Analysis Highlights
・リスクセンチメントの改善と反応が鈍い米長期金利
16日の海外外為市場は円売り優勢の展開となった。主要な新興国通貨が対米ドルで上昇した状況も考えるならば、投資家のリスクセンチメントが改善傾向にあることがわかる。その改善の持続性は株式動向次第だろう。特に注視すべきは米株だが、昨日は米金融大手の決算を好感した買いにサポートされ、S&P500指数は昨年12月中旬以来の水準まで上昇(終値:2,616.10)。16日のレポート「米ドル相場をサポートする米株」で指摘したリトレースメント50.00%のレベル(2,643ポイント)が視野に入ってきた。現在、上述のリスクセンチメント改善の流れに乗れない市場がある。それが米債券市場である。米株をはじめとした主要な株価指数の反発基調は米金利低下圧力の後退要因である。しかし、10年債利回りは現状2.75%手前で上昇幅が抑制されている。この点はFEDの政策スタンスの影響の大きさを示唆している。株高局面でも長期金利の反発が限定的である限り、米ドル相場の上昇幅も限定的となろう。昨日の新興国通貨の動向と直近の英ポンド相場の底堅さがこの点を示唆している。そして長期金利の反発が限定的である限り、ドル円の上値は抑制されよう。米株の反発基調が続く限り108円台は維持することが想定されるが、109円台の攻防は長期金利にらみの動向となろう。
・ドル円は109円台での反落リスクを警戒 ユーロドルは短期サポートラインの攻防が焦点
上述のとおり、現在は投資家のリスクセンチメントが改善傾向にある。よって、本日のドル円は引き続き底堅い展開を想定している。だが、長期金利の反発が限定的である点を考えるならば、109円台での反落リスクを常に警戒したい。上値の焦点は、昨日高値109.19およびプロジェクション38.20%の水準109.34となろう。これらレジスタンスポイントの突破に成功する場合、長期金利の上昇幅拡大が想定される。このケースではプロジェクション50.00%の109.83を視野に戻り高値を探る展開となろう。一方、下値の焦点は108円台の維持で変わらず。108.30および108.20にはビッドが観測されている。また、108.10と108.00ではオプションバリアの攻防が想定される。
ユーロドルは、米株の反発基調が続く限り米独利回り格差が拡大傾向となることから、さらなる下値トライを警戒したい。目先の焦点は、16日のレポートでも指摘した短期サポートラインとなろう。このラインは今日現在、1.1320前後で推移している。ビッドが観測されている1.1350の下方ブレイクは、このラインをトライするシグナルとして注視したい。一方、上値の焦点は、昨日相場をレジストした21日MA(1.1426前後)となろう。1.1430および1.1450にはオファーが観測されている。
【チャート1:ドル円】