Market Analysis
米株のボラティリティは再び低下傾向へ転じている(チャート①参照)。この状況は、3月FOMCを受け米10年債利回りの急騰リスクが後退している事(チャート②参照)、そして米中貿易交渉の進展を見極めたいとの思惑が交錯した結果生じていると考えられる。投資家のリスクセンチメントが再び改善傾向にある中、今週の米国指標データが総じて良好ならば米株は上値トライの展開となろう。一方、リスクシナリオは『強過ぎる雇用統計→FEDによる利上げペース加速の懸念→米株の不安定化』だが、3月FOMCで利上げペース(年3回)の維持が確認されたばかりの現状を考えるならば、リスク回避の展開となっても一過性で終息しよう。良好な米指標データが続く場合、円相場ではクロス円が堅調に推移しよう。ドル円はリスク選好相場にサポートされる展開を想定したい。だが、米通商政策リスクがくすぶり続ける限り、米ドル安圧力によりドル円は上値の重い展開が続こう。一方、米指標データが総じて市場予想を下回るならば、米ファンダメンタルズに対する不透明感が意識され、米株の上値がレジストされる可能性がある。この場合、ドル円は米ドル安の相殺要因である円売り圧力の高まりに期待できないことから、下値トライの展開となろう。ドル円の下落圧力を強めるもう一つの要因として注視すべきは、米中貿易関連の報道だろう。現状、中国サイドが米国製半導体の購入増加を検討する等、貿易摩擦回避に向けたポジティブな報道が見られる。だが、トランプサイドの動向次第で風向きが一気に変わるリスクはくすぶっている。摩擦回避ムードに水を差す報道があれば、リスク回避相場を背景にドル円は下値トライの展開となろう。上下のチャートポイントについては、今週のテクニカルレポートを参照されたし。
一方、ユーロドルは、根強い米ドル安圧力を背景に1.2200を下限とした底堅い展開を想定したい。1.22台ブレイクの要因として注視すべきは、良好な米指標データと3月HICPの下振れである。特に後者は、ユーロ高のネガティブインパクトとECBの金融緩和スタンス維持を市場に意識させることから、ユーロ売りを主体とした下落幅の拡大を警戒したい。一方、米ドル安が続く中でHICPが市場予想以上となれば、1.2200-1.2500をコアレンジとしたボックス相場の継続を想定したい。具体的なチャートポイントについては、今週のテクニカルレポートを参照されたし。
【チャート①:米株ボラティリティ】