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ユーロ圏CPI、5月は大幅低下予想 6月1日発表 ECB利上げ幅に影響

ユーロ圏の5月のCPI速報値が6月1日に発表される。伸び率は6.3%への低下が予想され、結果はECBの6月の利上げ幅を左右しそうだ。

出所:ブルームバーグ

6月1日に発表されるユーロ圏の5月の消費者物価指数(CPI、速報値)の伸び率は4月からの大幅低下が予想されている。発表時間は日本時間1日午後6時。総合指数の伸び率は4月に低下が止まっていたが、改めて物価上昇のペースダウンが確認されれば、欧州中央銀行(ECB)の6月の理事会での利上げ幅が小幅にとどまる公算が大きくなる。一方、5月の物価上昇率が想定よりも上振れれば、0.5%利上げの可能性が改めて取り沙汰され、円安ユーロ高の材料になるシナリオも考えられる。

ユーロ圏の5月のCPI伸び率は6.3%まで低下の予想

ロイター通信のエコノミスト調査によると、5月のユーロ圏の総合指数の伸び率は前年同月比6.3%になる見込み。伸び率は2022年10月に10.6%をつけてから5か月連続で低下した後、4月は7.0%となり3月の6.9%からわずかに増加していた。今回の5月の数字が予想通りに6.3%まで低下すれば、物価上昇の激しさを警戒してきたECBにとっては前向きなデータだといえる。

ただしユーロ圏のCPIを価格変動や課税の影響が大きいエネルギーと食品、酒類、タバコを除いたコア指数でみると、ユーロ圏の物価上昇の根強さも感じられる。コア指数の伸び率は2021年夏から増加傾向が継続。4月の伸び率は5.6%で、3月の5.7%を下回ったものの、ECBは5月4日の理事会後の声明で「基調としての物価上昇圧力は強いままだ」と強調している。

ユーロ圏の消費者物価指数(CPI、総合、コア)の伸び率の推移

このため5月の総合指数の伸び率が予想通りに低下した場合でも、ECBが次回理事会(6月15日)に利上げを行う方向性に大きな変化はないとみられる。金融情報会社リニフィティブのデータによると、日本時間5月30日午前8時現在で、金融市場の動向から算出される6月に0.25%の利上げが行われる確率は約83%となっている。

5月CPIの伸びが想定以上なら円安ユーロ高圧力も

一方、総合指数の伸び率が予想よりも大きかった場合は0.5%利上げの可能性が注目されそうだ。ECBは2022年7月以降の理事会で7回連続の利上げを決めてきたが、5月の0.25%は最小の利上げ幅だった。5月のCPIで物価上昇の強さがみられた場合は、改めて利上げ幅を広げなければならなくなるという筋道も浮かぶ。

ユーロ円相場(チャート)は2022年春以降、コア指数の上昇ペースと足並みをそろえるようにして、円安ユーロ高方向に進んできた。5月2日にはリーマン・ショック直後(2008年9月29日)以来の水準となる1ユーロ=151.61円を付け、足元でも150円台半ばで推移している。コア指数の伸び率が高水準にある限りはECBの利上げ観測は収まらず、為替相場での円安ユーロ高圧力が残り続ける可能性がある。

ユーロ円相場とユーロ圏の消費者物価指数(CPI)伸び率の推移

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