Market Analysis
トランプ米大統領は6日、EUに対し貿易面で厳しい姿勢で臨むことを表明してきた。現状、トランプサイドが通商政策を推進する意識を示している以上、この問題は外為市場で米ドル安リスクとして意識されるだろう。事実、6日の米国市場も「株高/米金利上昇」となったが、ドルインデックスは91.00でレジストされて以降、再び米ドル安へ転じている(チャート①)。
米ドル安の動向を見極める上で注視すべきはユーロドルの動向だが、昨日は1.24台の水準へ到達した。唯一のユーロ売り要因だったドイツの政治リスクは連立政権樹立の合意で後退。イタリアの政治混迷については、選挙前からハングパーラメント状態になることは想定されていたので材料視されていない。明日のECB理事会で再びユーロ高の調整圧力が強まる可能性はあるが、1か月以上のリスクリバーサルは堅調な域内のファンダメンタルズとドイツの政治リスク後退を好感し、ユーロ高を示唆している。テクニカル面でもリトレースメント38.20%でサポートされて以降続伸きちょうを維持し、昨日は21日MAが相場を下支えした(チャート②)。さらに上述した米通商政策リスク(=米ドル安リスク)も考えるならば、ユーロドルは1.25台を再び目指す可能性が高まっている。対ユーロで米ドル安が続く間は、国際商品市況のサポート要因となる。よって、資源国通貨および資源と関係の深い新興国通貨も対ドルで堅調推移となろう。だが、6日のレポート「焦点は米通商政策と米長期金利の動向」でも指摘したとおり、持続的な米ドル安は長期金利の上昇要因となる。原油高の状況も考えるならば、米長期金利の急上昇リスクを常に意識すべきフェーズにあり、実際に節目の3.0%を視野に入れる展開となれば、米株をはじめとした世界の株式市場は再び下落しよう。ドル円は米ドル安を背景としたリスク選好相場が続いている間は、105.00-108.00のレンジ相場を想定したい。だが、日足転換線で上値がレジストされ、短期サポートラインや21日MAすらトライできない状況で「米ドル安→米長期金利急騰→株安」となれば、105.00割れを視野に下落幅が拡大しよう(チャート③)。本日のオーダー状況だが、106.50、106.80および107.00にはオファーが観測されている。一方、105.00にはビッドの観測あり。
【チャート①:米長期金利 / ドルインデックス】