Analyst's view
11日のレポート「1月20日までは調整相場継続も」で指摘した通り、米国債券市場では調整相場(=債券買い/金利低下)が継続している(チャート①)。米ドル高のエンジンである金利の低下傾向は、今後も米ドル相場の押し下げ要因となろう。ただ、米国債券市場が調整相場入りの状況下にあっても、すかさず米ドルの買戻しが入る展開や米国株式が史上最高値圏を維持し続けている状況は、トランプ政策への期待が根強いことを示している。欧州や主要な新興国の株式も年初来でプラス圏を維持している事実や国際商品市況の改善傾向も考えるならば、円高圧力が急速に強まる可能性は低い。よって、目先は12月上旬安値113.00レベルを下限と想定し、下落しては反発の調整相場を繰り返しながら、1月20日のトランプ次期大統領就任式を迎えるシナリオを想定したい。尚、ドル円が反発する要因として目先注視すべきは、米指標データとなろう。上値ターゲットは、6日以降ローソク足の実体ベースで上値をレジストしている21日MA(116.75前後)を想定したい。
一方、ユーロ円の動向には注意が必要だろう。現状、121.00-124.00の3円レンジで売り買いが交錯中。だが日足チャートを確認すると、124.00レベルが強烈なレジスタンスポイントとして意識され、且つ直近は徐々に上値が切り下がっていることがわかる。また、週足チャートを確認すると昨年12月中旬以降、5週連続で一目/雲の突破に失敗し続け、且つ今週は大陰線が示現している(チャート②)。米独金利差縮小によりユーロドルは底堅さを増しているものの戻りが弱い事実は、現在、ユーロを積極的に買う投資家が少ないことを示している。今後はUKのハードブレクジットリスクや欧州選挙リスクが意識される局面へシフトしよう。今はトランプ政策期待により株式市場は株高維持となっているが、1月20日以降、その期待が急速に後退し且つ欧州政治リスクまで合わされば、円相場の中でユーロ円はポンド円とともに最も下落幅が拡大する通貨ペアとなる可能性がある。