2月の米住宅市場、利上げでも堅調続く 物価上昇圧力になるおそれも
2月の米国の新築住宅販売件数は3か月連続で前月を上回った。SVB破綻が追い風になる可能性もある。一方、FRBは住宅市場の弱さに注目している。
米国の住宅市場の堅調が続いている。米商務省が23日に発表した2月の新規住宅販売件数は前月比1.1%増。3か月連続の前月超えで、住宅ローン金利の高さにも関わらず、住宅市場の底堅さが確認された。シリコンバレーバンク(SVB)の破綻後、米国の長期金利は低下しており、住宅市場がさらに勢いづく可能性もある。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は23日の記者会見で住宅市場の弱さに言及しているが、足元の販売件数の伸びが続けば、物価上昇圧力になるおそれもある。
2月の新築住宅販売は64万件
商務省によると、2月の新築住宅販売件数は64万件。1月の改定値(63万3000件)を上回った。2022年7月の54万3000件からの上昇基調が続いている。米抵当銀行協会(MBA)によると、2月の住宅ローンの30年固定金利は約6.5%という高水準だが、住宅市場の底堅さが示された形だ。売買価格の中央値は43万8200ドルで、前月比2.7%増。前年同月比では2.5%増だった。
住宅ローン市場では3月に入り、SVBの経営破綻をきっかけに金利の低下が進んでいる。金融システム不安が広がり、安定資産としての米国債が買われたことを背景に、長期金利(10年物米国債の利回り)がSVB破綻前の4%前後から3%台半ばまで一気に低下したためだ。住宅販売にとっては追い風といえる。
ただし金融システム不安の理由のひとつに、FRBの利上げで金融機関が保有する債券価格が下落したことがある事情を踏まえれば、財務状況が不安定になった金融機関が今後、貸し出しの基準を厳格化し、消費者が住宅ローンを借りにくくなる可能性もある。この場合は住宅市場に逆風が吹くことになる。
堅調が続けば物価上昇圧力に
一方、現在の新築販売件数は、新型コロナウイルスの感染拡大が始まった後の100万件を超える水準からは落ち着いているともいえる。FRBのパウエル議長は22日の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げを決めた後の記者会見で、住宅ローン金利の高まりの結果、住宅部門での経済活動は弱まったとの見解を示し、「住宅部門で値下がりが起きるのは時間の問題だ」と述べた。
新築住宅件数は売買契約が結ばれた段階でカウントされ、その後の消費拡大を占う先行指標のひとつだ。しかし足元での住宅市場の堅調さが続けば、消費拡大を通じて物価押し上げ要因になるおそれもあり、FRBが利上げを促される局面も想定される。
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