公算が高い。ペルツ氏の動向はディズニーの成長性や収益性に大きな影響を与える可能性があり、株価を上下させる要因になりそうだ。
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