Analysis Highlights
・現在、米ドル相場をサポートする唯一の要因
8日の米国市場はリスク選好の状況を維持した。S&P500指数は先月19日以来となる2,579まで上昇し、ボラティリティ(VIX)は20.47まで低下。一方、米長期金利は2.7%台の水準を回復している。米国市場のリスク選好(特に米長期金利の上昇)を受け、外為市場では米ドルを買い戻す動きが高まった。昨日を含め直近の動向は、現在の米ドル相場のサポート要因が米株であることを示唆している。FEDによる金融政策スタンスの変更に伴い「米長期金利上昇→米ドル高」パターンの土台となってきた「段階的な利上げ」は完全に崩壊し、2019年は米ドル安圧力に直面する1年となる可能性が高まっている。土台が崩壊している状況でも米ドル相場が上昇するためには、もはや株高による長期金利低下圧力の後退に頼るしかない状況に陥っているというわけだ。今後、米株が上昇する局面では長期金利も追随し、日米利回り格差および米独利回り格差の拡大を意識したドル円の上昇とユーロドルの下落という展開が見られよう。だが、米ドル高の土台はあくまでも金融政策である。この点は、昨年12月のFOMC後に長期金利の低下とドルインデックスの下落の相関性が高まったこと、そして株高局面でも上昇基調を維持している金相場の動向が示唆している。本日公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が2019年の利上げ打ち止め観測を市場に強く意識させる内容となれば、株高でも長期金利の上昇は抑制され、その結果、米ドル相場の上昇も限定的となる展開を想定している。
・ドル円は売り買い交錯を想定 ユーロドルは1.1500トライが焦点
本日のドル円は108円台を中心に売り買い交錯の展開を想定している。日米ともに株式の反発基調を維持している間は108円台を維持しよう。108円ミドル以下では押し目買いによりサポートされよう。一方、109.00前後では上値が抑制される展開を警戒したい。米中貿易協議に対するネガティブ報道、トランプ演説そして上記のFOMC議事録が上昇圧力の抑制要因となる可能性がある。テクニカル面では10日MA(109.18前後)の攻防が焦点となろう。このMAを突破する場合は、リトレースメント50.00%の水準109.33までの上昇を意識したい。ユーロドルは引き続き1.1500トライが焦点となろう。このレベルにはオファーが観測されている。米株の反落とFOMC議事録の内容がハト派となる場合、1.15トライを意識したい。1.1500の突破に成功する場合は、すぐ上の水準1.1510前後の攻防を注視したい。このレベルにはオファーが置かれ、且つ1.1514レベルはリトレースメント50.00%の水準にあたる。一方、米株が反発基調を維持する場合は、下値トライを想定したい。このケースでは21日MA(1.1396前後)の攻防が焦点となろう。
尚、本日はBoC(カナダ中銀)イベントが予定されている。政策金利については据え置き予想が大勢となっている。今後の利上げに対する慎重姿勢が声明文で確認される場合(金利先物市場では今年4月の利上げを予想)、カナダドルは対主要通貨で下落しよう。
【チャート1:米株と長期金利】