Analyst's view
元来ハト派のイエレンFRB議長は先週14日、上院銀行委員会で半期に一度の議会証言に臨んだ際、雇用情勢のひっ迫とインフレ率が目標である2%に向け上昇していくとの見解を示した。その上で利上げ見送りのリスクについて言及し、3月利上げの可能性を排除しなかった。そして16日には米ブルームバーグTVとのインタビューでフィッシャー副議長が複数回の利上げについて言及。FEDの2トップが同じ時期にそろって利上げについてタカ派的スタンスを示してきたことで、投資家は3月利上げの足音を意識せざるを得ない状況に陥っている。ただ、米金利の動向を確認すると株式市場ほど、安定的に上昇基調を維持しているわけではない。17日の低下は3連休を控えた調整売りといった側面もあるだろう。だが、今年に入ってからの騰落率を確認すると(下図チャート参照)、上下に振れる不安定な状況となっていることがわかる。この事実は、株式市場ほど純粋に米国経済の楽観的な将来を見据えているわけではないことを示唆している。
今後、3月の利上げ観測を左右する材料は、米指標データとFEDスピーカーの言動となろう。今週から来週にかけて重要指標データが順次発表されるが、総じて市場予想を上回るようならば3月利上げの可能性が意識され米金利には上昇圧力が強まろう。米金利との相関性が高まっている米ドル相場もその動きに追随しよう。逆に総じて市場予想を下回るようならば、米金利の上昇圧力が抑制され、米ドル相場は通商政策リスク(=米ドル安政策リスク)の方に敏感に反応する展開が想定される。
また、今後はFEDスピーカー達の言動、特にハト派と中立派の言動を注視したい。21日にイエレンFRB議長と同じハト派のカシュカリ・ミネアポリス連銀総裁の講演が予定されている。また、22日には中立派のパウエルFRB理事が経済見通しと金融政策について講演する予定となっている。同理事は昨年12月FOMCの直前に「利上げの条件は明らかに整った」と述べ、利上げシグナルを発信した経緯がある。ハト派/中立派のFEDメンバー達までが2トップと同じスタンスを表明するならば、指標データの内容以上に米金利高 /米ドル高要因となろう。