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国内株安 / 円高の主因とは ②

Market Overview

17日のNY外為市場は「米ドル買い / 円売り」優勢の展開となった。週明けの米国株式は、四半期決算への期待とムニューシン米財務長官が英FT紙とのインタビューで年内の税制改革について言及したことが好感され反発。米株の上昇は各ゾーンの米金利の反発を誘発した。米国市場での「株高 / 金利反発」を背景にドル円はNYタイムに109円台へ上昇する局面が見られた(高値109.08)。クロス円も追随し、総じて円安優勢で推移した。ユーロドルは1.0670レベルまで上昇する局面が見られるも、上述した米金利の反発を背景にNYタイム後半以降は米ドル買い優勢の展開となった。

国際商品市況だが、NY原油先物5月限は米原油増産観測が意識され利益確定売り優勢の展開に。0.53ドル安の1バレル52.65ドルで取引を終えた。NY金先物6月限は、根強い地政学リスクへの懸念を背景に小幅続伸。一時1297.4ドルと、昨年11月上旬以来となる水準まで上昇する局面が見られた。

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Analyst's view

昨日の円相場は円安優勢の展開となった。しかし、ドル円は5日MAに上値がレジストされ、14日高値109.23の突破にすら失敗した。本日、5日MAの突破に成功しても、節目の110ラインがサポートからレジスタンスへ転換している可能性があること、そして3月高値115.50を起点とした短期レジスタンスラインを上方ブレイクしていない事実を考えるならば、ダウンサイドリスクが後退したと判断するのは早計だろう。

今回の国内株安と円高の主因は地政学リスクではなく、日米の政治リスクにあると筆者は考えている。17日のレポートでは米国の政治リスク、つまりトランプ政策に対する不透明感と「トランプ政権 vs イエレンFRB」という新たな政治リスクが今後意識されるリスクについて述べた。ただ、3月FOMC後、世界の主要な株式の中でも日本株のパフォーマンス低下が鮮明となっている事実は、国内特有のリスクが存在し、それを海外投資家が敏感に感じ取っていることを示唆している。筆者は、その特有のリスクが現在の日本の停滞した政治状況であると考えている。下の比較チャートを確認すると、森友学園問題が国会証人喚問にまで発展するムードが高まり、且つ安倍政権の支持率が低下したことが判明したタイミングで日本株の下落スピードが加速していることがわかる。森友学園問題のみならず最近の閣僚による相次ぐ失言は、一強であるが故の緩みから生じている可能性が高い。そうであるならば今後も同様の問題が発生する可能性があろう。そしてそれら些末な問題に時間を取られれば、肝心要のアベノミクス第3の矢である「成長戦略」、言い換えるなら日本国内に新たな需要を創出し且つ経済成長の土台となる「構造改革」がさらに遅れるリスクを海外投資家は日本の政治リスクとして意識し始めている可能性が高い。それはデフレ再来を市場に想起させ外為市場では円高圧力を強める要因となろう。このように考えると、日本株とは対照的に、トランプ政策に対する不透明感が強まっているにもかかわらず、それがリスク回避につながることなく、むしろリスク性は高いがそれゆえ高い成長が期待出来る新興国にマネーがシフトしている現在の状況には合点がいく。

【チャート:日本株と主要株式のパフォーマンス比較】

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