Market Focus
・リスク回避相場と再びリンクし始めた円相場
年明け早々のドル円は一時104円台へ急落し波乱の幕開けとなった。クロス円も総じて下落している状況を考えるならば、リスク回避相場と円高が再びリンクし始めている。世界経済の先行きに対する警戒感が高まっている状況を考えるならば、今年はかつてのパターンが散見される1年となろう。
投資家のリスクセンチメントを見極める上で重要となるのが株式市場であるが、最も注視すべきはやはり米株となろう。その米株は今後、指標データと決算にらみの展開となろう。目先注視すべきは前者だが、昨日発表されたISM製造業景況指数は市場予想(57.9)を下回る54.1となった。50ポイント以上の水準を維持したものの、新規受注指数は51.1へ急低下すると同時に雇用指数も56.2と低下。今後、市場予想を下回る指標データが相次いで確認される場合、当然多くの投資家は米ファンダメンタルズの先行き不透明感を意識しよう。本日は雇用統計(2018年12月分)が発表される。市場予想はそれぞれ非農業部門雇用者数変化が17.7万人、失業率が3.7%、平均時給(前年同月比)が3.0%となっている。堅調な労働市場はFEDの強気な経済見通しの土台となっている。よって、雇用統計が総じて市場予想を下回る場合、FEDによる将来の予測下方修正が意識されることで米株は続落を警戒したい。この場合、外為市場では上述したリスク回避相場との再リンクにより円高圧力が高まる展開を想定している。特に注視すべきはドル円の動向である。リスク回避相場は株安だけでなく米長期金利の低下も意味する。昨年11月以降のリスク回避局面では、日米利回り格差の縮小とドル円下落との相関関係は高い。テクニカル面では早くも長期サポートラインの維持が焦点として浮上している。このラインは今月107.00付近で推移している。昨日は年始特有の薄商いとアルゴリズム取引の影響により104円台までフラッシュクラッシュとなったが、ローソク足の実体ベースでは上記のラインをかろうじて維持した。しかし、米指標データそして今月中旬以降の主要な米企業の決算が総じて市場予想を下回るならば、早くも完全なるラインブレイクの展開を意識する局面が見られよう。
・今年の最重要テーマは米ドル安圧力の高まり
今年の外為市場で最も注視すべきは、米ドル安圧力の高まりである。「DATA-Dependency」のスタンスをより鮮明にしてきたFEDは、上述した指標データの内容が悪化し続ける場合、利上げペースを鈍化させるか打ち止めのスタンスを表明してこよう。段階的な利上げは米ドル高の土台となってきた。昨年12月のFOMCでその土台が揺らぎ始めたが、今年それが崩れる場合、米ドル安局面が多く見られよう。このケースで注視すべきは欧州や新興国通貨の動向である。今年もこれら通貨はそれぞれ特有のリスク要因に直面しよう。しかし、共通のリスク要因である「米金利の上昇→米ドル高」の呪縛から解放される場合、上昇トレンドを描く可能性がある。欧州通貨ではユーロドル、新興国通貨ではブラジルレアル(テクニカル面でヘッドアンドショルダーを形成する可能性あり)とメキシコペソが対米ドルで堅調地合いとなる可能性がある。
【チャート1:ドル円と日米利回り格差】