ECB、0.25%利上げ濃厚 15日理事会 景気後退で打ち止め目前
ECBの15日利上げは小幅になる見通し。物価上昇の落ち着きや景気後退を示すデータが出ているためで、円安ユーロ高も弱まりつつある。
欧州中央銀行(ECB)は15日の理事会で0.25%の利上げを決める公算が大きい。利上げ幅が小幅にとどまると予想される背景には、5月の物価上昇率が4月から低下したことや、8日に発表されたGDP改定値でユーロ圏が景気後退に陥ったとの結果が出たことがある。景気過熱で物価上昇が加速する恐れは薄れており、利上げサイクルは終盤にさしかかっているといえそうだ。7月以降の利上げは一度だけになると見込まれ、ユーロ高圧力の弱まりも感じられている。
エコノミスト全員がECBの0.25%利上げを予想
ECBは日本時間15日午後9時15分に理事会の結果を発表する。ロイター通信が8日に行ったエコノミスト調査では、政策金利の下限にあたる中銀預金金利について、59人全員が0.25%の利上げで3.5%になると予想している。また、金融情報会社リフィニティブのデータによると、0.25%の利上げについて、投資家の動向から算出される確率は日本時間13日午後2時前の段階で約96%だ。
予想通りに0.25%の利上げが行われれば、2022年7月以降8回連続での利上げとなる。0.25%の利上げ幅は前回(5月4日)と同じで、他の6回は0.5%か0.75%の利上げ幅だったことを踏まえれば、ECBは縮小させた利上げ幅を維持することになる。
ユーロ圏の物価上昇率に落ち着きの兆し
ECBの利上げ幅に変化が出ないとみられる背景には、ユーロ圏の物価上昇率に落ち着きの兆しが出ていることがある。欧州統計局が1日に発表した5月の消費者物価指数(CPI)の伸び率は、総合指数で前年同月比6.1%。エネルギーと食品、酒類、たばこを除いたコア指数で5.3%となった。いずれも4月の実績から低下しており、なかでも総合指数は2022年2月(5.9%)以来の低さだ。
こうした物価上昇率の低下は、ユーロ圏経済の縮小傾向と表裏一体だ。8日に発表されたユーロ圏の2023年1-3月期の実質GDP成長率の改定値は前期比マイナス0.1%で、4月に発表された速報値のプラス0.1%から下方修正された。同時に2022年10-12月期の成長率も0%から、マイナス0.1%に修正され、2期連続のマイナス成長という景気後退とみなされる結果となった。経済規模の大きいドイツがマイナス成長に陥ったことが影響した。
ECBは7月以降にも1度の利上げ見込み
ただ、物価上昇率の水準がECBの目標である2%を大きく上回っていることは確かで、6月で利上げが終わりになるとみる向きは少ない。エコノミスト調査では7-9月の政策金利は3.75%になるとの見方が多く、あと1度の利上げが見込まれている形だ。
ユーロ円相場(チャート)では、CPIコア指数の伸び率が高まるに従って円安ユーロ高が進んできたが、5月2日に一時、約14年7か月ぶりの水準となる1ユーロ=151.61円をつけて以降は、上値が抑えられている。ECBの次回理事会での決定にサプライズがなければ、ユーロ高を後押しする要因は減っていく可能性がありそうだ。
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